楽器屋さんに聞けシリーズ —穴あきシンバルってどうよ??—

こんにちわ、渋谷WESTの松岡です。

今日のお題は「穴あきシンバル」

97376 B

ここ数年各社から様々なモデルが出ているようですが、

実際どのような場面で使うの??という方も多いはず。

今回はそんな穴あきモデルについて掘り下げてみましょう。


■そもそもいつからあった?

一般的な穴が開いたシンバルとして大々的に売り出されたのはおそらく2002年に登場した
デイヴ・ウェックルのHHX EVOLUTIONのO-ZONEクラッシュでは無いでしょうか?

5544 B

それまでもHHボトムに穴が開いたモデルが有ったものもありますが、
狙っている効果も違うので、クラッシュとしての穴あきはO-ZONEが元祖かと思います。

それまでもセイビアンは8角形の形状のAAのROCKTAGONなど、
古くから変型シンバルに強いイメージがあります。
このROCKTAGONも独特の形状により歪みのある倍音の独自のクラッシュ音が特徴で、
ちょうどチャイナとクラッシュの間のような音色は、初めて聴いたときは中々衝撃的でした。

22226 B

実は私も所有してましたが、このシンバル、8角形ゆえに少し叩きにくいのも事実、
また18インチのシンバルの場合はおそらく元々20インチのシンバルををカットしていると思われ、
ややピッチが低く、レスポンスがやや鈍いのが難点でした。
※これはこれで長所というか特徴なんですが、、、

チャイナのような歪んだ音色のクラッシュが欲しかったので、
当時はメンバーから煩いと罵られながら、
チャイナをクラッシュ替わりにガンガン叩いていた記憶があります。

当時はこのような穴あきが一般的ではなかったので、
自分の選択肢に無かったのですが、今思えば最適なシンバルであったと思います。


また、穴が開いている=耐久性は大丈夫??
という不安がそれなりに聞かれます。

正直、構造上普通のクラッシュよりは耐久性は落ちます。
かといってすぐ割れてしまうわけでは無いはず、
正直個体差は有りますが、大事に使っているうちに割れてしまうのならば
それはそれで仕方ないと思います。
普通に使用している分には耐久性については
さほど気にならないと思います。



■いつの間にやら穴あきシンバル天国に

2010年代になり、ZILDJIANのEFXやPAISTEのPST-Xシリーズ、
ISTANBUL AGOPのIONシリーズなど、各社こぞって穴あきシンバルをデビューさせました。
そして近年のドライでトラッシーなサウンドの流行が始まりました。



ちなみにこちらは同じモデル(BOSPHORUS SILVER 18CRASH)の
穴あきとノーマルの比較です。
穴あきの方は18ホールあるので、サステインの短い歪んだサウンドになっています。


■穴の数による音色の特性


109592 B


こちらでは19インチのボスフォラスのシルバーの6穴
19インチのジルジャンのスぺシャルドライのトラッシュクラッシュの比較です。


233024 B
※HHも穴あき(ISTANBUL AGOP 15 Xist ION Dark Hi Hats)のちょっと癖の強い感じ(笑)

基本的には穴の数は増える(穴の開いた面積が大きい)程、
音の歪みは強くなり、サステインもショートになります。

またサステインが短くなる事により、
連続して打った時にシンバルの分離も良く聞こえます。

特に手数の多いプレイヤーは音が変にカブらないので、
演奏しやすいのではないでしょうか?

28948 B


■ドラマーはもっと自由であれ!

こんなにシンバルの種類は増えたのに、
なかなか飛び道具には手を出せないという方もいるかもしれません。

ならば、是非使ってみてください!

ちなみに、かのローリングストーンズのチャ―リー・ワッツの左手側のメインクラッシュは「チャイナ」です。
チャイナだってクラッシュにしてもOKですし、ライドにしたってOKなんです。

個性的な音色こそがバンドサウンドに無くてはならない存在になったり、
また新しい発見、やアプローチがが出来るはずです。

穴あきシンバルのような「ひと癖」ある楽器こそが、
自身のスタイルや方向性に悩んでいるドラマーさんにオススメしたいシンバルです!


■多様化するシンバル

シンバルは近年一気に種類が増えたように感じます。
※楽器屋的には展示スペースにいつも苦闘しますが、、、

チューニングで何とかなるドラム本体と違い、
シンバルは生音勝負、種類が増えて当然なのかもしれません。

是非いろんなシンバルにトライして、
自分らしいサウンドを見つけてもらえたらと思います。

それではまた!


■過去記事はこちらから■

わからないことは楽器屋さんに聞け!スネア選びのカンタン基礎知識

わからないことは楽器屋さんに聞け!スネア選びのカンタン基礎知識2
わからないことは楽器屋さんに聞け!ドラムヘッド選びの基礎知識
わからないことは楽器屋さんに聞け!スティック選びの基礎知識
わからないことは楽器屋さんに聞け!キックペダル選びの基礎知識
わからないことは楽器屋さんに聞け!練習ツール選びの基礎知識1
わからないことは楽器屋さんに聞け!練習ツール選びの基礎知識2
わからないことは楽器屋さんに聞け!シンバル選びの基礎知識1
わからないことは楽器屋さんに聞け!シンバル選びの基礎知識2
わからないことは楽器屋さんに聞け!シンバル選びの基礎知識3
わからないことは楽器屋さんに聞け!中古品選びの基礎知識1
わからないことは楽器屋さんに聞け!中古品選びの基礎知識2
わからないことは楽器屋さんに聞け!ドラムチューニングの基礎知識?知識編?
わからないことは楽器屋さんに聞け!ドラムチューニングの基礎知識?応用編/実践編?
わからないことは楽器屋さんに聞け!ドラムチューニングの基礎知識?発展編・前編?
わからないことは楽器屋さんに聞け!ドラムチューニングの基礎知識?発展編・後編?
わからないことは楽器屋さんに聞け!ドラムの手入れの基礎知識?
わからないことは楽器屋さんに聞け!~カホンで遊んでみよう!?
わからないことは楽器屋さんに聞け!~電子ドラムの進化は止まらない?
わからないことは楽器屋さんに聞け!?第1回 ビーター選手権!?
わからないことは楽器屋さんに聞け!?知っておきたいパーツの規格!?
楽器屋さんに聞けシリーズ ?ドラムのシェルを知っておこう「胴体の構造編」?
楽器屋さんに聞けシリーズ ?ドラムのシェルを知っておこう「胴体の素材編」?
楽器屋さんに聞けシリーズ ?魅惑のトルコ系シンバルに迫る!?
楽器屋さんに聞けシリーズ in TURKEY ?イスタンブールシンバル探求の旅??
楽器屋さんに聞けシリーズ in TURKEY ?イスタンブールシンバル探求の旅??
楽器屋さんに聞けシリーズ in TURKEY ?イスタンブールシンバル探求の旅??
楽器屋さんに聞けシリーズ ?楽器を売るコツとは?
楽器屋さんに聞けシリーズ ?話題の新商品 YAMAHAのEAD10に迫る?
楽器屋さんに聞けシリーズ ?ASPR SLシリーズヘッドとは?
楽器屋さんに聞けシリーズ ?伝説の名器スピードキングってどうなの?
楽器屋さんに聞けシリーズ-奇数インチのススメ-
楽器屋さんに聞けシリーズ-オールドKとその魅力-
楽器屋さんに聞けシリーズ in TURKEY 飛んでISTANBUL2018 前編
楽器屋さんに聞けシリーズ in TURKEY 飛んでISTANBUL2018 後編
楽器屋さんに聞けシリーズ —ピッコロスネアは使えるぞ!—



■この記事を書いた人

松岡 武 Takeshi Matsuoka

中学生の頃突然ドラムに目覚め、そのままのテンションで音楽の専門学校に入学。卒業後よりお茶の水イシバシに勤務し13年、2016年6月より渋谷WEST勤務。20代のころはジョン・ボーナムにあこがれすぎて24インチのライドをバカバカ打ち鳴らしてました。豊富な現場経験を生かしたその人に合った楽器のチョイス、チューニングやメンテナンスポリシーで、様々なタイプのドラマーをサポート致します!




※当ページに掲載されている画像、文章等の転載、二次使用等はご遠慮下さい。また、当ページをご紹介いただく場合は、画像、動画等に直接リンクをしないようにお願いします。
※商品情報や価格、在庫などは投稿時点の情報です。既に在庫切れ、販売終了となっている場合がございます。現在の正しい状況については下記店舗へ直接お問い合わせください。また、当ページに掲載されている画像、文章等の転載、二次使用等はご遠慮下さい。