楽器屋さんに聞けシリーズ ?魅惑のトルコ系シンバルに迫る!?

11/15(日本)追記:渋谷の店舗にいる曽我でございます。
我らが松岡さん ボスフォラスにいらっしゃる模様です。のどかで 素敵。。。
ツイッターは現地より 更新中です!





11/13(日本)追記:日本は 東京 渋谷の店舗にいる曽我でございます。
今回のトルコシンバル買付けツアーの旅では 我らがSHIBUYA WEST松岡がトルコの現地でSHIBUYA WEST ツイッターを更新し続けております!






臨場感のある情報をお楽しみください!!

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こんにちは、渋谷WESTの松岡です。

今回のテーマ

「トルコ系」シンバルって何ぞや?

近年、シンバルの種類も増えてきたためか、

「○○系」とか区分けされて呼ばれることも多いシンバル。
※なんだか、ラーメンみたい、、、

その中でも、

高い人気を誇る「トルコ系」についてフォーカスしてみましょう!



■トルコ系のルーツ
トルコ系シンバルの歴史こそがシンバルの歴史!

もともと、現在のシンバルのルーツは、
17世紀初頭のオスマン帝国のコンスタンチノーブルにおいて、
現ジルジャン創始者である錬金術師アベディス1世が、
1623年に皇帝から正式にシンバル職人としての地位を認可されたことに始まります。
その高い品質は世界中の音楽家より認められ、
シンバル=ジルジャン(トルコ製)を確立したとされています。

その後、19世紀末には「Aジルシャン」「Kジルジャン」で流派が分かれ、
20世紀初頭にには「Aジルシャン」がアメリカに渡り、
「Kジルジャン」はトルコ、イスタンブールに残り、
伝統的な製法を守ったシンバルづくりをしていたので有ります。

ジルジャンファクトリーツアーレポVol.1はこちら
ジルジャンファクトリーツアーレポVol.2はこちら
ジルジャンファクトリーツアーレポVol.3はこちら
楽器屋さんに聞けシリーズ番外編 ?ヴィックファースファクトリーツアーレポ?


機械化を進めたアメリカAジルジャンに対し、
トルコのKジルジャンは、伝統の「ハンドメイド」にこだわり続けました。

このトルコのKジルジャン、ハンドメイド故に、
徐々に機械的製法に変わっていったAジルジャンと比べると、
個体差が強く、1枚1枚のキャラクターに差があるのも特徴。
また、ハンマリングも手作業のため、
倍音の濁りが強く、全体的にダークなサウンドが特徴でした。

しかし、その個性的で唯一無二の音色は、
当時からジャズ系のドラマーに特に人気が高く、
非常に価値あるシンバルとして扱われていたようです。
これらが今で言うところの「OLD K」やら
「ISTANBUL K」といったヴィンテージシンバルで、
近年、個体数も少なくなってきたためか、さらに価値が高まっており、
インチ=1万円のといわれるような相場で取引されています。


■ジルジャンから離れたトルコシンバル
1970年代末に、アメリカの「Aジルジャン」に吸収された後はどうなったか?というと、
元々はKジルジャンを制作していたAgop TomurcukとMehmet Tamdegerが
1980年にZilciler Kollektif Sti社として職人たちを集め、独自にシンバル制作を開始します。
そして1982年、イスタンブール・シンバル社として、世界的な販売を開始します。

1996年、共同で設立したAgop Tomurcukが亡くなったのをきっかけに、
イスタンブール・アゴップ社とイスタンブール・メメット社の2社に分社、今日に至ります。

トルコのシンバルづくりは、手作業がこだわり。
アメリカに渡った「ZILDJIAN社」とはルーツが同じですが、
「トルコメイド」の伝統と個性が調和した、独自のシンバル作りを展開。
ハンドメイドならではのサウンドキャラクターが、
アコースティックサウンドにこだわるドラマーを中心に人気を博します。
次第にその特徴や個性を洗練させていきました。

そして、その他ブランドも続々と登場します。

トルコに根付いたシンバルづくりの魂は、
BOSPHORUS社TURKISH社、MURAT DIRIL社などの様々なメーカーを生み出し、
今で言う「トルコ系」ジャンルが確立されてきたのです。


2015年シンバルファクトリーツアーでのBOSPHORUS社の工場内
実にアナログな製法、全てにおいて手作業なのには驚かされます。

また近年では、ドイツのマイネルが「BYZANCE」シリーズという、
トルコで製造されたシンバルをもとにカスタムした製品を生み出し、
高い人気を誇っていたりと、いわゆる「トルコ系」のサウンドが、
ここ10年で非常にバラエティ豊かなものへ変化してきました。




近年のトルコ系の中でも人気の高い「穴あき」モデル
元々のダークさに加え、穴あきによる歪んだサウンドがマッチ



■いわゆるトルコ系の特徴
なにをもって「最近のトルコ系」とカテゴリーされているのか?

単純に「トルコ製」のシンバルを指しているようですが、
ざっくりと製造方法、素材で区分されることが多いようです。

いわゆるこれら「トルコ系」は
・B20のキャストブロンズ使用
・機械でなくあくまで「ハンドハンマー」にこだわっている


このへんが近年「トルコ系」とカテゴライズされているポイントのようです。

因みにSABIANのHH Handhammerdシリーズは、
上記のカテゴリに当てはまるものの、
カナダ製のため「トルコ系」に分類されることは少ない気がします。
※暖簾元となるZILDJIANも正統派トルコシンバルなんですが、
現在ではほぼオールマシンハンマーなので、今ではあまりトルコ系とは呼ばれないようです。


この、ハンドハンマリングが最大の特徴で、
薄く延ばされランダムにハンマリングされたシンバルは、
音色が非常にダークで、倍音も非常に複雑、
「抜け」とは正反対の所にいる「メロウ」な音色。
楽曲と複雑に絡みあい、溶け込むような音色は、
とりわけジャズ系にピッタリの繊細なサウンドです。

80年代以前は「キレ」と「抜け」重視のものが多かったシンバルサウンドですが、
90年代、2000年代になり、「あたたかみのある深い音色」が要求されるようになりました。
そのような流れの中、この「ダークでメロウ」なサウンドが、
ジャズ系のみならず様々なタイプのドラマーに支持され、
ここ最近の「トルコ系」サウンドを確立してきました。


ISTANBUL / MEHMET NOSTALGIA 50s 20 RIDE 1800g
ISTANBUL / AGOP TURK 23 JAZZ RIDE 2450g

トルコ系を代表するイスタンブールのAGOP&MEHMET
特に23インチのターク仕上げはトルコ系を代表するドライサウンド


BOSPHORUS / Master Series 17 Crash 1024g
MEINL / B14SAH Byzance Vintage Benny Greb signature cymbal 14 Sand Hat

「薄さ命」のBOSPHORUSのマスターシリーズのクラッシュと
「現代的サウンド」のマイネルバイザンス、サンドハット14インチ
どちらも個性的なサウンドを発揮しております。

これらハンドメイドのシンバルは、
1枚1枚のハンマリングも絶妙に異なるため、
重さからピッチ、倍音の広がりなどの個体差も大きいです。

均一な製品が好みの方には厄介な問題かもしれませんが、
逆に1枚1枚の個性が違うため、「お気に入りの1枚」をこだわって探したい方にはオススメ。
※もちろん、クオリティは均一ですが、やはりフルマシンメイドの製品よりは個体差が大きいです。

因みにマイネルのバイザンスシリーズは、
現代技術であまり個体差が出ないようにしているようです。
見た目もしかり、ネオ・トルコ系といった印象のシンバルです。


■ますます進化するトルコ系の聖地、イスタンブールへ
と、前フリが長くなってしまいましたが、
何故今回「トルコ系」の解説をしていたかというと、、、

11/13より私、松岡が、
当イシバシ楽器としては2年ぶりに
ISTANBUL2社+BOSPHORUSのファクトリーツアーに参加して参ります!

昨年のZILDJIAN BOSTON工場に引き続き、
シンバルのルーツで有るトルコのISTANBUL社の見学ができるとは、、、
非常に光栄であります。


この目で、ルーツを同じくする
ZILDJIANとISTANBUL AGOP/MEHMETの3社の違いを確かめてまいります!


そして、この手でお気に入りのシンバルを探して来たいと思います!

そのレポートは次回にでも!

それではまた!



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■この記事を書いた人

松岡 武 Takeshi Matsuoka

中学生の頃突然ドラムに目覚め、そのままのテンションで音楽の専門学校に入学。卒業後よりお茶の水イシバシに勤務し13年、2016年6月より渋谷WEST勤務。20代のころはジョン・ボーナムにあこがれすぎて24インチのライドをバカバカ打ち鳴らしてました。豊富な現場経験を生かしたその人に合った楽器のチョイス、チューニングやメンテナンスポリシーで、様々なタイプのドラマーをサポート致します!



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