こんにちは、
渋谷WESTの松岡です。
基礎知識シリーズ5回目、
今回のネタは
キックペダル!![]()
?過去記事はこちらから?
わからないことは楽器屋さんに聞け!スネア選びのカンタン基礎知識
わからないことは楽器屋さんに聞け!スネア選びのカンタン基礎知識2
わからないことは楽器屋さんに聞け!ドラムヘッド選びの基礎知識
わからないことは楽器屋さんに聞け!スティック選びの基礎知識
ペダルって足版のスティックみたいなもの、
直接楽器を演奏するパーツなので、
プレイにかなり密接に関わってきます。
演奏のしやすさはもちろん、
音にも影響する、れっきとした楽器なのであります。
しかしこのドラムペダル
あまりに種類が多すぎてわけがわからない
なんて方も多いのでは??
今回、そんなペダルのタイプ別の特徴を解説したいと思います。
■シングルペダルとツインペダル
シングルペダルとツインペダル
大まかにこの2タイプが存在するかと思いますが、
シングルペダルは…
その名の通りの「片足用」のペダルです。
通常利き足にキックペダル、
その逆足にハイハットスタンドといった形式がもっとも一般的。
ドラムセットでは誰しもが使うであろうアイテムです。
ツインペダルは…
いわゆる「両足」を駆使できるキックペダルで、
利き足でないほうをシャフトを介して遠隔駆動します。
通常は右利き向けの、右足側にビーターが2個付いたスタイルですが、
その逆の左利き用のモデルも機種によっては存在してます。
ツインペダルは片足では不可能な高速連打や、
複雑なフレーズを可能にしてくれるアイテム。
わさわざドラムセットを2バスにしなくても、
左足でバスドラムを演奏できるのは魅力的。
最近では様々なスタイルのドラマーが愛用しています。
ちなみに、
左でバスドラムを演奏するときって
ハイハットはどうしてるの??
って思う方もいるのでは?
基本はその間、ハイハットペダルから足を離しちゃうことが多いです。
※同時に操作できるという強者もおりますが(笑)
そうするとハイハットは完全開きっぱなし!
になってしまうのですが、それを避けるため、
ドロップクラッチなどのハットの開き具合をコントロールするアイテムや
クローズドハットなどの、あらかじめツインペダル使用時の
ハイハットワークをサポートするアイテムもあります。
ツインを使いたい方はこちらも注目してみて下さいね。
■ドライブ方式について
チェーンドライブやらダイレクトドライブやら
いろいろあって初めての方にはピンと来ないかもしれません。
ドライブ方式は
直接踏む場所である「フットボード」と
シャフトにくっついている「カム」をつなぐパーツの方式です。
そんなドライブ方式による特徴を簡単に説明して参ります。
・チェーンドライブ
現在ではもっともスタンダード。
いわゆる鉄の「チェーン」で引っ張る方式です。
適度にしなやかながら金属で出来ているため、力を安定して伝達出来ます。
「シングルチェーン」は1本のチェーン
「ダブルチェーン」は2本のチェーンで引っ張ります。![]()
DW 6000AX
シングルチェーンは軽快な動きが特徴の反面、
若干剛性は弱く、横ブレが生じることもあります。![]()
DW 5000AD4
ダブルチェーンは剛性が高く、パワーロスも少ないため、
音量も出しやすく横ブレも少なくかっちりした印象。
シングルチェーンよりやや鈍重になることもあります。
・ベルトドライブ![]()
YAMAHA FP720
チェーンの代わりに「ベルト」を使用したタイプ。
ベルトの素材はゴムだったりナイロンだったりします。
一般的にチェーンよりも「しなり」を感じる軽快な踏み心地で愛好家も多い
ただ、パワー面ではチェーンよりも若干劣るのと、
しなりが生み出す独特の感覚は好き嫌いの分かれるところ。
音色もチェーンよりはアタックがおとなしくなる傾向です。
・ダイレクトドライブ![]()
PEARL P-3000D ダイレクトドライブ
チェーンやベルトではなく、金属のシャフトで直接引っ張るタイプ。
先の2タイプに比べ、「しなり」が皆無であるため、
より「ダイレクト」な感覚で演奏出来るのが特徴。
強弱なども付けやすく、テクニカルでスピーディなプレイに適する。
しかし、まったく「遊び」がないのでやや癖を感じる事がある。
プレイヤー、プレイスタイルによって相性の差が出やすいともいえる。
大昔は「ベルト」と「ダイレクト」が主流であったが、
ここ30年では「チェーン」が主流となっている。
それぞれに特徴があり、個人の好みが大いに反映されるものです。
ただ、最初の1台としては、
チェーン系のほうが選択肢も多くあることもあり、
多数派であるチェーンがベターといったところでしょう。
■カム形状について
さて、踏み心地の違いはドライブ方式だけではありません。
その先の「カム」の部分にも注目してみて下さい。![]()
PEARL P-2050の付け替え可能なカム
この「カム」の形状には大まかに
「真円」と「偏芯」タイプがあります。![]()
DW5000TD4 カム形状
真円タイプは名前通りにまん丸のカム形状
踏みはじめと踏み終わり、どこのレンジでも常に一定のアクションです。
いわゆる「癖の無い」アクションで、多少踏み方にムラがあっても、
ある適度はカバーできてしまう感覚といったところ。
とりわけスライド系のプレイでは安定したプレイがしやすく、
音の粒にムラが出にくいため、ビギナーにも扱いやすい方式です。
ただし、強弱などある程度コントロールを利かせたプレイには
「重い」といった感覚を感じる事もしばしばあるかもしれません。![]()
DW 5000AD4 カム形状
偏芯タイプはそのカム形状に変化を持たせたタイプで、
一般的には踏み終わりにつれて加速していくタイプが多く見られます。
特徴としては、真円タイプにくらべ
「軽くてもパワフルに踏める」
「細かい動きを出しやすい」というような印象を感じられると思います。
ただ、その分「癖」を感じる事もあり、
ちょっとした踏みムラがやたらと大きくなってしまったりする事も。
ある程度コントロールできるドラマーには非常に武器になりますが、
反面ミスショットも出やすい「シビアなペダル」になります。![]()
DW MDD ダイレクトドライブ
ちなみに「ダイレクトドライブ」は偏芯を極端にした感じで、
遊びの少なさもあいまって「かなりシビア」なペダルと言えるでしょう。
その分コントロール出来れば強力な「武器」になるため、
強弱などの表現力を向上させたいドラマーには
偏芯やダイレクトタイプがおススメです。
■アンダープレートについて
よく廉価モデルには
アンダープレート(いわゆる底の板)が無いモデルも存在します。
もちろんプレート有りのタイプの方が安定感、パワー感はありますが、
無しのタイプは逆にフィーリングが軽い、折り畳みが出来るなどのメリットもあり、
こちらのタイプの方が好みと言う方も多くいらっしゃいます。
■フットボートについて
フットボードはつまり直接足で踏むボードで、
このサイズも各社様々なタイプがございます。
最近ではロングボードといった通常より長くしたモデルや、
ヒールレスといったかかとの部分が無いものなど多種多様です。
また、滑り止めの感じも多様で、
滑りやすい機種やグリップの強い機種、
または調整できる機種もあります。![]()
極端なロングボートのSPEED COBRA HP910![]()
P-2050と比較するとこんなに違う!![]()
PEARL P-3000シリーズをかかと無しにカスタム時
■ビーターについて
直接叩く「ビーター」は最もバスドラの音色に影響があると言えます。
最もベーシックなフェルト巻きのタイプや、
片面フェルト、片面はプラスチックのもの、
ちょっと特殊な形状のものなど、こちらもメーカーによる違いが大きいです。
しかし、ここの部分は後からでも交換可能ですので、
まずはデフォルトの物を使ってみて、
変化を持たせたい場合は交換してみるのも良いでしょう。
※ひと昔前の機種はビーターのシャフトの太さが合わない!という事象も有りましたが、
現行モデルは改善され、おおむね統一されるようになりました。
■最後に
初めてのペダルにおススメのベスト3!
シングルチェーン/ダブルチェーン/ベルトの3タイプに分けてご紹介!
・TAMA HP200P (シングルチェーン)![]()
タマのアンダープレート付きのシングルチェーンモデル。
この価格帯にしては珍しい「偏芯」カムのパワーグライド仕様。
偏芯ではありますが、きついクセも無く、ビギナーでも扱いやすい。
とにかくコストパフォーマンスの高さが魅力。
コブラコイルなどのオプションも付けられたりと機能も充実!
・PEARL P-2050 (ダブルチェーン)![]()
パールのベストセラー2000シリーズ「エりミネーター」シリーズの最新版
安定性、パワー、耐久性、全ていおいてバランスの取れた機種。
何よりカムが付け替え可能で4種類ついてくるため、
自分好みのセッティングにカスタム可能です。
踏み方やスタイルが変わってもある程度対応出来るのは嬉しいところ。
しかもセミハードケースも最初から付属です。
・YAMAHA FP720 (ベルトドライブ)![]()
ベルトドライブの代表的存在、というか伝説的存在で、
一度廃盤だったものがユーザーの強い要望で昨年復活したヤマハの名器。
著者も高校生の頃初めて購入したペダルでもある。
よく学校の音楽室にあったりする、実にベーシックなモデルであるが、
若干ワイドでロングなフットボートにより、アンダープレート無しにしてはパワフルです。
とりわけベルトドライブの滑らかさは特筆モノで、
踏みクセの少ないバランスに優れたモデルです。
また、アンダープレート無しで折りたたみ可能なのもポイントです。
ざっくり説明して参りましたが、
大まかな違いは解りましたか?
熟練すると
ある程度スペックで踏み心地を予測することは出来ますが、
似たようなスペックでもメーカーが変われば、
やはり使用しているパーツなどのバランスで
その踏み心地は大きく変わってくるものです。
スティック同様に、
ペダルもその人の奏法や体格、クセなどによって感じ方もそれぞれです。
今回ご紹介したのは
あくまでスペックによる一例です。
このスペックの違いを参考にして、
踏み心地をイメージしていただけると幸いです。
自分に合ったペダル探しのためには
楽器屋さんの店頭や、スタジオに備え付けの機材で、
是非積極的に試してみてください。
やはり経験を積むことにより、より自分の好みが解ってきます。
また、自分でペダルに細かい調整を施せられるようになれば、
より自分好みのセッティングを見つけられるかもしれません。
それでも困ったら楽器店のスタッフに相談してみてくださいね!
それではまた!
■この記事を書いた人
松岡 武 Takeshi Matsuoka
中学生の頃突然ドラムに目覚め、そのままのテンションで音楽の専門学校に入学。卒業後よりお茶の水イシバシに勤務し13年、2016年6月より渋谷WEST勤務。20代のころはジョン・ボーナムにあこがれすぎて24インチのライドをバカバカ打ち鳴らしてました。豊富な現場経験を生かしたその人に合った楽器のチョイス、チューニングやメンテナンスポリシーで、様々なタイプのドラマーをサポート致します!