楽器屋さんに聞けシリーズ in TURKEY 飛んでISTANBUL2018 後編

2018年イスタンブール買付の後編、メメット&ボスフォラスです!

2018-07-24 こんにちは、渋谷WESTの松岡です。

2018年6月17日から22日までの間、
トルコ・イスタンブールへのシンバル買付ツアーが、
昨年、11月に続き、ノナカ貿易様の協賛にて行われ、
私、松岡が再び現地に飛んで参りました!

今週はその後編でございます!
<前編はこちらから!>


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■ツアー3日目 6/19(火)・ISTANBUL MEHMET訪問

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ツアーの3日目はイスタンブール・メメット社へ

こちらもアゴップ社同様、
イスタンブール市街地よりは約30kmほど離れた工業地帯の一角にあり、
アゴップ社よりは少しコンパクトで「昭和の町工場」の様な雰囲気です。

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中に入るとちょうど良いタイミングでキャスティングの作業を行っていました。

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ちょうど材料を溶かしあわせているところ

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十分溶けるまで(およそ1200度)熱し

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鋳型に流し込みます

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ローラーで繰り返し延ばしていきます。

さらに繰り返し薄く延ばし、熱処理し「粘り」強度を出します。
そしてカップを成型し、エッジをサイズ通りにカットします。



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綺麗にカットされた余りは、再び先ほどのキャスティングの原料になります。

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こちらではハンマリングを行っています。

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ISTANBUL AGOP社とMEHMET社を比較しましたが、
キャスティングから成型前の工程は、
機械の違いは有れど、それほどの大きな違いは無いように感じました。

しかし、ハンマリングのベーシックなパターンは、
ISTANBUL AGOP:ランダム感が強い、すなわち倍音濁りめ
ISTANBUL MEHMET:比較的規則性を感じる、倍音がスッキリめ

のように感じました。

シリーズによって違いは有ると思いますが、
この違いは2社のキャラクターの差になっているのは間違いないです。

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こちらはブリリアント仕上げの工程
職人さんが丹念にバフ掛けを行っています。


さて、工場見学を終え、午後は選定会!

今回見つけた中に、非常にツボにはまってしまったのが、、、



MCジャズシリーズのプロトタイプ?の22インチライド
このシリーズは、「JAZZ向け」で薄いんですが、
このライドは何と3455g!全然JAZZじゃない(笑)

しかしながら、、、
音色は非常に良く、重厚なピング音が非常に魅力的。
ロック/メタル系も対応できそうなパワフルなサウンド。
個人的に欲しくなってしまいました(笑)

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今やトルコシンバルのゴッドファーザー的存在?のメメット氏と2ショット

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近年ではこのような「消音系」のシンバルにも取り組んでいるそう、
ここ最近では各社でリリースされていますが、
メメットの製品は、シンバルのナチュラルさが生かされているようでした。

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今回も良いシンバル達が買付できました、
オススメはLEGEND DARKの19インチのRIDE!
19インチながら物足りなさを感じさせない深みのあるサウンド
セカンドのライドに最適、店頭に入荷の際は是非お試し下さい!

こうしてツアー3日目が終了!


■ツアー4日目 6/20(水)ボスフォラス工房へと!


ツアーも半分の日程が終わり、
今回の工場見学のトリを飾るのがボスフォラス!

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前回より少しグレードアップした車がお出迎え(笑)
※前回の車は後部ガラスにヒビが入っているような物凄い状態

この車で約1時間ほど揺られ、、、先ずは事務所にお邪魔しました!

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ここでは主にアーティストを招き入れ、
ストックの中から試奏したり選定したりできるようになっているそうです。

事務所でご挨拶し、早々に工房へ移動

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工房は事務所から車で数分のロケーション

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ボスフォラスの工房も市街地から約30kmほど離れた所にありますが、
工業地帯といった感じの所ではなく、
少し内陸の水や緑豊かな郊外の住宅地のそばにあります。

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ここに工房を構えた理由はここの土地は地下水が豊富で、
シンバルの冷却に使用できる水の水源が、OLD K時代と同じ系統の水源だとのこと。
ボスフォラスのしなやかなシンバルの秘密はここに有ります。

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工房内はこじんまりとした作りで、奥ではキャスティング等の合金作り、
手前の部屋ではハンマリング、レイジングが行われています。

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早速メルティング作業を見てみましょう!

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他の2社との決定的な違いは、昔ながらの製法で合金を鋳造する事。
電気式の釡を使わず、地中に埋めたツボを石炭で高温に熱する方式です。
このこだわりがボスフォラスならでは!

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灼熱のメルティングを動画でどうぞ!
夏なのに長袖スウェット着用している過酷な環境。
正直、メチャクチャ暑いです、、、

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鋳造された合金をひたすら延ばし、、最後は炭素を抜く「急速冷却」

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ピザが美味しく焼けそうなオーブンで熱し

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こだわりの「水」が入ったプールで急速冷却します。

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冷却すると真っ黒だった金属がシンバルらしい色に!

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この作業をすることで柔軟性のあるシンバルに適したブロンズが出来上がります。

とりわけボスフォラス社はこだわりの水を使う事で、
炭素が抜ける代わりに水中のミネラルが取り込まれ、
他メーカーよりもより粘りのある素材になるとのこと。



だからこそより薄く延ばすことが出来、なおかつ割れづらいそうです。


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工場見学を終え、美味しいトルコ料理の昼食を堪能し、
午後は選定会&カスタムオーダー!

今回もその場で穴あけをお願いしました!

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専用のテンプレートでマーキング


実はこんな感じで一気に穴を開けているんです!
これも柔軟性に富んだボスフォラスならではでしょう。

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今回特別に穴あけをお願いしたNew Orleansの22インチチャイナ!
22インチのサイズもさることながら18ホールを開けた
ノイジーでエフェクティブなスペシャル仕様です!

前回同様穴あけカスタム品と未発表の「SILVER」シリーズを中心に
大盛り上がりの選定会&カスタムオーダーも終了!

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これにてファクトリー訪問&選定会も無事終了。
明日は日中は市内観光のち、深夜にトルコを発ちます。


■ツアー5日目/6日目 6/21(木)-6/22(金) イスタンブール市街を巡る

あっという間のトルコツアーも最終日、
つかのまの休息と言いたいところですが、
今日の夜にはトルコを発たねばなりません。

最終日は少々市内巡りをしましたので少しでも情景をお伝えできれば、、、

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イスタンブールは海峡の街、
アジアとヨーロッパを隔てる「ボスフォラス海峡」に跨り、
北には黒海、南にはマルマラ海と海に囲まれた街でもあります。

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このような海に囲まれた環境なので、定期船も運行されており、
ヨーロッパ側からアジア側に移動する際、船も頻繁に利用されるようです。

古くからシルクロードに沿った重要都市として栄えてきたイスタンブール

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市街地は非常に人口も多く、活気に満ち溢れています。

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グランドバザールの入り口、
東京で言うとアメ横みたいな印象でしょうか?

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建物もアジアンとヨーロピアンが調和している印象で、


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アヤソフィアはイスラムのモスクであったり、
カトリックの教徒大聖堂であったりと歴史に振り回された建物ですが、
非常に美しくビザンティン建築最高傑作と評価される。

もっともっと美しいイスタンブールの街並みをお伝えできればよかったのですが、
不安定な情勢もあり、観光は最低限ですのでご了承下さい。
(勿論仕事で来ているので仕方ない、、、)

実に古い歴史を持ち、かつては世界の中心であったとされるイスタンブール。
食べ物も景色も文化もアジアとヨーロッパの良いトコ取りといった感じで、
是非ともプライベートでも訪れたいと思える実にワクワク出来る都市です。

もっとゆっくりしたかったところですが、
あっという間に1日が過ぎ帰路へと、、、、

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偏西風に乗って、帰りは1時間ばかし早い11時間のフライト、
太陽に向かって飛んでいるので、あっという間に夜は明け、
遅れていた時間を取り戻していきます(あっ、体内時計がまたメチャクチャに)

行きではあまり眠れなかったのですが、
帰りは相当疲れていたのか何もも食べず爆睡。
あっという間に成田に帰ってきたような感じでした(笑)


■二回目の訪問を終えて、、、

今回は前回の訪問から1年も経たずの訪問になったトルコのシンバル選定ツアー
前回のシンバルもおかげさまで非常に好評で、
おかわりアンコールツアーとなったようなカタチですが、
今回もまた個性あふれる良いシンバルを30枚強買付致しました!
※入荷は8月中を予定しております、入荷次第随時情報更新致します!!

そして今回、
リットーミュージックさんの「ドラムマガジン」の取材も同時に行われており、
8/25日発売の10月号に「トルコシンバル特集」として大々的に取り上げられる予定です。
かなり濃い内容の記事になると思いますので、こちらも是非チェックしてみてください。

また、私個人としても前回の記憶が鮮明なうちに行けたので、
基本的なルーツを同じとする3社のコンセプトの違いや
製法の微妙な違いがよりハッキリ見えたように思います。

もともとは同じ暖簾であったので、基本的な製法、技法は近い物がありますが、
使う機材や環境などは3社3様で、製品のキャラクターの違いとして現れてくるのだと感じました。


今回も企画して下さった国内の輸入代理店のノナカ貿易様、
また訪問先のISTANBUL AGOP・MEHMET、そしてBOSPHORUSの皆様には
毎度ながらお世話になりっぱなしで大感謝でございます。
今回も素晴らしいシンバル達に出会えました!!!

そして余談ですが、、、

最終日に飲んだ「氷入りのコーヒー」の仕業なのか、
帰国後翌日にお腹が急降下、2日程度悶絶してました(涙)
皆様も海外での「氷」には気を付けましょう。
(むしろ全日程終了後だったのが奇跡的)

それではまた!

■過去記事はこちらから■

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■この記事を書いた人

松岡 武 Takeshi Matsuoka

中学生の頃突然ドラムに目覚め、そのままのテンションで音楽の専門学校に入学。卒業後よりお茶の水イシバシに勤務し13年、2016年6月より渋谷WEST勤務。20代のころはジョン・ボーナムにあこがれすぎて24インチのライドをバカバカ打ち鳴らしてました。豊富な現場経験を生かしたその人に合った楽器のチョイス、チューニングやメンテナンスポリシーで、様々なタイプのドラマーをサポート致します!


MATSUOKA