Harvest Guitarsの植松です。
今回は、1955年に製造された、、ヴィンテージのSouthern Jumboをご紹介いたしましょう。
徹底解析していきますので、是非最後までお楽しみください!
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- 目次
・Gibsonの1950年代
Gibsonにおける1950年代は、Gibsonの歴史を語る上では切っても切り離せない時代。
現代でも人気のレスポールを筆頭に、エレキギターにおいて数多くの成長を見せました。そんな流れを汲んだためか、アコギでは、ピックアップを乗せたCF100E(1951年)、J-160E(1954年)が製作されております。
そんな50年代のSouthern Jumbo、主な仕様はこちら↴
変更点 | 変更年 | 補足 |
---|---|---|
ノンスキャロップドXブレイシング | 54年~55年 | スキャロップドXブレイシングからの変更で、よりワイルドなサウンドへ! (Xブレイシングを削り込んでいないのが特徴) |
アッパーベリーブリッジ(ロング、→ショート) | 49年にロングサドルのアッパーベリーが登場、53年にショートサドルに変更 | 以外にも40年代頃から登場。 やはり50年代と言えばこのブリッジです。 |
アジャスタブルブリッジ | 56年頃にカスタムとして登場 | 60年代のイメージの強いアジャスタブルブリッジですが、以外にもか |
レギュラーネック | 50年代初期 | ナット幅42-43mmで、やや厚みが残ッ得おります。現行のRoundネックに近い印象。 |
フレット数(19→20) | 55年 | 戦中モデルの特徴でもある、19フレットは、55年になると20フレットに変更されました。 |
ラージピックガード | 56年 | 小さめなティアドロップピックガードから一転し、かなり大きなラージピックガードへ変更。 |
戦中モデルから大きく仕様が変更されていますね。
サウンド面ではやはり、ノンスキャロップドXブレイシングでしょうか。
音がよりワイルドになったというか、よりGibsonらしいレンジの絶妙なレンジの幅がこの頃から構築されていったと言えるでしょう。
外観部分も見ていくと、大きなラージピックガードが目を惹きます。
物資が滞っていた第二次世界対戦中と比べ、物資は安定しており、
50年代末にはフォークソングブームが流行。その流れで1960年には、Gibsonアコースティックギターの最盛期を創出することとなります。
では、今回の主題であるGibson / Southern Jumbo 1955年製に迫ってまいりましょう。
・Gibson / Southern Jumbo 1955年製
¥1,480,001(税込み)










【当個体の状態の説明】
年式相応のキズ、打痕、塗装剥がれ、ウェザーチェックが全体的に見られますが、年式を考えればまずまずのコンディションです。
ボディサイド部分に白濁が見られます。
クラック修正跡はなし。バックにタッチアップ修正の痕跡が散見されます。
ネックには、おそらくカポの跡と思われる凹みが散見されます。
トラスロッドは締め方向に60度以上の余裕が残っております。
比較の際にもお話いたしましたが、ペグは金属ノブのクルーソン・タイプに交換されております。
当店提携先リペア・ショップにて、ネック・アングル調整、リフレット、シムを挟んでのナット高さ調整、サドル新規作成、ネックの1弦側のバインディング剥がれ修正をおこなったため、
演奏性にも十分優れております。プレイヤーズコンディションでの販売となります。
さて、改めまして今回ご紹介いたしますのはGibson / Southern Jumbo、1955年製のモデルとなります。
仕様木材は、スプルーストップ、マホガニーサイドバック、もちろんオール単板、ラッカー塗装。
ネックマホガニー、指板ブリッジはブラジリアンローズウッド(ハカランダ)が使用されております。
スケールはGibsonスケールともいわれるミディアムスケール、ブリッジはショートスケールのアッパーベリーブリッジ。
ラージピックガードに20フレット仕様、肝心のブレーシングもノンスキャロップドXブレイシングと、前述した仕様がいたるところに感じられます。
実は、J-45の上位機種でもあり、より豪華なヴィジュアルも特徴の一つとなっております。
※J-45とSouthern Jumboの違い②
こちらの方で、軽く説明はいたしましたが、今回は、実際に例を紹介しながら解説していきます。
(J-45の方は、こちらのブログで取り上げたMurphy Lab製J-45を採用)

『全体の外観』
左がJ-45、右がSouthern Jumbo。
やはり、Southern Jumboが上位機種なことも相まって、より豪華な印象を受けます。


『ボディトップ』
ボディのマルチバインディング、ロゼッタ部分に違いが見受けられますね。
どちらも渋みがあって、お酒の進みそうな外観!!


『ボディバック』
ボディトップ同様、バインディングが異なっております。


『ヘッド』
ヘッドには、クラウンインレイの有無が確認できます。
Southern Jumboのペグは、金属ノブのクルーソン・タイプに交換されております。


『指板』
指板のインレイは、ダブル・パラレログラム・ポジションマーク。
ハミングバードを筆頭についているインレイですね。
対して、J-45はよく見かけるパール型インレイ。
指板バインディングの有無も確認できます。
外装だけでも、かなり違いが見受けられますね。
※ファクトリーオーダーコードの小話
1955年の根拠は、上記の仕様、そしてファクトリーオーダーコード【W17326】から
1955年の判断をしております。
この年代のファクトリーオーダーコードは、1952年から1961年頃まで使われていたシリアルナンバーのようなもので、例えば、
- U: 1957年
- T: 1958年
- S: 1959年
- R: 1960年
- Q: 1961年
このような英語で分けられており、年代を識別することが可能です。
こういった部分でも、年代を感じることができますね。


さて、話を戻しましょう。
実際に弾いてみた感想ですが、
ネックシェイプは、丸みを残しつつも全体的にスリムな印象。ナット幅約43mm。
それこそ戦中モデルに比べるとかなり握りやすく、レギュラーネックに変化していったのが見て取れます。
長い時間握られていたためか、肌なじみも良い感触。
このネックだからこそ生まれるサウンドがあるのでしょう。
その肝心のサウンドですが、、、歯切れのよいジャキジャキとした野太いサウンド、
体全体に伝わってくる低音の響き、何をとっても「これぞヴィンテージギブソン!」と納得させられるようなサウンド。
Gibsonの得意とするコードストローク、弾き語りだけではなく、リードプレイにも追従してくれる、バランス型Southern Jumboの
到達点と言えるでしょう。
当時のGibson Southern Jumboの解釈を考えさせられるような、、歴史的価値の高い一本。
私が当店で最もおすすめしたいヴィンテージアコースティックギターです!
・最後に
いかがでしたでしょうか。
年々高騰を見せているヴィンテージギブソン。手に入れるなら今です!
この貴重な55年製 Southern Jumbo、是非ご検討下さいませ!
ご来店お待ちしております!
それでは良いギターライフを!