【御茶ノ水本店ハーベストギターズ】Gibson/Hummingbirdを片っ端から徹底分析!【アコースティックブランド徹底分析番外編#1.5】

Harvest Guitarsの植松です。
いつもの番外編では、一本物のヴィンテージやCustom Shop製モデルをご紹介していますが、
1番外編も折り返しに差し掛かってきたということで、今回は、お店のHummingbirdをすべてご紹介いたします!
ぜひ最後までお楽しみ下さいませ!

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Hummingbirdとは、1960年に誕生したGibson初のスクエアショルダー型のモデル。
Gibson従来のラウンドショルダー型ではなく、Martinドレッドノートのようなサイズ感が一つの特徴となっております。
(ドレッドノートと比べると、ボディ幅約16インチと少し大きめです。)

サウンドは、J-45のようなジャキジャキとしたキレのあるサウンドとは対象的な、クリーミーで甘くとろけるようなサウンド。
このようなサウンドから、Hummingbirdのサウンドは、ハニートーンと呼ばれております。
はちみつのようなトーンとは、Hummingbirdにピッタリの名前ですね。

かくいう私も、Gibson/HummingbirdMartin/D-35のような、控えめで夜寝る前に弾きたいようなサウンドが好みで、
せっかくなら全部紹介してしまおう!と今回のブログを思いつきました。

木材としては、ボディトップスプルース、サイドバックマホガニーのGibson王道の組み合わせ。もちろん単板、ラッカー塗装です。
ネックはサイドバック同様マホガニー、指板はローズウッドミディアムスケール採用です。

J-45と全く同じ木材、仕様にも関わらず、ボディ形状だけで、ここまでサウンドの差が出るとは、、、やはりアコギは奥が深いと思わされます。

外観も申し分なく、指板のダブル・パラレログラム・ポジションマークやクラウンインレイ、ネックバインディング
特にHummingbirdのアイデンティティでもある、ハチドリの描かれた大きなピックガードが目を引きます。

カラーは、初年度に登場したチェリーサンバースト、その後登場のナチュラルカラーが多い印象です。

そんなHummingbirdですが、多くのアーティストがこぞって使用しております。
主な使用アーティストはこちら↴

主な使用アーティスト(※敬称略)
清水依与吏(Back number)
コレサワ
斉藤和義
福山雅治
秦 基博

※特に清水依与吏さん(Back number)は、一番新しくリリースした曲である「ブルーアンバー」にも、こちらのギターが使用されておりました!

なぜ多くのアーティストが、ここまで魅了されるのか。
このブログを通して、Hummingbirdの魅力を解き明かしていきましょう!


まず初めにご紹介いたしますのは、Gibson /Studio Walnut。Gibsonモダンコレクションの中でも比較的安価な、Studioシリーズのモデルとなります。

【モダンコレクションとは】
モダンコレクションとは、ヴィンテージの再現にはにはこだわらず、現代的な仕様を多く取り込んだコレクション!
例えば、通常使われる木材とは異なっているものが使われていたり、ブリッジの仕様が異なる等、多岐に渡ります。
より詳細な説明はコチラから

Hummingbirdにしては珍しい仕様で、ボディサイドバックとネックにウォルナットが採用されていたり、
全体的にサテン塗装が施されております。もちろん、ニトロセルロースラッカー仕上げ。
そのためか、通常のサウンドと比べて、かなり軽快で、明るめのサウンドが特徴となっております。

エレアコ対応で、ピックアップには、L.R.Baggs™ Element Bronze(アンダーサドルピエゾピックアップ)が搭載されております。

ネックプロファイルは、アドバンスト・レスポンス・プロファイル
ラウンドに近いような握り心地で、少し太めの感触をしております。

ネックのバインディングは入っておりませんが、ダブル・パラレログラム・ポジションマークやクラウンインレイが、
この値段帯でもしっかり再現されているのは、ポイントが高いですね。

比較的安価なモデルのため、Hummingbirdが高くて買えない!とお困りの方や30万円以内でお探しの方には、ぜひともおすすめしたい一本となっております!

Shape : Hummingbird
Body Material : Walnut
Top : Sitka Spruce
Binding : Multi-ply Top and Back, Single Ply Headstock and Fretboard
Profile : Advanced Response
Nut width : 43.815 mm / 1.725 in
Fingerboard : Walnut
Scale length : 628.65 mm / 24.75 in
Number of frets : 20
Nut : TUSQ
Inlay : Mother-of-pearl Parallelogram
Bridge : Belly-up, Walnut
Tuners : Grover Rotomatic
Electronics : L.R.Baggs Anthem Piezo Pickup and Microphone
Controls : Soundhole Mounted Volume, Mix, and Phase
Case : Modern Hardshell

2つ目にご紹介いたしますのは、Hummingbird Standard Vintage Cherry Sunburst
モダンコレクションの中で最も主流なシリーズであるStandardシリーズとなります。

仕様は、想像の通り。
Studio Walnutでは、サイドバックや指板にWalnutが採用されておりましたが、こちらは正規仕様のマホガニーサイドバック、
ローズウッド指板
が採用されております。
チェリーサンバーストスプルーストップ、そしてこの赤さのあるサイドバックマホガニーの組み合わせには、惚れ惚れとしてしまいますね。

ピックアップは、L.R.Baggs ELEMENT VTC
Gibsonアコースティックギターにおいて、最も搭載率の高いピックアップ。Costom shop製においてもこちらが多く使用されております。

サウンドとしては、ヴィンテージリイシューと比べて少し高域が出ており、よりバランス力に特化したサウンド。
多様化する現代音楽に対応するかのようなバランスの良さで、モダンコレクションの強みが存分に出ているように感じます。

金属パーツが金色ではなかったりと、細かな仕様の違いこそあるものの、ヴィンテージのHummingbirdに多く類似する点も多く、
現代としてのHummingbirdがしっかりと表現されているような印象。

ステージやライブに出る方や演奏性を重視したい方には、ぜひともお勧めです!

Shape : Hummingbird
Body Material : Mahogany
Top : Sitka Spruce
Binding : 5-ply Top, 3-ply Back, Sigle ply Fingerboard
Profile : Round
Nut width : 43.815 mm / 1.725 in
Fingerboard : Indian Rosewood
Scale length : 628.65 mm / 24.75 in
Number of frets : 20
Nut : TUSQ
Inlay : Mother-of-pearl Parallelogram
Bridge :Reverse Belly, Rosewood
Tuners : Grover Rotomatic
Electronics : L.R.Baggs ELEMENT VTC
Controls : Soundhole Mounted Volume and Tone
Case : Hard case

先ほどモダンコレクションをご紹介いたしましたので、お次はオリジナルコレクションから!
Gibson / Hummingbird Original Heritage Cherry Sunburst をご紹介いたしましょう。

【オリジナルコレクションとは】
オリジナルコレクションとは、モダンコレクションとは異なり、できるだけヴィンテージの仕様にこだわったコレクション。
ペグやネックシェイプ、バインディング等、各所に再現されているものが伺えます。
より詳細な説明はコチラから

先程ご紹介したスタンダードと同じく、スプルーストップにマホガニーサイドバックネック、ローズウッド指板を採用。

異なる点は主に外観。チェリーサンバーストを退色させたかのようなボディカラー、ゴールドパーツ、クルーソンタイプペグを代表例に、よりクラシカルな外観をとっており、ヴィンテージの再現に力を入れていることが伺えます。
先ほどのチェリーとはまた違った良さを感じられるカラーリングですね。

Hummingbirdのアイデンティティでもあるハチドリのピックガードは、ポインテッド・ピックガード(絵柄彫り込みタイプ)を採用しており、スタンダードにはなかった立体感が生まれております。

ネックプロファイルは、スタンダード同様ラウンド。
ナットは、牛骨を使用しております。(多くのモデルはTUSQと呼ばれる、人口のものを使用しております。)

サウンドは、スタンダードと比べるとよりHummingbird味のある、まるで包みこまれるようで温かな中域が特徴的。
Hummingbirdと言えば、、、やはりこの音ですよね!
この甘くとろけるような、寝静まる前に軽く引きたくなるかのような音色というか、、、
ただただ素晴らしいと感じざるを得ません。


スタンダードよりもヴィンテージライクなHummingbirdをお探しの方にはぜひともおすすめです!

Shape : Hummingbird
Body Material : Mahogany
Top : Sitka Spruce
Binding : Multi-ply top, multi-ply back
Profile : Round
Nut width : 43.815 mm / 1.725 in
Fingerboard : Rosewood
Scale length : 628.65 mm / 24.75 in
Number of frets : 20
Nut : Bone
Inlay : Mother-of-pearl Parallelograms
Bridge :Traditional belly up
Tuners : Gotoh Keystone
Electronics : L.R.Baggs ELEMENT VTC
Controls : Soundhole Mounted Volume and Tone
Case : Hard case

さて、大まかなレギュラーラインナップも一段落してきましたので、お次はCustom Shop製である、
Gibson / 1960 Hummingbird Fixed Bridge Heritage Cherry Sunburstをご紹介いたしましょう。

【Custom Shopとは】
Custom Shopとは、歴戦の職人がすべて手作業で制作するモデルで、レギュラーラインナップとは一線を画します。
細かく分けると3つに分けられ、レギュラーコレクションヒストリックコレクション、そして最上位モデルであるMurphyLabが挙げられます。
特にMurphyLabに関しては、2023年に始まったばかりのモデルラインナップ。他のラインナップと違う点は、ずばり、Aged処理にあると言えるでしょう。
Aged処理には、軽度なウルトラライトから、かなりAged処理のされたウルトラヘビーまで、4段階のAged処理をラインナップしております。

こちらのコレクションは、ヴィンテージの再現に特化したヒストリックコレクション
本機は、Hummingbirdの生まれ年でもある、1960年を再現したVOSモデルとなっております。

Heritage Cherry Sunburstのボディカラーは、退色されつつも本来の赤さの残る、独特な風格。
当時の製法をもとにしたハチドリのキャストピックガードと相まって、よりヴィンテージライクな印象を受けます。

ボディ材やネック指板はおなじみの仕様で、スプルーストップ、マホガニーサイドバック。
マホガニーネックにローズウッド指板仕様。
木目の整ったスプルース、マホガニーの柾目は目を見張るものがありますが、
何と言ってもこちらの個体、、、Thermally Aged加工がトップに施されております!

【サーマリー・エイジド加工とは】
サーマリー・エイジド加工とは、加工時に特別な熱処理を加えることで、木材を乾燥。
これにより、水分、油分が抜け、材自体が硬質化する状態を再現。
そのため、ヴィンテージギターのような、豊かで枯れたようなサウンドが生み出されております。

この加工、そしてレギュラーラインナップのラッカーを更に半分の薄さにしたシン・ラッカーで仕上げされております。
サウンドのレベルは、レギュラーラインナップとも一線を画すほど。
どの音域もカバーされていて、明瞭さの中に暖かさが残っているような、、、
Hummingbirdの特徴でもあるバランス力が特化されているような印象を受けます。

一生物のHummingbirdをお探しの方や、ヴィンテージライクなギターがお好きな方には非常におすすめです!

Shape : Hummingbird
Body Material : Mahogany
Top : Thermally Aged Sitka spruce
Binding : Multi-ply top, multi-ply back

Bracing : Traditional Hand Scalloped X-bracing
Finish : Thin Finish Nitrocellulose, VOS

Profile : Round
Nut width : 43.815 mm / 1.725 in
Fingerboard : Rosewood
Scale length : 628.65 mm / 24.75 in
Number of frets : 20
Nut : Bone
Inlay : Mother-of-pearl Parallelograms
Bridge :Traditional belly up
Tuners : Gotoh Keystone
Case : Hard case

では、最後の一本である、Gibson / Custom Shop Murphy Lab Collection 1960 Hummingbird Light Aged Heritage Cherry Sunburst 
ご紹介いたしましょう。
2021年に発表された、Custom Shop 最高峰コレクションであるMurphy Lab Collectionのモデルとなります。

先程のヒスコレと同様、初年度である1960年スペックを再現したモデル。
ヒスコレと異なる点は、大まかに2点ございます。

・塗装
・Aged処理レベル


まず初めに塗装から。
ヒスコレは、シンラッカー塗装が施されていたのに対し、本機はマーフィーラッカーと呼ばれる
Murphy Labにのみ使用される、特別なラッカー塗装が施されております。
このマーフィーラッカー、通常のものと比べて硬めで塗膜が薄いため、より自然にウェザーチェックが発生。
これにより、ヴィンテージライクな風格を再現することが可能になっております!

また、この塗装はピッキングの振動に繊細なため、よりレンジの広い、ダイナミックなサウンドを出すことが可能に!
例に漏れず、このモデルも迫力満点のサウンドで、まるで乾いたヴィンテージの音のようです。(こちらもサーマリー・エイジド加工がなされております。)
なかなか新品でこのサウンドを再現出来るものはなく、その再現度の高さからMurphy Lab Collectionのギター作りに対する熱量が伺えます。

そしてAged処理レベル。
こちらは、4つのレベルによって区分けされております。

Aged処理レベル
ウルトラ・ライト(軽)
ライト
ヘビー
ウルトラ・ヘビー(重)

本機は、ライドエイジド仕様。2番目に軽いレベルですね。
ギターのどの部分においても実施されており、中でも注目すべきはボディ。
サウンドホールのエイジング、ピックガードのすりキズ、何と言ってもボディ全体に張り巡らされたウェザーチェックは、長年使ってきたかのような外観で、まるで芸術品かのよう。
さすが現行モデルの最高峰コレクションであると言わざるを得ません!

一生物のギターをお探しの方やヒスコレよりもヴィンテージの雰囲気重視する方には、非常におすすめです!

Shape : Hummingbird
Body Material : Mahogany
Top : Thermally Aged Sitka spruce
Binding :Multi-ply Top, Multi-ply Back, Single-ply Fretboard

Bracing : Traditional Hand Scalloped X-bracing
Profile : Rounded
Nut width : 43.815 mm / 1.725 in
Fingerboard : Rosewood
Scale length : 628.65 mm / 24.75 in
Number of frets : 20
Nut : Bone
Inlay : Mother-of-pearl Parallelograms
Bridge :Traditional belly up
Tuners : Gotoh Keystone
Case : Period Correct Case


いつもの番外編とはまた違ったようなテーマでお送りいたしましたが、いかがでしたでしょうか。
Hummingbirdの良さが、少しでも伝わっていただければ何よりです。
もし、Hummingbirdをお探しの際は、是非当店までお越し下さいませ!

さて次回は、Murphy Lab Collectionに新たに追加されたあのモデル、、、をご紹介いたします!
是非楽しみにお待ち下さいませ!

それでは、良いギターライフを!

店舗情報

イシバシ楽器御茶ノ水本店

OCHANOMIZU HONTEN

〒101-0062

東京都千代田区神田駿河台2-2

TEL:03-3233-1484

営業時間:11:00 ~ 19:00

アクセス:【JR】御茶ノ水駅(徒歩1分)

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