Gibson Custom Shop Murphy Lab が完成させた最後の1ピース、『ニトロセルロースラッカー』。

数10年来の研究の成果として甦った「マーフィー・ラッカー」

いつもご愛顧いただき誠にありがとうございます。イシバシ楽器 名古屋栄店 店長 Gibson Authlized Product Specialist 湊 です。

今回は、Gibson Custom Shop の最高峰カテゴリー、「Murphy Lab」についてご案内させていただきます。

Murphy Lab とはGibson リイシュー、エイジドの第一人者である トム・マーフィの経験、技術と知識の結晶として2021年から始動したプロジェクトです。1950年生まれのトムは現在73歳。次世代へトムが蓄積した全てを継承するという意味合いもあるかと思います。様々なキャリアを経ながらもヴィンテージギターと向き合い続けてきた彼の、集大成とも言えるのがこの Murphy Lab です。

Gibson 公式サイトのMurphy Labページには、Murphy Lab のギターの特徴として 以下の様に記載されています。

フィニッシュ加工

「ウェザーチェック」と呼ばれるラッカー塗装独自の長い年月を経ることにより生じるクラックがヴィンテージ・ギターの最大の特徴ですが、これをトム・マーフィーが1950年代、1960年代のニトロセルロースラッカーを科学的に解析し、それに基づき新たに開発されたラッカー処理技術とトム・マーフィーの真骨頂である手仕上げのエイジング・テクニックを組み合わせることで本来経年で生じるウェザーチェックを意図的に生じさせ、ヴィンテージ・ギターのルックスとフィーリングを再現します。

ハードウェア

ハードウェア、ノブなどのパーツにもエイジングを施して、長く弾かれてきた楽器のルックスとフィーリングを再現しています。

マーフィー・マイレージ

ヘビーエイジドとウルトラヘビー・エイジドでは、ハードなプレイによりネックが摩耗した状態とベルト・バックルによるボディの裏のダメージをリアルに再現します。マーフィー・ラボ製品は、ケースを開けたその時からヴィンテージを手に入れたと思わせる感覚を忠実に再現します。

引用元 Gibson .jp

1950年代、1960年代のニトロセルロースラッカーと現代のニトロセルロースラッカーは何が違うのか。

こうして見てみますと、やはり一番気になるのは「1950年代、1960年代のニトロセルロースラッカーを科学的に解析し、それに基づき新たに開発されたラッカー処理技術」という部分。

1950年代、1960年代のニトロセルロースラッカーと現代のニトロセルロースラッカーは何が違うのか。子供の頃「刑事コロンボ」が好きだったせいで細かいことが気になると夜も眠れない私ですが、まず塗料とは何か、とニトロセルロースラッカーの歴史から見ていくことに致しました。

塗料とは 顔料、染料 + 樹脂

塗料とは、彩色のための顔料、染料を溶かした樹脂と混ぜて塗りつけ、対象物に定着させるもののことです。モノの上に薄い色付き被膜をくっつける行為を塗装と呼びます。シンプルにいうとニトロセルロースという樹脂を有機溶剤で溶かし、顔料、染料と混ぜて塗布する塗料がニトロセルロースラッカーです。

ニトロセルロースラッカーの成り立ち

ニトロセルロース(硝化綿)は1880年代に発明され、様々な用途に使用されていました。第一次世界大戦とダイナマイトの発明に伴って大量に生産されましたが、終結と共にニトロセルロースの平和利用が模索されることになります。

1920年代に低粘性に加工したニトロセルロースを使用した塗料が開発され、その速乾性と塗膜の頑丈さから初めは自動車の塗料として普及し、その後木工品や皮革品などに利用されるなど一気に広まり、1970年代にアメリカで有機溶剤使用の規制が始まるまで一番メジャーな塗料となりました。現在日本では規制はありませんが、欧米ではより安全性の高い水性塗料が主流となっており、ラッカー塗装には大規模な設備が必要となっています。

アメリカンヴィンテージな自動車がカラフルになったのはこのニトロセルロースラッカーの普及によるものなんですね。

最もポピュラーな塗料ということでギターにも使用されたのが、先程出てきた「1950年代、1960年代のニトロセルロースラッカー」に当たるんですね。当時のギターの広告を見ると、「あのクルマと同じ色のギター」的な売り方がされていたりします。

しかしながらニトロセルロースラッカーが開発されてから黄変(色ヤケ)割れ(クラック)などに対して対策が施され、塗料として成熟していき、更にニトロセルロース以外の樹脂、ポリウレタンやポリエステルなどを利用した塗料が主流となり、それとともに美しくウェザーチェックの入ったギターなどは姿を消していったのです。

現在市販されているラッカー系塗料にはニトロセルロースの他に様々な樹脂が足され、ニトロセルロースの弱点を補完しています。塗料としては改良され良いものになったとしても「あの頃のニトロセルロースラッカー」とは違うわけです。

そんなヴィンテージギターで使用されてきたものを再現した Murphy Lab で使用されるラッカーは、『マーフィー・ラッカー』と呼ばれています。

Murphy Lab Acoustic に関しては、ナッシュビル Custom Shop の『マーフィー・ラッカー』とは別の調合になっているとのこと。常に内側から外側に向けてエイジングが進行するアコースティックギターの特性に合わせたものとなっています。

「何が音に影響するかは正直分からない。だから全て同じにしてみるんだ」

以前、Gibson Custom のプロダクトマネージャーだったエドウィン・ウィルソン(現在は退社)に質問する機会があったのですが、彼の答えを思い出しました。彼はこう言いました。「何が音に影響するかは正直分からない。だから全て同じにしてみるんだ」

2000年代に入ると Gibson はありとあらゆるスペックをヴィンテージと同じものにしていく動きを見せていました。

テイルピーススタッドアンカーの長さの延長、チューブレストラスロッドの再採用、トゥルーヒストリックモデルの誕生とそれに伴うトゥルーヒストリックパーツの開発。フィジーでの良質なマホガニーの植林。よりヴィンテージトーンに近づいた新ピックアップであるCustombuckerとそのUnpotted化。

サードパーティからモディファイパーツとして売られていたモノが、メーカー出荷時に全て叶っており、現状手に入る最上の木材で作られている。Gibson Custom のギターは経年変化、時間という壁以外はオリジナルと変わりないと思われていました。

その最後のピースが塗装だった。そう考えると、トムマーフィのみならずヴィンテージギターを心よりリスペクトしているGibson が夢見たヴィンテージクローンへの夢が結実したプロダクトなんだな、と感慨深いものがあります。

イシバシ楽器ではこの Murphy Lab 製品を多数展示しております。是非店頭で手にとって見てください。

こちらもオススメ→『レスポールを嗜む。トップ材メイプルの魔性。』

こちらもオススメ→『レスポールを嗜む。Vol.2 ヒストリックモデルのセッティング』

こちらもオススメ→『レスポールを嗜む。Vol.3 バック&ネック材 マホガニーの神秘』

イシバシ楽器 Murphy Lab 在庫リストはこちら

イシバシ楽器 名古屋栄店 Murphy Lab 在庫リストはこちら

イシバシ楽器の「Gibson Custom」

イシバシ楽器の「Gibson Custom」買うなら今! 国内正規ディーラーのなかでも圧倒的在庫量をもつイシバシ楽器にお任せください!

イシバシ楽器の「Gibson Custom」特設サイトへ

店舗情報

イシバシ楽器名古屋栄店

NAGOYA SAKAE STORE

〒460-0008

愛知県名古屋市中区栄3-4-5 スカイル9F

TEL:052-243-1484

営業時間:11:00 ~ 20:00

アクセス:【地下鉄東山線】栄駅(徒歩5分)

【名城線】栄駅(徒歩5分)

SNS:
Twitter
Facebook
Instagram