ギターとプレイヤーを分かつ最後の障壁、弦を飛び越えて交わる悦びに酔う。
いつもご愛顧いただきありがとうございます。イシバシ楽器 名古屋栄店 店長、 Gibson Custom Shop Authlized Specialist ID:CS1327JPの 湊 でございます。
さて先日よりお届けしておりますイシバシ名古屋栄店の Gibson Custom Shop ラインナップ、先にご紹介した Gibson Custom / Murphy Lab 1959 Les Paul Standard Reissue Heavy Aged Green Lemon Fade 【S/N 9 3417】 ですが、改めまして少し深めにご案内できればと思います。

こちらの商品は、ジャパンディーラーオーダーの「 Pre Sold Limited(略して PSL) 」のものです。「 Pre Sold Limited (PSL)」とは数量をまとめてオーダーすることで1本からのオーダー 「Made to Measure (M2M)」よりコストを抑えてカタログ外モデルを製作するもので、カタログ外カラーなどをこのPSLでオーダーするのですが、こちらの個体はピックアップに「Underwound Custombucker (Unpotted)」を使用しています。
説明を見ると「『Custom Bucker』をベースにターン数を減らした」ものと記載がありますが、ターン数を減らすとどうなるの?と思われる方もいらっしゃるかと思いますので、少しご案内させていただきます。
ピックアップの出力と再生レンジはトレードオフ
ピックアップを語るとき、ギターの音色を語るときによく出てくる「レンジ」。レンジというのは再生している周波数帯の広さを表しています。グラフィックイコライザーなどを見ると60Hzとか400Hzとか、高い帯域だと4kHz、8kHzなどがあります。人間の聴覚が聞き取ることが出来る周波数帯は20Hzから2kHzと言われており、それを可聴周波数帯域と言います。その範囲外は概ね体感する周波数帯です。

20Hzですとほぼピッチ(音程)は感じられず、唸りのような腹に来るサウンドになりますので、実際ピッチが感じられるのは40~60Hzくらいでしょうか。4kHzから8kHzはバンドサウンドでいえば主にシンバルやドラムなどの痛いアタック部分で意図的に削ることでレコーディング時などはミックスを落ち着かせたりします。なんとなく想像できるでしょうか。
エレキギターはアンプとのマッチングにより構成比の違いこそあれこの帯域をほぼカバー出来ます。
ギターで重要なのは中音域で、それは400Hzから600Hzあたりが美味しいところと言われます。しかしここばかりに集中してしまうと非常に息苦しいサウンドになりがちです。そういうギターに美味しいといわれる帯域にフォーカスしたサウンドは「作られた音」と感じやすいものになります。
ギターピックアップの出力はマグネットの磁力とコイルターン数で決定する
ギターピックアップの構造はレンツの法則とフレミングの法則による電気信号の発生が原理とのことですが、その出力(電流の強さ)はマグネットの磁力とコイルターン数で決定します。
強力な磁石を使いターン数を増やせば生み出す電流は強くなるのですが、この時のサウンドは再生レンジが狭くなります。ハイゲインサウンドではクリーンなサウンドで入力されたものを歪ませて増幅するのであまりレンジが広くないほうがスッキリ聞こえます。

つまりターン数を減らした本ピックアップは出力が少し抑えめになりながらも、レンジの広いサウンドを目指したものになります。
磁石の磁力は経年変化で落ちていくのですが、60年代前後のヴィンテージギターのオリジナルピックアップは自然な経年変化で程よい磁力になっており、木材の経年変化による含水率の低下による木材振動の変化と相まって弦振動をスウィートなサウンドへと昇華しているのです。
Underwound Custombucker -弦の金属的アタック感は少ないが、澄んだ高音域と広いレンジ感のサウンド
それでは、Underwound Custombucker を搭載した Gibson Custom / Murphy Lab 1959 Les Paul Standard Reissue Heavy Aged Green Lemon Fade 【S/N 9 3417】 試奏インプレッションをご案内します。
このピックアップはヘヴィに歪ませるには繊細すぎるほど広いレンジ感を持っています。通常のCustombuckerも優れたピックアップであり Unpotted になってからは更に素晴らしいものになりましたが、そこから更に出力を抑えたことでエレキギターを弾く際のアタックコントロールが非常に容易になっています。つまりピッキング時に嫌な金属音を感じずにプレイできることで抑揚表現をより楽しむことができる仕上がりとなっているという印象です。

オーバードライブ、クランチあたりで弾くと、ギターと自分自身を隔てるものが全て無くなった様な感覚を覚えます。そうした物理的制約からの自由がより良いプレイを引き出してくれるのではないかと思います。うまくヴォリューム、トーンを使って手元で最終調整を行えば、後はギターとプレイヤーのカンバセーションを遮るものは何もありません。
ここかな、こうかな、このくらいかな、といろんなアタックを試して知るうちに、このギターとピックアップの奥深さを知っていただけるのではないかと思います。このギターは舞台を全て整えてくれます。後はプレイヤーがその舞台でダンスするだけなのです。
重量バランスもよく、体に吸い付く感覚で、重量自体も4.00kgと良いウェイトです。
是非店頭でこの素晴らしい体験をお試しください。

この他にもイシバシ楽器 名古屋栄店 では多数の Gibson Custom Shop 製品を取り揃えております。名古屋栄店 Gibson Custom の在庫リストはこちらからどうぞ。ご来店お待ち申し上げております。イシバシ楽器 名古屋栄店 副店長 湊 でした。
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