ストラト&レスポール 2大名器 徹底比較

対照的なコンセプト。 USA2大ブランドGibson&Fenderの名器、Les Paul&Stratocaster の違いを知る。

いつもご愛顧いただき誠にありがとうございます。イシバシ楽器 名古屋栄店 店長 湊 でございます。現在ではエレキギターのモデル数は数多あります。

全てではありませんが、かなりのモデルが『レスポール』系か『ストラト』系に分類されるものになります。

どちらも1950年代、エレキギター黎明期にアメリカで生まれたモデルで、Les Paul はGibson社が1952年に、Stratocaster はFender社が1954年に開発したモデルです。

およそ70年前に作られたものが、基本的な形状や特徴をそのまま引き継いでおり、それぞれGibson社、Fender社ともに対照的なコンセプトを持ったブランドながら、どちらもオリジナルへの原点回帰を目指しているのは非常に興味深い事実です。

そこで、今回はストラト、レスポールそれぞれの特徴に着目し、両者を比較してみたいと思います。これからギターを始める方も、現在サウンドメイキングに迷っているプレイヤーにも、理想のサウンドやプレイに近づく指針のひとつになれば幸いです。

■ピックアップ、コントロール構成

レンジの広いクリアなサウンドのストラトキャスター

まず、エレキギターのサウンドを大きく左右するピックアップ、コントロール構成から見ていきたいと思います。

ストラトキャスターは『シングル・ピックアップ』を3基搭載しています。シングル・ピックアップは出力はあまり高くないものの、レンジの広いクリアなサウンドが特徴です。

ブリッジ寄り(リア)、センター、ネック寄り(フロント)にそれぞれ搭載されたピックアップはブリッジ寄り(リア)では高音域の多い明るくシャープなサウンドに、ネック寄り(フロント)では中低音域の多い暗く太いサウンドになりますが、3基のピックアップの組み合わせ、5通りのサウンドが選択出来ます。

全体の出力をコントロールする『マスターボリューム』1つと、高音域を減衰させて音を丸くする『トーン』ノブを2つ搭載しており、開発当時はフロント・トーンとセンター・トーン(リアはトーンなし)でした。

現在のモデルではフロント・トーンとセンター&リア・トーンに割り振られているものが多くなっていますが、モデルによって色々な仕様があります。

パワフルで艷やかなサウンドのレスポール

レスポールは『ハムバッカー』ピックアップを2基搭載しています。ハムバッカーはシングルコイル・ピックアップを2基使用しハムキャンセルと呼ばれるノイズ対策が施されたピックアップです。

ノイズが少なく出力が高くなる傾向にあり、中音域がやや多く出力され、パワフルで艷やかなサウンドになるのが特徴です。

ブリッジ寄り(リア)とネック寄り(フロント)の2基を搭載し、こちらもブリッジ寄り(リア)では高音域の多い明るくシャープなサウンドに、ネック寄り(フロント)では中低音域の多い暗く太いサウンドになります。

それぞれのピックアップにボリュームとトーンが用意されており、細かなサウンドメイク、2つのサウンドプリセットが可能です。

■ネック構成

ストラトキャスターのネック構成

スケールはロングスケール

ストラトキャスターのみならず、Fenderで多く採用されているスケール(弦長)は『ロングスケール』と呼ばれ、25.5インチ (648 mm)となっています。

ロングスケールのギターは弦のテンションが強めになりますので、ハリのあるサウンドになるのが特徴です。細めの弦 09-42 ゲージが張られることが多いスケールです、

指板材はローズウッド&メイプルが選択可能

画像はローズウッド指板モデルですが、指板材にメイプルを使用したものもあり、ルックスとサウンドで選択可能となっています。ローズウッド指板は落ち着いたサウンド、メイプル指板は明るくクリアなサウンドになる傾向があります。

フレット数は21か22フレット

開発時はフレット数は21フレットでしたが、現代的な仕様を盛り込んだモデルには22フレットのモデルも多く存在します。弾きたい楽曲によっては21フレットでは足りない場合もあるので、注意が必要です。

指板Rは7.25インチか9.5インチ

ストラトキャスターの指板には緩やかなR(カーブ)があり、ヴィンテージ仕様では7.25インチ(184mm)、モダンな仕様なものなら 9.5インチ(241 mm)となっております。

レスポールなどGibson社のモデルより指板面に丸みがあるのが特徴です。コードワークなどは押さえやすいものの、ヴィンテージRのモデルは弦高が下げにくく、標準的な弦高は12フレット上で6弦側2.0mm、1弦側1.7mm程度となっています。

レスポールのネック構成

スケールはミディアムスケール

レスポールは『ミディアムスケール』24.75インチ(628.65mm)を採用しております。ミディアム・スケールのギターは弦のテンションがやや緩く、太めの弦 10-46 ゲージを張られることが多いのが特徴です。

太めの弦を張ってもテンションがキツくならず、ハムバッカー・ピックアップの出力もあり、よりファットなサウンドメイクが可能です。

指板材はローズウッド

指板材については、スタンダードモデルにはローズウッドが使用されており、こちらはサウンドを落ち着かせる音響特性があります。Les Paul Custom はよりブライトなサウンド傾向のエボニーやリッチライトなどより硬い材が使用されており、サウンドキャラクターに違いを生み出しています。

フレット数は22フレット、指板Rは12インチとフラット

フレット数は22フレットを採用しており、指板Rは12インチ(305mm)となっております。指板面がフラットに近いため、標準的な弦高で12フレット上で6弦側2.0mm、1弦側1.5mm程度となっています。

Custom Shop モデルでは1弦側1.2mm程度とかなり低めにセッティング出来、なめらかなリードプレイを支えます。

■重ためのレスポール、軽めのストラトキャスター

重量については、レスポールは4kg前後、ストラトキャスターは3.5kg前後とストラトキャスターが少し軽めとなっています。

重量が重たい方が低音域もしっかり再生する傾向にありますので、重たいということは一概にデメリットとは言えませんが、長時間のプレイでの疲労度は重量によるところもありますので、サウンドと持ちやすさのバランスを取りながら選びたいところです。

■繊細なレスポール、ワイルドなストラトキャスター

ヘッドに角度(アングル)がある構造とマホガニーという使用木材の関係から、レスポールは転倒させるとヘッドの付け根で折れやすくなっています。

ネックとボディを精密な木材加工で嵌め込み接着するセットネック構造、木材の美しさを最大限に活かしたカラーリングなどレスポールには旧来の楽器のような繊細さがあり、Gibson社の楽器製作の歴史を感じます。

一方ストラトキャスターは、メイプル材でネックが出来ており多少倒したぐらいでは木部を破損する可能性は低く、非常に頑丈です。そしてカラーバリエーションも非常に豊富でパーソナライズしやすいモデルです。

かなり大きなスクリューで固定されたネックとボディはボルトオン・ジョイント構造と呼ばれ、その頑丈さを信頼して扱われることが多いのか、ストラトキャスター使用アーティストの愛器は貫禄十分なものが多い印象です。加えて各アーティストならではのパーソナルカラーの印象もあるモデルです。

いかがでしたでしょうか。アメリカの対照的なコンセプト2大ブランドが開発した2モデルですが、どちらも名器であることは、それが生み出した名曲、名演、そして70年という歴史と数多の派生モデルが証明しています。

どんなギターでキャリアをスタートさせても、いつかはここにたどり着く。そんな魅力を持つレスポール、ストラトキャスターを是非手にしてみて下さい。両モデルともたくさんのことをプレイヤーに教えてくれる稀有なギターです。

→関連記事『ストラトを嗜む。-使用木材の変遷から見るサウンドバリエーション』

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