一貫したオリジナルへのリスペクト。Gibson USA Les Paul Standard

洗練されながら原点回帰した最新のレスポール・スタンダード

いつもご愛顧いただき誠にありがとうございます。イシバシ楽器 名古屋栄店 店長 Gibson Custom Authlized Product Specialist 湊 です。前回までGibson Custom の Historic Model、Murphy Lab についてご案内致しましたが、Gibson 社の取り組みはUSAレギュラーラインといえど徹底して行われています。

今回は、Gibson USAレギュラーラインで製造されている、永遠の定番「Les Paul Standard」の魅力についてご案内させていただきます。転機となったのは、2018年の大きな出来事となりますが、現在のラインナップに至るまでの10数年をリアルタイムで体験した身として、その流れを振り返ってみましょう。

2018年5月 Gibson破産申請。その後の原点回帰

2018年 Gibson破産申請。衝撃的なニュースが楽器業界を駆け抜けました。様々な買収を行いながら、企業としてかなり大きく膨れ上がっていた当時のGibsonはギター部門は好調だったものの、買収した部門の赤字を抱え、米連邦破産法第11章(日本の民事再生法に相当)の適用を米裁判所に申し立てました。

2008年からGibson社はコイルタップ、フェイズスイッチなどヴァーサタイル化のための機能をレスポール・スタンダードに付与し、重量というデメリットを解決すべく『ウェイト・リリーフ』と呼ばれる軽量化加工をブラッシュアップさせ続けていました。2008年に新 Les Paul Standard としてリリースされましたが、それ以前から入荷したレスポール・スタンダードが妙に軽いな、と思ったのを覚えています。新リリースに合わせ、前機種である50s & 60s Les Paul Standard の末期から新しいウェイトリリーフを試していたのかもしれません。(画像は2019年 Les Paul High Performance)

その後のアップデートは自動チューニングペグの搭載や、高さ調整可能なブラスナット、オーバーフレットバインディングの廃止など、オリジナルの仕様を大きく変更する内容となり、オリジナルな仕様のレスポールが欲しければ、Custom Shop しかない、という状況でした。

ゴールドトップのレスポール・スタンダードなどはカタログ外となり、こちらも随分敷居が高くなってしまった経緯があります。そして2018年9月ごろから出荷されていた2019年モデルはおおよそ今までの流れを引き継ぐものでした。

Gibson USA 2019 モデル、続々入荷!2018年9月イシバシ楽器Guitar Quest寄稿)

しかし経営陣が刷新された後の2019年2月の Winter NAMM Show で、50s & 60s Les Paul Standard が Original Collection として戻って来たのです。モデル数は大幅に削減されましたが、かなり好意的に迎えられた歴史的な方向転換となったのです。

We are Back ! Gibson 2019 NAMMにて Gibson Classics ラインナップがローンチ!(2019年2月イシバシ楽器Guitar Quest寄稿)

2019年からの Original Collection 50s & 60s Les Paul Standard

ABR-1 ブリッジ、アルミテイルピース 搭載

そこから始まったOriginal Collection 50s & 60s Les Paul Standard ですが、以前のモデルからマイナーチェンジが行われ、サウンドに関して有利なパーツが仕様変更されています。

ブリッジがナッシュビルブリッジからABR-1ブリッジに、テイルピースがアルミニウムテイルピースに変更されました。以前のダイキャストテイルピースとナッシュビルブリッジの組み合わせでは、中々金属パーツ由来の倍音が出にくく、『レスポールは柔らかい音』という認識が広がる要因の一つとなっていました。

レスポールのサウンドレンジは『甘く太い音』だけではありません。シンプルな構造ながら、古くから楽器製造を生業としてきたGibson社のノウハウが、非常に複雑な倍音構成を持たせています。

以前はリプレイスメントパーツを用意してよりオリジナルに近づけるモディファイが定番となっていましたが、現在のモデルはご購入後そのままでCustom Shop セッティングと同様、ブリッジ周りサウンドメイクが可能となっております。

前回の記事『レスポールを嗜む。Vol.2 ヒストリックモデルのセッティング』 でご紹介した、テイルピースのセッティングは現行の Gibson USA Les Paul Standard にも有効なのです。

『Non Weight Relief』ウェイトリリーフの廃止

ペグに関しては以前のブッシュタイプのクルーソンから50sモデルは ロトマチックタイプに変更され、60sモデルはグローバーペグへと変更されましたが、前50s&60s モデル末期では行われていたウェイトリリーフはしっかり『Non Weight Relief』と謳われ廃止されました。

50s モデルはラウンド(丸い)ネック、60s モデルはスリムテーパー(平たい)ネックとなっているのは変わらず。ここは好みで選べるポイントですが、ネック質量でサウンドも若干変化します。私見では、50s モデルはレンジ感に均整の取れた太く立ち上がりの早いサウンド、60s モデルはミドルが強めで粘りがありバイト感のあるサウンドという印象です。

その他仕様詳細比較はイシバシ楽器の特設ページ、Gibson USA THE ORIGINAL COLLECTION 徹底比較 を是非ご覧ください。

レギュラーラインナップでは、トップのメイプル材のグレードはAA(ダブルエー)となっていますが、USディーラーオーダーによるAAA(トリプルエー)グレードのトップ材を使用したエクスクルーシブモデルも入荷しております。AAA メイプルの杢の深さが、角度によって違う表情を見せ、よりプレイへの情熱を掻き立ててくれます。おすすめの2本をご紹介致します。

Gibson USA / Les Paul Standard 60s AAA Cherry Sunburst 【S/N 210430288】 イシバシ楽器 名古屋栄店

Gibson USA / Les Paul Standard 60s AAA Bourbon Burst 【S/N 211830156】 イシバシ楽器 名古屋栄店

紆余曲折を経て帰ってきた Original Collection 50s & 60s Les Paul Standard は、オリジナルレスポールを追体験するのに十分な仕様を纏っており、昔の印象でGibsonを敬遠している方も、是非手に取って頂きたい仕上がりとなっています。現在のGibson社を貫いているオリジナルへのリスペクトを是非ご体感下さい。

イシバシ楽器 名古屋栄店 Gibson USA レスポールの在庫リストはこちら

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