色褪せない魅力、『Custom Color Series』が美しい。
いつもご愛顧いただき誠にありがとうございます。イシバシ楽器 名古屋栄店 副店長 湊 です。
2023年8月30日にローンチされましたGibson USA レギュラーラインの新シリーズ、『Custom Color Series』。

Gibson ギターというと Vintage Sunburst や Heritage Cherry Sunburst のような定番カラーの印象が非常に強いのですが、Custom Color Series には、トランスカラー(木目の透けるシースルーカラー)やソリッドメタリック、加えてソリッドカラーのホワイト、Classic White がラインナップされました。
今回は、新シリーズ『Custom Color Series』の魅力についてご案内いたします。
フラッグシップモデルでのメタリック、ソリッドホワイトカラーの実現
Gibson社のアナウンスでは、『生産キャパシティ拡大と塗装技術の進歩』により実現したとありますが、実際にメタリック塗装やソリッドホワイトの塗装には非常に手間がかかります。
メタリック塗料とは塗料に金属粒子を混ぜたものになりますが、金属粒子をムラなく塗装するのは非常に高い技術が必要です。

吹付け過ぎると金属粒子溜まりができてしまい、美しく仕上がりません。一般的には塗料と金属粒子が混ざっている性格上、艶を出しにくい、下地のカラーによって発色が変わるなど、色彩表現、イメージの再現が難しい塗装です。
Gibsonのみならずギターの塗装はスプレーガンで行いますが、塗料に混ざった金属粒子がスプレーガン内に残りやすく、カラーチェンジなどの際にも手間がかかります。
ソリッドホワイトの塗装に関しては、白は非常に他カラーの影響で、少しでも他カラーと混ざってしまうと発色が大きく変わってしまうためメタリックカラー同様、細心の注意が必要です。過去ホワイトカラーは他カラーよりアップチャージされてラインナップされていたこともありますね。

今回ラインナップされたのは、Gibson社の看板製品、Les Paul Standard でのカラー展開ですので、生産本数も多く見込まれます。難しいカラーのプロダクトを、たくさん作ることの出来る技術向上と生産規模が拡大したからこそ実現したラインナップと言えるでしょう。
1960年代のギブソンのカスタムカラーにインスパイア。
Gibson Custom Color の歴史は古く、1960年代に遡ります。下の画像は1960年代の Gibson Custom Color カタログです。

ニトロセルロースラッカーの歴史については以前の記事、Gibson Custom Shop Murphy Lab が完成させた最後の1ピース、『ニトロセルロースラッカー』。 でもご紹介させていただきました。
当時の Gibson Custom Color については、General Motors社 の キャデラックやオールズモビル、Ford社のエドセルなどのブランドの自動車塗装に使用された、化学系大手企業 DuPont社の塗料が使用されていることは有名です。

今回のラインナップでは、Pelham Blue や Inverness Green、Cardinal Red は1960年代のカスタムカラーですね。
まさにアメリカンクラシック、アメリカンヴィンテージテイストを感じられるCustom Color 。現在ではディーラーオーダーモデルなどで少数見られるカラーでしたが、それがレギュラーモデルで展開されるのは非常に感慨深いものがあります。

近年まで退色しやすかったパステル系カラーの進歩
今回発表のラインナップで、私が驚いたのはモダンなパステル系のブルーやピンクなどのカラーです。淡いカラーリングであるパステルカラー、今回採用されているピンク系やブルー系のカラーは、太陽光や蛍光灯などの紫外線により退色しやすく、なかなかギターの塗装では採用されなかったカラーです。

Paul Reed Smith などでは80年代から意欲的に取り組まれていたカラーですが、現存する80年代、90年代の個体にはかなりの退色が見られました。
色素で見ると、赤が最も退色しやすいと言われているカラーですが、ブルー系においてもパープルよりの赤みのあるブルー、明るいブルーは退色しやすいカラーでした。今回のラインナップでいうと、Ocean Blue や Blueberry Burst がそれに当たります。


近年では塗料の改良により大きな退色が見られなくなったこういったカラーを、カスタムカラーとして取り入れるアイディアは、レスポールというアイコンをより魅力のあるものにする素晴らしいアイディアだと思います。
カラーリングは購入したギターのパーソナライズに欠かせない要素。バーストのみならず、今後も魅力的なカラーのレスポールを世に送り出してほしいですね。
以前の記事『一貫したオリジナルへのリスペクト。Gibson USA Les Paul Standard』 でも触れましたが、一度原点に立ち返り、オリジナルへのリスペクトに基づいた最新のLes Paul Standard 。素晴らしいプロダクトにこういった意欲的な取り組みが行われることで、より多くの方にGibson社の魅力が届くこと願って止みません。

イシバシ楽器『Gibson Custom Color Series』
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