【御茶ノ水本店】フェンダー・カスタムショップとは【Fender Custom Shopブログ#1】

皆様、ギターライフ楽しんでいますでしょうか。イシバシ楽器御茶ノ水本店 店長の居波でございます。
過去にもフェンダーに関する色々な記事を書いてきましたが、また新たなフェンダリアンを育成するべく新しく記事を書かせていただきます。

イシバシ楽器御茶ノ水本店ではFenderブランド各種豊富に取り揃えております。そのFenderブランドの最高峰に位置するのが、Fender Custom Shopです。

さて皆様はフェンダー・カスタムショップという名前を聞いたことはありますか?プレイヤーの方なら一度は耳にしたことがあると思います。
今回はフェンダー・カスタムショップとは一体どういうブランドなのか、カスタムショップの違い、カスタムショップとレギュラー品の違いを、ざっくりではございますがご紹介いたします。

目次

1987年にフェンダーにおける最高峰の楽器を製作するセクションとして設立されたフェンダー・カスタムショップ、卓越した技術をもつ「マスタービルダー」や熟練の職人チームにより、1本1本丁寧に製作されています。そんなカスタムショップで製作された楽器は感動すら覚えるほど素晴らしく、あなたにこれまでにない極上の音楽体験を与えてくれることでしょう。

Custom Built 1963 Stratocaster Super Heavey Relic Gold HardWare Aged Black

フェンダーブランドにおけるカスタムショップの立ち位置

まずはカスタムショップの立ち位置を説明します。
現在のフェンダーブランドでは下記4つのラインがありますが、カスタムショップは4つ目の最上位に位置しています。

Fender Made In Japan(国内工場)
所謂フェンダージャパン、日本国内生産の高い品質と豊富なラインナップを持つ。
プライスゾーン10万円~20万円

Fender Mexico(メキシコエンセナダ工場
メキシコ製のフェンダー、適度にモダンで適度にヴィンテージライクな実用的なモデルが多い。
プライスゾーン8万円~30万円

Fender USA(アメリカコロナ工場)
アメリカ製のフェンダー、古き良きヴィンテージモデルから最新の技術を詰め込んだ最先端モデルまで幅広くラインナップ。
プライスゾーン18万円~40万円

Fender Custom Shop(アメリカコロナ工場)
フェンダーギターの最高峰。極限まで再現されたヴィンテージモデルや、一点モノの芸術的なショーモデルなどを生み出している。
プライスゾーン60万円~

フェンダーカスタムショップはフェンダーUSAと同じアメリカ・カリフォルニア州のコロナ工場に拠点を持ちます。
工場内ではカスタムショップ専用のラインが用意され熟練のスタッフが作業しています。またマスタービルダーという選ばれた数人の職人には専用の作業スペース(通称ベンチ)が用意されており、日々腕によりをかけて極上のギターを生み出しているのです。

来歴

カスタムショップセクション設立のお話を簡単にご紹介しましょう。

遡るは1965年、フェンダーの創設者であるレオ・フェンダーは健康上の理由などでCBS(Columbia Broadcasting System)に会社を売却します。
その後は楽器業界の低迷による業績不振、さらに大量生産体制によるフェンダー社製品の品質低下、コピーモデルの蔓延等、フェンダーの経営は危機的状況にありました。
1985年になるとCBS社の楽器部門の撤退に伴い、当時ヤマハなどに在籍していたビル・シュルツという人物を最高責任者に迎えてフェンダー社は再興を図ります。
1987年、ビル・シュルツはフェンダー社製品の品質低下のイメージを回復するべく、質の高い本物の製品を作ろう腕利きのスタッフを集めて社内に特別なセクションを設立します。こうしてカスタムショップセクションが誕生したのです。

特徴

それではカスタムショップの特徴を見ていきましょう。

熟練スタッフによる最高クオリティの楽器の製造
フェンダー・カスタムショップでは「フェンダーが確立しうる最高の品質とサービスを提供すること」をスローガンに掲げています。
その言葉の通り、カスタムショップ製品は他のラインとは一線を画す高品質な楽器が製造されています。例えば、ギター作りにおいて非常に重要な要素である木材選定では、カスタムショップ専用のラックが用意されており、厳選された木材を優先して使用できる権利を持っています。また製造過程においても他ラインが大量生産を狙った機械作業が多い中、カスタムショップ製品は手作りの割合を多くし、時間とコストをかけて1本1本丁寧に作業されているのです。木工加工へのこだわりはもちろんの事、ピックアップ等の電装系にもカスタムショップ専用のものが多く存在し、50年代から続く伝統的な「ハンドワウンド/手巻き」にて製造されたピックアップもカスタムショップ製品でのみ使う事を許されています。

・ヴィンテージギター復刻へのあくなき探求
カスタムショップセクションはヴィンテージギター復刻の最重要機関として今も尚、進化し続けています。
長い年月をかけて貴重なヴィンテージ個体を大量にプロファイリングしデータとして保管、更に当時の製造技術を研究し、工具や機械までオリジナルを使用するなど徹底した再現が行われています。また「レリック」と言われるリアルなエイジング加工はカスタムショップ製品の最大の特徴とも言える技術で、NOS(ニュー・オールド・ストック)やCC(クローゼット・クラシック)などレリック加工の段階を定め、シリーズやモデルに合わせて選択されています。

・アーティストモデル、シグネチャーモデル製作のミッション
カスタムショップでは発足当時からアーティスト・リレーションを重要と捉え、アーティストの要望を受け数々のシグネチャーモデル、特注モデルを製作し信頼関係を築いてきました。その証拠にエリック・クラプトンやジェフ・ベックを筆頭にイングウェイやジョン・メイヤー等の数多くの世界的アーティストが実際に自身のモデルをライブやレコーディングで使用しています。また憧れのアーティストと同じモデルを手に入れる事ができるというのも大きな魅力の一つです。日本でもCharや春畑道哉(TUBE)、INORAN(LUNA SEA)、Ken(L’Arc〜en〜Ciel)、加藤 隆志(東京スカパラダイスオーケストラ)などのモデルが有名ですね。

・選ばれし職人、マスタービルダーの存在
カスタムショップ内には選ばれし数人の職人が存在します。ギター製作を極めた彼らは「マスタービルダー」という最高の称号を与えられ、日々至高の作品を作るべく腕を磨いています。マスタービルダー達は一人一人がギター製造における各セクションに精通しており、大まかな木材加工などを除いてほとんどの工程を個人で作業しています。端的に言うと職人が一人で1本のギターを製作しているといったイメージです。またマスタービルダー達は高い技術力と共に、顧客からのオーダーを具現化する芸術的センスやデザイン力にも長けています。また今までに見たことがないような革新的アイデアを詰め込んだ個性的なショーモデルも多く存在し、もはや楽器の枠を超えた芸術作品を生み出しているのです。更にはマスタービルダーの中でもプリンシパル・マスタービルダーやシニア・マスタービルダーと呼ばれる極数名の最上位ビルダー達が存在します。彼らは実力トップの腕前に加えて後輩の育成や他のラインの品質向上にも尽力しており、フェンダーブランドの価値を根底から支えている存在なのです。
また上位ビルダーは人気ゆえに年間のオーダー数も制限がされることが多く、中にはオーダーから納品まで脅威の9年待ちという超人気ビルダーも存在します。9年待っても欲しいと思わせてくれる出来ということですね。

2024年現在のラインナップ

続いてカスタムショップのラインナップについてご紹介します。
ラインナップはコレクションモデルをベースに様々なモデルが発売されているほか、オーダーによる一点もののモデルも存在します。
まずは基本知識として下記ワードについて触れたいと思います。

Team BuiltとMaster Built

カスタムショップ製品にはチームビルド(TB)とマスタービルド(MBS)という2つの製品が存在します。

・チームビルド(TB)
チームビルドは木工作業や塗装、ピックアップの手巻きや組み立て、レリック加工等、各セクションのエキスパートが一丸となってチームで作業しています。
大量生産品とは違い、経験豊富なベテランスタッフの多くの”手作業”によって作業されているのです。これは50年代にフェンダーが行っていたオリジナルの手法や過程と同じです。そういった意味ではある種チームビルドの製品が当時のオリジナルに一番近い作り方と言えますね。マスタービルダー達も最初はここで修行していて、現在も数名のマスタービルダー候補生が腕を磨いています。

・マスタービルド(MBS)
マスタービルドは上記でもご紹介したマスタービルダー達によってほとんどの工程を個人で作業しています。
もちろん大まかな木工加工等は機械を使う部分もありますが、演奏面で重要となる木材選定や組み込み、ネックシェイプの仕上げ、リアルな経年変化やレリック加工等、時間をかけて丁寧に製作されています。中には自身でピックアップを巻くビルダーやパーツ自体を一から作成するビルダーも存在します。ある意味一番わがままが言える立ち位置なので不可能を可能にしてしまう力を持っているんですね。またチームビルドの作品に比べ、ビルダーの個性が非常に顕著に表れるのもマスタービルド製品の魅力の一つです。木工加工マスターやレリックマスター、ヴィンテージモデルが得意なビルダーから煌びやかなショーモデルが得意なビルダー等、非常に個性豊かです。お気に入りのビルダーを見つけるのも選び方の重要なポイントですね。

それでは2024年現在のラインナップをご紹介します。
※画像は生産終了品、過去のモデル、また販売済の製品を含みます。

■カスタムコレクション

カスタムコレクションはメーカーがその年に発表する新製品を含んだカタログモデルです。
カスタムコレクションは一年毎にラインナップが更新され、常に新しいモデルが発表されます。カスタムコレクションには下記がシリーズが含まれています。
(※2024年コレクションより)

タイムマシン
年式を細かく指定し、その年式に沿ったモデルを再現したリイシューモデル。


・リミテッドエディション
年式にとらわれないユニークなモデルやスポット生産品、アニバーサリーモデル等。


・アーティザン
希少な木材やエキゾチックウッドを使用した特殊モデル。


・ヴィンテージカスタム
ヴィンテージルックスの中にモダンな要素を詰め込んだバランスモデル


・ポストモダン
ヴィンテージルックスの中によりモダンな要素を詰め込んだプレイヤー向きのモデル


・アメリカンカスタム
ゴージャスなデザインとモダンな要素を詰め込んだエレガントなモデル。


・アーティストモデル
おなじみのシグネチャーモデルやアーティスト保有の愛機を復刻したモデル。

■カスタムビルド

カスタムビルド、またはチームビルド・カスタムと呼ばれ、一点物のフルオーダー品からカラーやパーツ、ネックシェイプなどを変更できるセミオーダーラインが存在します。
楽器店のオーダー品は基本的にはカスタムビルドと呼ばれます。

■マスタービルド

マスタービルダーにより製造されるすべてのラインを指します。
マスタービルド製品は基本的には楽器店のオーダーとビルダー独自のショーモデル、企画モデルが存在します。
ゴールドリーフフィニッシュやアルティメイトレリック、AAAAフレイムネック、ネック塗装などマスタービルドラインにのみ許可されているスペックが多数存在しますので一層スペシャル感の強いモデルに仕上がります。

レギュラー品との違い

さてフェンダーカスタムショップとレギュラー品はどう違うのか?皆様の多くが疑問に思っている点だと思います。
上記と重複する内容もありますがご説明いたします。

”厳選された木材を使用”
フェンダーは日々膨大な量の木材を仕入れています。そこからレギュラーライン用とカスタムショップライン用に木材を選定、分別しています。さらにはカスタムショップ専用のシーズニング・ルーム(湿度管理室)が備えられており、厳格な木材の管理を行っているのです。木材の質、状態はギターのサウンドを決める重要なポイントですのでここは非常に重要なポイントですね。

”熟練の職人による手作業での製造”
大量生産品の機械作業、流れ作業とは違い、当時のオリジナルの工程同様に一本一本丁寧に作業されています。それ故、カスタム製品には強い個性が備わっております。
その個性は楽器としての豊かな鳴りを生み出し、感動を与えてくれるのです。

“豊富なスペック”
カスタムショップ製品は数多くの豊富なスペックが魅力です。たとえばベースモデルの年式が1年違うだけでパーツが異なったりネックシェイプが変わります。
ピックアップの種類やカラーリングもかなりのバリエーションが存在し、そこにレリック加工が合わされば無限の組み合わせが生まれます。他にここまで豊富なバリエーションを持っているブランドはありません。だって見た目ってすごい大事ですよね?

”実際に弾いてみてください!”
一番はこれにつきます!!触って弾けば絶対感じるなにかがあるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ここまで読んでくれた方ありがとうございます。
簡単に説明したはずが長くなってしまいました。ただあくまで簡単に説明したつもりですので、伝えきれていない情報も多くあります。
今後もさらに深掘りした記事を書いていこうと思っています。

また今回ご紹介した知識はあくまで予備知識として留めておいてほしいと考えております。
たしかにラインナップやスペック違いが多いので選ぶのは大変かもしれませんが理想のスペックを追いすぎると選ぶ幅を極端に減らしてしまいます。
まずは直感的にかっこいいと感じた商品をご検討いただくのが良いギターと出会える方法だと思います。

イシバシ楽器御茶ノ水本店では多くのカスタム製品を取り扱っております。
気になる商品等ございましたらお気軽にご相談くださいませ。

それでは次回の記事でお会いしましょう。
これであなたもフェンダリアン!!

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【御茶ノ水本店】フェンダー・カスタムショップ レリックの魅力とは【Fender Custom Shopブログ#2】

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