
Harvest Guitarsの白井です。吉田拓郎やかぐや姫のレコードから聞こえてくる石川鷹彦が弾くバンジョー、マンドリンを聞いて、ブルーグラス系の楽器に興味を持った私ですが、今日はお勧めの「弾きやすく、鳴りも素晴らしいコスト・パフォーマンス抜群のマンドリン」をご紹介いたしましょう。
こちらBlantonのBM-35Fというモデルです。アジア製のマンドリンの品質の向上が著しい近年ですが、木材不足や円安が影響してかお値段もなかなか立派になりつつあります。そんな中、この製品は救世主的存在と言えそうです。Blantonはルーツ・ミュージック系の楽器の普及に尽力するHOSCOのブランドです。しばらくの間ラインナップにマンドリンが無かったのですが、このモデルの登場をもって復活となりました。
税込み価格96,800円という、10万円を切る価格ながら、弾きやすく、良く鳴ってくれます。マンドリン経験者ならお分かりいただけると思いますが、この楽器は弦のテンションが強く、弦が押さえづらいとギター以上にストレスを感じがちです。左手で軽く弦が押さえられてスムーズに運指ができ、そして右手で軽くピッキングするだけで音が出てくれると、俄然練習の意欲が湧くというものです。
マンドリンにご興味を持たれている方の中には、「主役はギターでマンドリンは脇役」というお考えの方も少なくないと思います。私もそうでした。脇役にさほど投資したくないという気持ちから、ついついチープな楽器を手にしてしまいがちです。ところが、弾きづらかったり、チューニングが合いづらかったり、また鳴ってくれなかったりすると、結局脇役にすらならずケースにしまったままになってしまいます。しかしながら、良い楽器に出会うと、脇役だったはずが主役にしたくなるほど、モチベーションが上がるものです。




このBlanton BM-35Fはアーチトップ、fホール、スクロールのデザインがあしらわれたボディとヘッドストックなど、名器Gibson F-5のデザインを踏襲しており、トップ、サイド&バックは単板が採用されています。それでこの価格を実現できているのは、トップ、バックのアーチの加工をプレスとし、またボディのスクロールを空洞構造とせずブロックとした設計によります。そのためリーズナブルなプライスながら良く鳴ってくれるのです。アーチがプレスと言っても削り出しの物と視覚的な印象は変わりません。チューニングもスムーズなのも嬉しいです。
さすがに高級モデルのようにメイプルにトラ杢が出ているわけではありませんし、また仕上げには幾分ラフな部分もあります。しかしながら、演奏する楽器としての機能性は十分持ち合わせています。本気でブルーグラス・マンドリンを目指すビギナーの方はもちろん、ポップスなどのアンサンブルにマンドリンを取り入れたいというクリエイティブな方にもお勧めのアイテムです。
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白井英一郎:
1960年生まれ。吉田拓郎を聴いてギターを始め、間もなくイーグルスなどのアメリカンロックに傾倒。アコースティック&エレキ・ギターのほかルーツ系の楽器をも弾くマルチプレイヤー。現役の演奏家であり、音楽&楽器専門誌のライターの肩書きも持つ。1970
年代の音楽とファッションをこよなく愛し、音楽のあるスローライフを実践するロハスピープル。入門者からベテランの方まで、お客様のライフスタイルに合った商品を提案する楽器のコンシェルジュ。2020年11月に定年を迎え、現在は嘱託社員として勤務。