ラディック木胴では外せない存在のジャズフェスティバルスネアを解説してみた
2020-08-22 みなさん、ラディックのスネアと言われたら何を思い浮かべますか?400とか402?
アクロライト?
ビスタライト?
それぞれ色んなモデルが思い浮かぶ思いますが、
もし、木胴限定という縛りだったら、
この「JAZZ FESTIVAL」がパッと思い浮かぶ方も多いのでは??
今回は、長いLUDWIGの歴史の中でも重要なモデル
「ジャズフェスティバル」にスポットを当ててみたいと思います。

1960年ごろデビューしたと思われる「JAZZ FESTIVAL」
正式な形式は、カバリング仕様がNo.908P、ラッカー仕様はNo.908Lという形式でした。
※ちなみに当時はラッカー仕様よりもカバリング仕様の方が少し高価でした。
50年代のいわゆる「WFL」期ではBALLETT DEEMSというモデル名が同じ型番であり、
JAZZ FESTIVALは、50年代のBALLETT DEEMSの後継機種という認識で良いでしょう。
ちょっと不思議なのはカタログスペック上では
BALLETT DEEMSは14x5.5インチ、JAZZ FESTIVALは14x5インチです。
JAZZ FESTIVALも特に初期の物は、明らかに14×5より深い物があって「???」となることもあります、
50年代からの流れを考えると14×5.5インチ有っても不思議ではないんですが(笑)
当初シェルはそれまで同様にマホガニー/ポプラ/マホガニーの3plyに、
メイプルのレインフォースメントを装着した、ラディック独自のシェル。
50年代はインナーの塗装もありませんでしたが、
60年代以降はいわゆる「白塗り」が施されることになります。
そして1964年以降はキーストーンバージにもシリアルナンバーが入ります。

■インナーホワイトレゾコート(いわゆる白塗り)
※ちなみにこの個体の白塗りはエッジ付近が再塗装された可能性も有り(たまにあります)

■いわゆるプレシリアルの60年代キーストーンバッジです
また、初期の物は、ブラスフープを装備していました。
特に「何年から切り替わった」という確証は無いんですが、
1965年頃のからブラスフープとスチールフープが混在しているように感じます。

■オリジナルとみられるブラスフープとP-83スイッチ

■当店在庫(2020/8/22現在)の1963年製JAZZFESTIVALスネア
いわゆる「プレシリアル」の時期でフープもブラス製です。
完全な「フルオリジナル」ではないのですが、主要な部分はオリジナルの可能性が高い1台。
そしてビートルズのリンゴスター氏が、
このころのJAZZFESTIVALを使用していたことはあまりにも有名。
特に「BLACK OYSTER PEARL」は同カラーでしたので、
この時期のスネアで同じカラーのオリジナルだと○十万というような
超プレミア的プライスがが付いているのも存在します。
やはり、LUDWIGにおいて「ビートルズ」の影響は本当にすごいものであったと感じさせられます。
これ以降(1966~)のモデルだと、ほぼほぼスチールフープになっているような印象です。
また、60年代後半になると、それまでのシェル構成にも変化が見られ、
材質もインナーにメイプルが使用されている個体を良く見かけます。
ちなみにこの時期の個体は深さも実測で5インチに近い印象の物が多いです。
正直深さに関してはかなり雑(笑)な感じなんで実測値を信じたほうがいいです。
要はマホガニー/ポプラ/メイプル&メイプルレインフォースになっているんですが、
この場合、インナーの白塗りの塗料が「良く乗っている」ので、
見た目にもやや白っぽさが強い印象なので判別できたりします。
1969年以降はインナーの白塗りがクリアー塗装に変わったり、
バッジもキーストーンからブルーオリーブに変化したりと、マイナーチェンジされますが、
このぐらいの時期からはあまり出回っている個体が減ってしまったのか、
この世代以降のジャズフェスは個人的には見たことがありません。
その後1970年代半ばあたりまではラインナップに存在していたようですが、
HR系の台頭により音量を求められる時代に逆らえなかったのか、
ひっそりとカタログ落ちして一旦姿を消してしまうのです、、、、
リンゴスター使用モデルとして華々しく世に広まったモデルとしては
いささか寂しい晩年と感じてしまうスネアでもあります。
しかしながら、やはり音色の良さには定評があり、
その後のメイプル中心のストレートな木胴シェルでは出せない、
丸みがあるけど芯のある豊かなサウンドを求めて、
ラディックとしても2000年代に「レガシー」シリーズとして、
メイプル/ポプラ/メイプルシェル3plyシェルを復活させ、
その後に「レガシーマホガニー」として、
マホガニー/ポプラ/マホガニーシェル3plyシェルも見事復活。
そして2019年、ついににオリジナルのJAZZFESTIVALスネアのスペックに限りなく近づけた
「JAZZ FEST」シリーズがニューリリースされたのです。
残念ながら、初期の「ブラスフープ」は再現されませんでしたが、
インナーの「白塗り」から、1964年当時のスネアベッドの削りの再現、
ベースボールバット・トーンコントロール(ミュート)等々、
当時のスペックが非常に良く再現されているように感じます。
特にサウンド面でも、多少「若い」印象は感じるかもしれませんが、
ファットでいなたい音色ながらもきっちり「芯」がある、
ジャズフェス特有のニュアンスが忠実に再現されており、
これから育てていく楽しみや、クオリティの安定感など、
血眼になってオールドのジャズフェスティバルを探すよりも、
復刻されたJAZZ FESTをあえて選ぶ価値は十二分にございます。
また、カバリングも人気の「ブラックオイスター」の再現を含め、
67年から数年間しか作られていなかった「モッドオレンジ」などもあり、
定番カラーからLUDWIGファンにとっては嬉しい復刻カラーまで豊富なバリエーション。
今回、当店には国内のレギュラー4色に加え、

1Q Vintage Black Oyster

2Q Vintage Blue Oyster

51 Mod Orange

BG Black Galaxy
■国内カタログ外カラー4色も国内初入荷!

0P White Marine Pearl

0S Silver Sparkle

32 Blue Sparkle

52 Sky Blue Pearl
合計8色にて展開!
VINTAGEの人気カラーやレアカラーも新品で復刻されている!
実に良い時代になりましたね(笑)
しかも新品JAZZ FESTの完成度は高く、
ヴィンテージじゃないとヤダ
って方にも是非お試し頂きたいスネアドラムであります。
現在御茶ノ水ドラム館では

Ludwigスネアフェア『Special Ludwig To You』開催
今回紹介したJAZZ FEST以外にも
ハンマード系中心としたの金属スネア等多数ご用意!
ラディック必見のラインナップを展開しています。
2020年、111周年に突入したラディックからまだまだ目が離せません!