「泣きのギター」もとい、文字通り「ギターを泣かせて」しまっていませんか？
2019-11-29 皆さんこんにちは、名古屋栄店弦楽器担当の岡本です。
もうすぐ12月、本格的な冬ももうすぐですね。
さすがにコートが欠かせなくなってきたり、指先寒かったり大変です。
さて今回は楽器の管理についてですが、
我々人間が「寒い・・・。」と思う環境は、ギターにとっても厳しい環境であると言えます。
特に寒さに伴う「乾燥」は木材を使用しているギターにとって大敵です。
詳しい方はオレンジオイル等を指板に塗るなどして頂いているのでは？と思いますが、それだけでは不十分でもっと普段の保管環境から見直すことが楽器と長く付き合う上ではマストです。
【乾燥による楽器への悪影響】
エレキギターやベースに発生する悪影響は、大きく2点。
1つ目は指板の乾燥によるひび割れやフレット浮き、ネック順反りの原因となります。
2つ目は塗装面への影響です。ラッカー塗装の楽器は、クラックが入る原因となります。
アコースティックギターへの影響は、上に加えて2点、
1つ目はブリッジ浮き。
ブリッジが下の部分から徐々に剥がれてきてしまいます。
2つ目はトップ板のへこみ。
トップ板が内側にへこんでしまい、弦高などに影響してきます。
アコースティックギターはボディー全体が薄い木でできていることから特に気を付けなければいけません。
【ハードケースに入れておけば大丈夫!!は間違い？】
ハードケースは他のケースと比べて外気の影響を受けにくいのは事実ですが、それだけでOKとは言い切れないのも事実です。
モールド式と言われる樹脂で覆われているタイプであればまだしも、トラディショナルな木製のケースは意外と隙間があるものです。
ケースに入れているからと安心していると意外と外気の影響を受けてしまっています。
【では、どうすればいいのか】
前述の通り、オイルを塗ってハードケースに入れておけばそれでOKということはありません。
また、アコースティックギターであればサウンドホールに加湿用のスポンジを挟むものもありますが、もちろんそれだけでOKというわけもありません。
ではどうやって乾燥を防ぐのか・・・。
必要なのはこれまでお話しした悪影響を受けにくい「安定して湿度50％になっている保管環境」を用意する。
これが最も大事と言えます。
私は自宅に湿度計を置いていますが、
夏場はなにもしなくても50～60％あった湿度が、11月に入り40％まで下がっています。
湿度を上げるには加湿器を使用します。
直接水分が楽器に当たるのもよくありませんので、少し離れた場所に加湿器を、楽器に近い場所に湿度計を置きます。
ハードケースであればケースの中にいれた湿度計を時々チェックするのがいいかと思います。
これは乾燥だけでなく、梅雨の多湿にも言えることで除湿機を使用しするなどして50％を保ちます。
部屋のスタンドに置きっぱなしの場合であれば、加湿器で部屋ごと湿度を保ってあげれば楽器のみならず、のどやお肌の調子も保ってあげられるかと思います。
【チューニングは緩めなくていい？】
弦を緩めるのか、緩めないのか、というのはみなさんそれぞれに考えを持ってらっしゃるかと思います。
「弦は緩めなくていい。」と公言しているメーカーもありますが、
「湿度が50％付近に保たれた環境で保管していれば」というのが大前提としてあります。
適切な湿度でない環境で弦を張ったままにすると当然順反りしますし、
管理不行き届きによる状態の変化は新品購入品であってもメーカー保証の保証対象外とされる場合もあります。湿度管理はしっかり行いましょう。
いかがだったでしょうか。
今回ご紹介した内容以外にも、エアコンの風が直接当たる場所に置かない、水回りの近くに置かないなどもポイントです。
ここまでチェックすることがあると、気が滅入りそうですが、何より大事なことは毎日弾いてあげることです。
毎日弾いていれば、状態の変化にいち早く気付く事ができます。
大きな虫歯になってから歯医者に行っても抜くしかないのと同じで、早い段階で対処すれば直せる場合が多いです。
「弦高が高い気がする」「音が詰まる感じがある」など、少しでも変化がありましたらお近くの楽器店へお持込下さい。
それではまた。
