続・楽器屋さんに聞けシリーズ☆ロックレジェンドLM402【渋谷WEST】

やっぱりロックスネアは ラディック 402 でしょ!

2019-03-08 お久しぶりです!
ちょっと色々あって更新を中断しておりました。
※楽しみにしてくれていた方申し訳ありませんm(__)m

さて、再開後になります楽器屋さんに聞けは、
著者・松岡による独断と偏見も織り交ぜた、続・楽器屋さんに聞けシリーズ。

記念すべき再開後1回目は、、、

LUDWIG LM402 スープラフォニック スネアドラム!!!

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LUDWIG LM402の商品ページはこちら

↑松岡の演奏によるLM402サウンド!

何故、402なのかというと

単純に私が永年愛用しているからです!!


というのもありますが、、、

なんと、この度LUDWIG社の110周年を記念した、
ファクトリーツアーが開催させる事が大決定!


3/10より私、松岡が
アメリカはノースカロライナ州、モンローへと旅立ってまいります!

そんな個人的に大好きなスネアですが、
個人的見解をも交えつつ解説してみたいと思います。


■402の音との出会い


ちょうど本格的にドラムを始めた高校生のころ、
一枚のアルバムとそのドラムの音に衝撃を受ける。

椎名林檎『無罪モラトリアム』

彼女の1stアルバムであり、
業界でもとてつもない衝撃を与えたと言われる名盤。
リリースから20年経った今もなお、
古さを感じさせない彼女の代表作であります。

ドラムはあの河村カースケさん。
今や日本を代表するドラマー、私の大好きなドラマーであり、
当時の自分にとって稲妻のような衝撃を与えた人物です。

このアルバムのドラムサウンド、
その全てに衝撃を受けたのですが、
特に「スネア」の音が心を掴んで離さないっっ

何だ、何なんだこのスネアは??

そう思い、当時色々調べてみたものの、
情報の少ない当時の自分では辿り着く事も出来ず、、、

数年が経ち、行き着けのリハスタで何気なく流れていたライブ映像、
それが『LED ZEPPELIN 狂熱のライブ』でした。

ドラマーは伝説とも言えるあのジョンボーナム
このお方も自分に稲妻のような衝撃を与えた人物。
そのスネアの音色を聞き、また稲妻のような衝撃!

また再び、
何だ、何なんだこのスネアは??

やはりこの「独特の音色」が耳から離れない。

今でこそこのスネアがスタンダードな存在であることを知っていますが、
当時の自分が叩いた事のあるスネアの中では、異質な存在でした。
まあ、単純に経験が少なすぎたんですが、、、

ちょうどその頃、私、松岡は専門学校を卒業し、
イシバシ楽器の御茶ノ水でアルバイトを始めたころで、
当時の先輩スタッフに、早速こんな事を聞いてみたのです。

私「ボンゾって何のスネア使ってるんですか??」
当時の先輩「ンなもん、ラディックの402に決まってるじゃねーか!」


恥ずかしながら、初めて知ったLUDWIG LM402。
楽器屋に入りたての頃は、実は全くの機材音痴。
LUDWIGというメーカーは知っていたのですが、
どんな特徴を持っているなんて知りもしなかったのです。

特に402は大定番であるという事を知り
そしてお店にちょうどLM402中古があったので、とりあえず一発叩きました。

「スコーン!!」
「あっ!あの音と同じ!!」


見つけてしまったあの音。
たった一発でスネアが決まるなんて事もあるんですな、、、

初めてのローンでお買い上げ(笑)
こうしてようやく、恋焦がれていたサウンドにたどり着いたのです。

後々になって知ることになるのですが、
当時のカースケさんは、例のアルバムで
60年代の402、もしくは5インチの400を使用していたとの事。

そんな自分にはやはりLM402が、
間違いなくずっと探していたものだったようです。

カースケさんやボンゾは1960年代~1970年代の
所謂「VINTAGE」の402を使用していたようですが、
自分にとっては、現行のものでも十分満足出来ました。

ちなみに自分が手に入れたのは、2000年代初期ごろの402。
ヴィンテージの60年代、70年代とは様々異なりますが、
基本的な設計は同じスネアですからね、、、、

そして手に入れてからは至るところで使い倒しました。

とにかくチューニングもしやすく、気難しいところが無い。
ズボラな性格の私にはベストマッチなスネアでした。

ボルトが仮に一本脱落しようが、
湿気だらけでヌケの悪い環境だろうが、
とにかく気軽にどこへでも持って行けるタフなスネア。

チューニングレンジも案外広く、
ミュートしたローピッチから、
オープンにチューニングしたハイピッチまで、
様々な音色が楽しめたものです。

私個人の印象では、とにかく汎用性が高く、
「迷ったら402」といっても過言ではないモデルです。


■402と言うスネアのスペックとしての特徴

そんなLM402。
見た目は至って普通なんですが、どんな特徴を持っているのでしょう?

先ず、スペックを知る上で最も重要なのがシェル材。
この銀色の、一見スチールにも見えてしまう金属は何ぞや?というと、、、

その昔は「LUDIALOY(ラディアロイ)」と呼ばれていた素材。

1963年のデビュー当時は「METAL」としか記載が無く、
このLUDIALOYシールも相まって、永年謎に包まれていました。

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1970年代後期?1980年代頃までは
シェル内側にこのような青いシールが添付されていました。


しかし、、、

・重量がやけに軽い
・メッキがはがれやすい
・磁石がくっつかない
・音色的にはミッドレンジが強い


上記特徴より「アルミにメッキを施したものなのでは、、、」
という噂が絶えなくなっていたのです。

ようやく発売から約50年が経ち、
今では公式でも「アルミ二ウム」を明かしており、

長年謎とされていた402のシェル材は、

クロームメッキを施したシームレスアルミシェル

という結論に至るのであった。

20 19年時点、LUDWIG社の主な公式スペックは、、、
・1.7mm Seamless Aluminum Shell
・2.3mm Steel Triple Flanged Hoops
・P85AC Throw Off
・P35AC Butt Plate
・10 lugs


過去の物は正確なシェルの厚みも公表されてないんですが、
実際それほど大きな違いはないと思います。
フープは何回もモデルチェンジしていて、
80年代あたりから2.3mm程度の厚めの物が採用されています。
※ヴィンテージの時代からの変遷は次の機会で、、、

この「メッキしたアルミシェル」というスペックは、
勿論他社からも発売されていたりするんですが、、、

確かに基本的な音の傾向は似ているものの、
どうしてもトーンや抜け、オープンな鳴りはLUDWIG 402とは異なっており、

やはりオリジナルは偉大なだなぁと痛感したものです。

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まとめると
少しドライで明るいLUDWIGらしいサウンドでありながらも、
粘りというかコシがあってオープンでダイナミックに鳴ってくれる、、、
基本的には「歌モノ」を叩くことが多かったので、
とにかくバランスが良く、ちょうどいい歌を邪魔しないポジション。
ロック向けといわれていますが、それほど爆音ではないんです。

しかし独特の程よいサステインとふくらみのある胴鳴り、
ミッドのしっかりした音色で存在感が十分出せます。

これが「402」の最大の特徴ではないでしょうか?


■402はこういうドラマーにおススメ!

・2000年頃のポップロックサウンド
比較的アコースティック感重視のサウンドキャラなので、
あまり加工などもせずにナチュラルに鳴らすと心地よい!
歌モノでもうるさすぎないのが最大の魅力です。
特に女性ボーカルとの相性がいい気がします、
元々の特性の音域がちょうどボーカルとぶつからないので、
お互いの特徴も活かす事が出来るんだと思います。

・70年代のロックサウンド

もうこれは定番ですね。
ボンゾを目指すならこの音しかありません(笑)
爆音ではないんですが、リムを引っ掛けて目いっぱいブッ叩けば、
「スコーン」という心地よい胴鳴りが楽しめます!
とにかく、感情丸出しでワイルドに叩いて欲しい、そんなスネアです。

・何のスネアを買っていいか迷っている

この402は金属スネアなんですが、アルミという素材の特性で、
固くも無く柔らかくも無いイメージがあります。
金属だと固すぎるし、ウッドだと少し派手さが足りない、、、
そう感じてどちらを買うか迷っている方に自信を持ってオススメします!


なんせ、スタンダードなモデルなんで、
どんなドラマーにも私は自信を持ってオススメですよ?

しかし、長所ばかりではない、
私が感じる弱点もお教えしましょう。

・スイッチが弱い
これは、仕方ない(笑)
現在ではP-88ACという型番に切り替わったのですが、
長年、P-85というスイッチでした。

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これは、1970年代後期頃の、ロゴ周りが黒いタイプ。
※何タイプかあります。詳しくはまた後日
1970年代からついこの間(2016年)まで採用されていました。

このスイッチ、シンプルで使いやすいんですが、故障率は高めです、、、
交換も簡単なのですが、耐久性はあまり高くないです。

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2018から採用のP-88AC
デザインも近代的になり滑らかになった。
耐久性も向上したものと思われるが、
オンのままノブが回せないのが使いにくいという意見もある。

・チューニングが緩みやすい

デザイン的な問題で、ボルトが長い上に、プレスフープ仕様。
なおかつ胴も良く鳴るスネアなので、チューニングは緩みやすいです。
この辺は緩み止めを使えばある程度解決しますが、
ハードヒッターには頭の痛い問題になるかもしれません。

・決して「爆音」ではない
ロックスネアのイメージがある402ですが、
アルミシェルでもあり、「低域」はそんなに強くないです。
なので「図太い」音を探しているドラマーには物足りないかも、、、
また、突き抜ける様なアタックは無いので、
周りがあまりに「爆音」だと埋もれてしまうかも、、、
そこから先は叩き方次第、ドラマーの腕が問われます(笑)

という感じで、、、
完璧なスネアなど無いんですが、

LM402は決して「パワー系」なスネアではないと思います。

構造が極めてシンプルな分、
ドラマーの感性、叩き方によっていかようにも使えるスネアです。

だから使うドラマーによってニュアンスも変わるし、
ハードなサウンドから優しいサウンドまで出すことが出来るのでしょう!

とにかく永遠のスタンダードモデルは過言ではありません。
だれもが一度は耳にしたことがあるであろうサウンド。


とにかく、ロック系のドラムといえば、、、
LM402という選択肢はやはり外せないでしょう。



LUDWIG LM402の商品ページはこちら

しかしこのモデル、
いかんせん50年以上も生産されていたので、

とにかく世代ごとの特徴が違う

のですが、今回書ききれないので、
またの機会に細かく掘り下げて解説したいと思います。

それでは、また!

MATSUOKA