【Vintage column】Gibson Acoustic War Time Modelに迫る!
2016-11-24
Gibson Vintage・・・とりわけ黄金期と呼ばれるPre War?War Timeに作製されたギター達。
彼らには他に変えがたい存在感、サウンドが在る。
実際の良さはやはり手にとってみないと全ては分かり切れない。
それでも今回は画像からお伝えできる限りの内容となれば幸いである。
今回現物を前に検証するのは
Gibson LG-2 Mahogany Top
戦時中に製造された一本、おおよそ1943?1946年頃のスペックである。
まずは誇らしげなBanner Head Logo

しかし、むしろ注目すべきはその下、通常ロッドカバーが付いている位置に見える三角形の埋め木であろう。
この当時必要な部材は戦争へ優先された。
その中金属不足はギター製作にとっても深刻な問題であった。
しかしギブソンクラフトマンシップは折れることなく創意工夫でスチールロッドの代用としてエボニーロッドを採用するのである。
これが現状でも頑強にネックを支えている。
次に当時のヘッド形状の特徴であるテーパー加工。

ヘッド先端に向かうにつれて先細りしているのがお分かりいただけるだろうか。
比較対象として66年製 B-25のヘッドである。

こちらは上から下までほぼ同じ厚み。
一説にはオートメーション化が進んでいない当時、個体差をぼかすために意図的にきつく入れたとも言われるが、今となってはこの年代から51年頃までの貴重なスペックである。
66年との比較といえばネックアングルもよく言われるところ。

手前が17度角のLG-2、奥手が14度角のB-25。
並べると違いが分かり易い。
プレイアビリティに関わる部分としてはネックグリップは見逃せない。
ナット幅も実測43mmと39mmと全く異なるが、それ以上に厚みが違う。
LG-2

B-25

同じ1フレット付近、親指が人差し指に巻き付く部分の差が分かる。
LG-2のほうが第一関節まで届かず圧倒的に厚いことが分かる。
全体的なネックシェイプも全く異なる。

左がLG-2、右がB-25。
これがそれぞれの重厚なサウンド、軽快なサウンドを形成している大きな要因になっている。
ある意味アジャスタブルサドルか否かより音響に与える影響は大きいかも知れない。
このLG-2はブリッジプレートを張り替えている。

オリジナルよりやや大振り。
これにより強度面、サウンド面、両面から適切にサポートしている。
戦中は金属のみならず、当然木材も不足する。
その中生まれたモデルがこのギターのようなマホガニーTop仕様のスタイルである。
画像にてブレーシングの白いスプルースと比べてTop材の内側が茶色く、マホガニーであることがはっきり分かる。

こうして、全く同じスペックで作り続けることが難しい局面にさらされて時代に翻弄されながらもGibsonはその時代時代を生きながらえてきた。
いい音、いいギター、それは歴史の代弁者でもある・・・

ここまで読んでいただけた方は熱心なギブソンファンであると思います。
ここに書いて伝えたかった想いを、ぜひ店頭で、ご自信の目で、手で、お確かめください。
Gibson / LG-2 War Time Mahogany Top 【池袋店】