トルコ・シンバルファクトリーツアー in 2024!

6年ぶりに飛んで飛んでISTANBUL!

こんにちは。イシバシ楽器池袋店 ドラム担当の中村です!

2024年4月、野中貿易株式会社様の主催による、トルコ・イスタンブールの買付ツアーが行われました!
前回の買付ツアーから実に6年振り!という念願のイベントに、今回は中村が参加いたしました。

初めての海外ツアー、そして初めてのシンバル工房見学・選定と、
目白押しだったトルコでのツアー内容を記していきます!

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https://www.ishibashi.co.jp/sp/shtml/08-cymbals/

初日~1日目

羽田空港の国際線ターミナルから出発し、約12時間のフライトを経てイスタンブール空港へ到着。
2019年に開港し、非常に広くキレイで快適な空間となっておりました。

空港から車で30分ほどのホテルを拠点とし、小休憩を挟んで早速1社目の工房へ移動します!

1日目 Istanbul Mehmet

拠点となった市街地のホテルから車で約30分ほどで到着。
自動車整備工場が軒を連ねる工業地帯の一角にIstanbul Mehmet社があります。

横に長い作業場に、釜戸、キャスティング機、ローラー、カップ(ベル)出しの機械があり、
まさに町工場のような佇まいとなっておりました。

・メルティング
原料の合金を溶かし、ポッドと呼ばれる鋳型の器に注ぎ込んで冷やします。
器の中にはあらかじめ液体が注ぎ込まれており、ここにドロドロに溶けた原料が注がれると一気に湯気が立ち上ります!

温度は約1200℃と超高温!離れていてもとてつもない熱気を感じます。

・ローラー
ポッドで冷やされたとは言え、まだまだ赤熱して熱々の状態です。
この状態でローラーへ入れ込み、薄く伸ばしていきます。
薄く伸ばしては釜戸へ入れて熱し、再びローラーで薄くし・・・という作業を繰り返すことで、粘りと強度を生み出します。

その後は別の機械でカップ(ベル)を出し、よりシンバルらしい見た目になっていきます!

ベル出しの金型。シリーズによって大きさが異なり、複数種類あるとのこと。

ベル出しが終わった後は外で冷やします。

・ハンマリング
職人さんによるハンマリング。
熟練度によって役割が分かれており、シェイプ(形状)を作り出す→シェイプを整える→最終的な仕上げ、というように作業が分かれています。
シンバルのキャラクターを決定づける重要な作業で、まさに職人技です!

・レイジング
シンバルの表面を削って溝を掘る工程。
この作業を経て見覚えのある綺羅びやかなビジュアルになっていきます。これもまた職人技です!

・選定
試奏室、そして保管室には大量のシンバルストックが!!


ここからシンバルを選定していきます。
プロパー品はもちろん、新作や現地にしかないプロトタイプ、カタログ掲載外サイズの逸品を見つけてきました!

1.LEGEND DRY FLAT 20インチ
カタログ非掲載の非常に薄いフラットライド!クラッシュも鳴ってくれる個性的な一枚!

2.BLACK SEA RIDE 23インチ
こちらもカタログ掲載外の23インチライド!
レイジングのないドライサウンドながら、反応も早く繊細さも併せ持ちます。
ボリューム感もあって個性的な一枚です!

Istanbulブランドの創始者であり、Istanbul Mehmet社の創設者であるMehmet Tamdeger氏と2ショット!
めっちゃ緊張してますね・・・(笑)

この他にも10枚ほどのシンバルを選定!
初めての選定で緊張しましたが、ビビッときたモデルを選びました!

2日目 Bosphorus

ホテルで悠々と寛ぐ猫に癒やされながら、2日目はボスフォラス社の工房へ!
ホテルから車で約30分ほどの距離にあり、閑静な郊外の住宅地に工房を構えていました。

工房の外には大量の薪と石炭が!いかにも町工場といった佇まいです。

ボスフォラスのシンバルはヒットするとシンバル全体がたわむほどの
薄くしなやかなものとなっており、このしなやかさを生み出す秘密はズバリ”水”!

地下水が豊富な土地に構え、あのオールドKが製造されていた時代と同じ系統の水質となっているため、
あの独特なしなやかさが生まれているのです。

・メルティング
原料を熱する時点で早速他社との違いが現れました。
原料を入れたツボを地中に埋め、石炭で一気に加熱します。
その温度はなんと約2000℃!これは今回訪れた3社の中でも圧倒的に高く、
この時点で音の違いが現れること間違いなしです。

そしてポッドに原料を注ぎますが、なんと人力で行います!
迫力満点すぎて言葉を失ってしまいます・・・。

ポッド内で冷えた原料をローラーへ入れて伸ばし、再び加熱→ローラーで伸ばす・・・。
この作業は共通ですね。

・ハンマリング
薄く成形する上でも重要な作業。職人さんの真剣な眼差しが光ります。

・選定
ボスフォラスは特にカタログ掲載外のものやプロトタイプが豊富にあり、
他2社にはないオリジナリティが溢れていたのが印象的です。

こちらはなんと30インチのライドシンバル!
コレを見るとサイズ感が迷子になってしまいますね・・・笑

個人的に気になっていたのは、シンバルを成形後に地面に3ヶ月埋めることで金属を熟成させたという
”Painite(ペイナイト)”シリーズ!
漆黒のビジュアルに小さめのカップが特徴となっており、ドライでトラッシーながら軽快なサウンド!
ライドはもちろん、特に16インチのハイハットがとても素晴らしく一聴惚れで選定!
ぜひ到着をお楽しみに!

こちらは特別にその場でホールを空けていただいた一枚。
元は”Sliver”シリーズと呼ばれるモデルで、最終的に表面を白く仕上げるのですが、
この状態の音が素晴らしいため敢えて”加工なし”で選定しました笑
アーシーでドライながら暖かみのあるアクセント音がたまらない、まさにボスフォラスらしさが詰まった一枚です!

新作を中心に、プロトタイプの個性的なエフェクトシンバルを多めに選定しました!
オリジナリティを求める方にぜひお試しいただきたいです!


3日目 Istanbul Agop

3日目はIstanbul Agop社へ向かいます!
こちらもホテルから車で30分程度で到着。

オフィス街のようなビルが並ぶ区画にあり、近代的な建物となっておりました。

お出迎えの看板が登場!


オフィスも非常におしゃれ!
バースペースもあり非常に現代的なオフィスになっておりました。

そして工房選定の前に、AGOP社の社長、アーマン・トルムジュク氏から貴重な品々を見せていただきました。

こちらは1980年代にエルヴィン・ジョーンズ氏が使用していたライドシンバル!
元々はコレクターが保有していたものですが、アゴップ社が買い戻し、現在は会社に保管されているとのこと。
中にはエルヴィン・ジョーンズ氏とAGOP社の創始者であるアゴップ・トルムジュク氏との写真も!

こちらのシンバルはオールドKの工房が閉鎖された後、
Agopの創始者であるAgop Tomurcuk氏と、後のIstanbul Mehhetの創始者、Mehmet Tamdeger氏により
「ISTANBUL」ブランドが立ち上がる以前の試作品。
なんと、Agop Tomurcuk氏が一人で製作したシンバルです!
レイジングやハンマリングはオールドKに非常に酷似しており、多大なる影響を受けていたことを感じさせる一枚です。

こちらは2010年に発売された「30th Anniversary Series」のプロトタイプ!
当時は限定品として発売され、現在はフラッグシップモデルとしても君臨するモデル。
初代のプロトタイプなんてまず目にすることはできません。非常に貴重な一品です・・・。

そしていよいよ工房見学へ!

・メルティング
残念ながらこちらは撮影NG。
Mehmet社のように手動で操作する機械を導入していました。

他2社と異なる大きな特徴としては、ポッドに注いで固まった原料を48時間置いて休ませるという点にあります。
時間を置いて休ませることで金属内の分子を安定させ、均一なサウンドを生み出すために行っているとのことです。

・ローラー
原料を釜戸に入れて熱し、ローラーに入れて伸ばしていきます。
Agop社は薪ではなくガス釜を使用しているのが最大の特徴!サイズもかなり大きめです。
ガスを使用している理由としては、窯内の温度のムラを減らすことで品質を安定化させるため。
ローラーもシンバルを伸ばすだけでなく、水で冷却しながら伸ばしています。

この後はベル出しを行い、その後再び釜で加熱した後に水で冷やします。
この工程を挟まないと柔軟性がなくなり、ガラスのように割れてしまうのです・・・。

・ハンマリング
専用の部屋でハンマリング。
20インチのライドを製作するのに要するハンマリング回数はなんと6-7000回!
スティックワークのようにリバウンドを活かしながらハンマリングをするのがコツらしいです。

中村もハンマリングを体験!ハンマーはかなり前重心となっており、勢いよく振れるようになってました。
上手く跳ねさせるように打つにはかなりコツがいりますね・・・。

・レイジング
表側→裏側→表側(シンバルを締める)→エッジ部 の合計4回行います。
一人前になるまで5年かかるとのことで、まさに職人技ですね・・・。

・ロゴのプリントとレーザーでの刻印。
シリーズ毎の金型を用いてロゴを押しています。
刻印はレーザーで行っており、非常に綺麗かつ早い!

Agop社の特徴としては、徹底的な品質の安定化と効率化を目指しているというのが印象的でした。
機械の導入数や工場面積も3社の中では随一。
近代化を推し進めながらも、伝統的な作業工程を守りながら現代の音楽シーンにマッチする
シンバルを発信し続ける、まさにハイブリッドな企業体制であることが強く感じられました。
アメリカに自社倉庫を構えているとのことで、シェア拡大に向けてかなり積極的なようです。

Agop社 社長のアーマン・トルムジュク氏と記念撮影!

工房見学後はオフィス内でランチをいただき、選定スタート!
広大なスペースと膨大なストック・・・。圧巻の一言です。


話題の新作である30th AnniversaryのMediumは、
ウェイトが増している分明瞭なピング音が際立ち、まさに痒いところに手が届くような
サウンドキャラクターとなっておりました。
こちらは22インチ!

その他にも、従来の30th Anniversaryモデルの15インチハイハット、24インチライド、
隠れたファンの多いVEZIRのジャズライドも選んできました。

ジャズ系にピッタリのライドシンバルを中心に、幅広いジャンルに使える
ローピッチ気味の落ち着いたシンバルを選定してきました!これまたどれも粒ぞろいです!
シンバルの魅力にドップリ浸かり、満足の行く選定が終了いたしました!

なんと!私がハンマリング体験をしたスプラッシュシンバルを職人さんが美しく打ち直してくれました!
しかも、”イシバシ楽器 池袋店”の刻印まで入れていただきました。感謝感激・・・!
こちらも当店に展示予定なので、ぜひご覧くださいませ!

4日目 市街観光

いよいよトルコを発つ最終日となりました。
夜のフライトまで時間があるため、イスタンブール市街を観光!

アジアとヨーロッパの境目にあるトルコは、地域によって町並みが大きく異なるのが特徴とのこと。
私達がいる地域はヨーロッパ側のため、ヨーロピアンな建物にアラビア系の雰囲気がブレンドされた
美しい町並みとなっておりました。

中でも有名な観光地、グランバザールへ!
3万平方メートルを超える巨大な規模となっており、
アクセサリーや楽器、絨毯、お菓子などの伝統品を扱う巨大な市場となっておりました!
一人で来たら迷子確定ですね・・・。

美しい街並みを堪能し、深夜2時の便でトルコを出発!
無事日本へと帰国いたしました。

~シンバルツアーを終えて~

ドラムを初めて18年となりましたが、シンバル製作の現場を見るのは今回が初。
率直な感想としては、「想像以上に手作り!」ということでした。
機械を導入しているとはいえ、ほぼすべての工程に必ず人の手が関わっており、
ハンマリングやレイジング等のサウンドを決定付ける作業はまさに職人技。
昔ながらの伝統的な製法は今も連綿と受け継がれており、
シンバルが生まれた国の伝統、そしてシンバル職人の情熱を肌で感じることが出来、非常に感銘を受けた日々でした。

また次回も参加したい!そんな魅力に溢れたトルコに足を踏み入れることができ、大変嬉しかったです!!

今回選定したシンバルはどれも自信を持ってオススメできます!
トルコシンバル好きな方はもちろん、トルコシンバルに興味がある方にもオススメできる逸品ばかり。
ぜひ店頭で「シンバル発祥の地」ならではの個性を感じ取ってみてください!

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https://www.ishibashi.co.jp/sp/shtml/08-cymbals/

店舗情報

イシバシ楽器池袋店

IKEBUKURO STORE

〒170-0013

東京都豊島区東池袋1-50-35 P’Parco 7F

TEL:03-3980-1484

営業時間:11:00 ~ 21:00

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