わからないことは楽器屋さんに聞け!中古品選びの基礎知識1

?今回はスネア編!掘り出し物の中古を探すポイントを伝授します?

2017-01-25 さて、今回もやってまいりました基礎知識シリーズ

■過去記事はこちらから■

わからないことは楽器屋さんに聞け!スネア選びのカンタン基礎知識

わからないことは楽器屋さんに聞け!スネア選びのカンタン基礎知識2
わからないことは楽器屋さんに聞け!ドラムヘッド選びの基礎知識
わからないことは楽器屋さんに聞け!スティック選びの基礎知識
わからないことは楽器屋さんに聞け!キックペダル選びの基礎知識
わからないことは楽器屋さんに聞け!練習ツール選びの基礎知識1
わからないことは楽器屋さんに聞け!練習ツール選びの基礎知識2
ジルジャンファクトリーツアーレポVol.1はこちら
ジルジャンファクトリーツアーレポVol.2はこちら
ジルジャンファクトリーツアーレポVol.3はこちら
楽器屋さんに聞けシリーズ番外編 ?ヴィックファースファクトリーツアーレポ?
わからないことは楽器屋さんに聞け!シンバル選びの基礎知識1
わからないことは楽器屋さんに聞け!シンバル選びの基礎知識2
わからないことは楽器屋さんに聞け!シンバル選びの基礎知識3


ちょうど、当社も中古セール中ということで

今回のネタは…

ずばり
中古ってどうよ??中古品選びの基礎知識

でございます。

今までのネタとはまた違ったテイストですが、
是非楽器選びの参考にしていただければ幸いです。



当社は何かと
中古楽器が多いと感じる方も多いのでは??

もちろん新品も幅広く取り扱っておりますが、
なにより中古楽器が強いのは当社の特徴であります!

しかしながら中古の楽器って
ほんとに安心して使えるの??

とお考えの方も少なからずいらっしゃるでしょう。

結論から申し上げますと、
中古の楽器でも十分すぎるほど使えます!

もちろん私も中古の楽器のお世話になる事が多く、
ちょっと予算がキツいなぁなんてときに非常にありがたい存在です。

また、もう廃盤の商品など
どうしても「それじゃなきゃイヤ」なんてときは
中古を探すほかありません。

そんな中古品ですが、、、

やはり最大のメリットは価格が安い!ことでしょう。

おおむね相場は定価の半額以下、
想定の予算で1ランク上のものを買えてしまうので、
非常にオイシイ存在と言えるでしょう。

また、逆に使い込まれているゆえ、
使い込んだ良さが出ているものもあるでしょう。

比較的経験の豊富なプレイヤーでは
中古しか買わない!という方もいらっしゃるほど。

確かに金属も木材も、長年使い込まれて
初めて楽器として馴染んでいくという傾向もあり、
その馴染んだ感じがはじめから欲しいという方も多いです。

こう見るとメリットだらけにも感じますが、
もちろんデメリットもあります。


・楽器に慣れていないと状態の良しあしがわからない
・実際に音だししてみないと不安
・値段は手ごろだけれども、傷などが多い
・長く使いたいけれど、この先大丈夫かな??


などなど、買う時に躊躇してしまうというご相談もいただきます。

そんなお悩みにお答えするべく、
今回はスネア中古の選び方のポイントを説明していきたいと思います。



■スネアドラム編

さて、まずはスネアドラム。

スネアドラムの一番のポイントは
シェル、つまり胴体です。




パーツ類は交換が出来ますが、胴体は交換がききません。
この胴体のコンディションの見極めが結構ポイントになってきます。

このドラムシェル
理想を言えば、なるべく真円に近い状態の方が好ましいです。

ただし、やはりヒトの造るもの、
完璧な真円ってなかなかできないものです。

ちなみにとあるメーカーでは、
新品出荷時の真円度はプラスマイナス2mmまでは
良品として許容しているようです。

しかしながら制作時は真円に近かったものの、
経年や使用により、次第に変形していくこともあります。

正直なところ、ある程度使った楽器では
完璧に近い真円のシェルを求めるのは難しく、
次第に歪みが生じてしまうのは事実です。

しかしながら、多少の歪みがあっても、
各パーツとのバランス、チューニングが調和すれば、
十分すぎるほどに良い音を出すことも可能です。
もちろん歪み過ぎはマズイですが、ある程度は許容範囲なのです。

また、金属シェルでは、
画像ののように思いっきり側面が「ベコっ」となったものもあります。




このようなものでも、
エッジの部分まで凹みが波及していなければ
十分に良い音を出すことも可能です。

ちなみにブラス製のシェルなどはもともとが柔らかいために、
古い製品では大概何らかの凹みがあることが多いです。

つまり、多少シェルに凹みがあっても、
エッジの部分に問題なければ、
スネアとしての性能は十分に果たせる
ものと思います。

木のシェルも同じく、多少胴体に傷が多くても、
エッジの部分の精度が維持で きていれば、
十分に良い音を鳴らすことが出来ます。

このエッジがガタガタとしていたり、高さに差が出てしまってる場合は、
ヘッドとの噛み合わせが悪く、チューニングレンジが狭くなっていたりする事があります。

特にシビアなチューニングを求める方にはエッジの精度の確認をオススメします。



パールの単板メイプルの中古品、エッジ含めシェルのコンディションの確認中

また、シェルの上下方向に歪みが生じてしまったものもありますが、
正直縦方向に歪んだシェルはあまり状態として良くないです。

縦方向に歪んでしまうと、これもまたエッジとヘッドの接地面が安定しません。

こうなってしまうとなかなか厄介で、
パーツ交換やチューニングでのリカバリーもしにくいため、
鳴らしにくく、チューニングレンジが狭いなど、
性能はガクッと落ちてしまう
事が多いです。

私も昔、シェルが縦に歪んだスネアを持っておりましたが、
なかなか鳴らずに難儀した記憶があります。


胴体のチェック、クリーニングが完了!
若干のエッジの消耗はありましたが、
特に大きな歪みは見られず、コンディションとしては十分良好。


逆に、良い経年変化としては、
金属の場合、耳障りなハイが落ち着きマイルドになっていたり、
木の場合も水分が抜け乾燥し、より良く鳴る状態になっていたりと、
デメリットを上回るメリットを得ることもあります。

このいわゆる馴染んだ状態は、中古でしか味わえないもの。

新品ではいわゆる作りたてなので、
とりわけ木のシェルでは硬い音域が目立ち、
耳が痛くなるようなサウンドになってしまうとこともあります。

これが経年し、プライの接着剤が馴染み適度に水分が抜けてくると、
レスポンス良く、ものすごくマイルドであたたかい音色になり、
すぐに使いやすい状態にありつけることもよくあります。

これに関しては中古の最大のメリットといえるでしょう。

私も、見た目ボロボロなのに、やたらと鳴るドラムに遭遇したことがあります。

ドラムは案外頑丈な楽器、実際に100年前のスネアがあるくらいなので、
適切にメンテしていれば、ある意味半永久的に使えるようなものです。

その中でもシェルは替えがきかないので、
選ぶ時はシェルがしっかり性能を維持しているか?
が重要なポイントであります。



【中古】Ludwig 1910-20S BLACK BRASS SNARE 14X4
こちらの商品は約100年前のもの、まだまだ現役ですよ!

そして次にパーツについても

オリジナルにこだわる場合を除き、
パーツは代替し易い部分であると言えます。

シェルさえ生きていれば、パーツ交換や、何らかの改造により、
十分ドラムとしての性能を維持する事は可能です。

ただし、パーツを交換していると、
オリジナルのサウンドと何らかの違いが出てくることも多々ありますので、

オリジナルの状態にこだわりたい場合、
パーツの交換がされていないものを探してみると良い
でしょう。

また、パーツ類の中でも、フープは歪みが起こりやすい部分です。

正直、この部分はテンションが直接かかり、
直接スティックで叩かれる部分なので当たり前と言えば当たり前ですが、、、

少しの歪みは問題ありませんが、
大きく歪み始めると、チューニングがしにくい他
シェルやラグにまで悪影響
を及ぼします。

当店でも、外見から余りに歪みが酷いと判断した場合は、
代替えのフープに交換しております。

続いてラグですが、こちらも消耗いたします。

特にテンションボルトとラグの接続部のラグナットは、
ネジ山が潰れてしまう事も多い
のですが、
大抵の場合交換可能で、交換すれば元の性能に戻ります。

当店でも、
ヘッド交換の際にボルトが回りにくいなど、
違和感があればグリスアップや、パーツ交換を行っております。

可動部は古くなると油切れを起こしやすいもの、
定期的にグリスアップする事で無駄な消耗を防ぐ事ができます。




また、可動部といえば、
ストレイナースイッチもよくトラブルを起こしやすいもの
こちらも油切れやゴミが溜まりますと動作に悪影響がでるため、
適宜メンテナンスを行っています。



パーツなどの金属部は、基本的にはメッキ加工などを施しており、
ある程度の汚れは、金属磨きなどで綺麗にする事も出来ますが、

経年や使用により細かい傷、ビッツなどはどうしても発生してしまいます。

これらの細かい傷程度ならば、音色に与える影響はほぼ皆無なので、
傷は多くても動作さえ問題無ければまだまだお使いいただけます。




上記は既にかなりのサビが生じてしまっており、
削ぎおとしても結構な傷が残ってしまうでしょう。

出来れば交換がベストではありますが、
音に問題なければ、このような状態でも使えます。


基本的に中古の価格は、
これらのコンディションを相対的に判断して価格を付けております。

なので、新品とほぼ変わらない状態だと値段は上がりますが、
それでも新品よりも2割から3割はお手頃に購入出来ます。

中には数回使用で売られてくる楽器でも少なくないので、
本当に新品と変わらないコンディションのものもあります。

逆に、見た目がボロボロの中古は、
かなりお求めやす い価格設定になっている事が多く、
憧れの楽器でもものすごく安く買えた!なんてこともあると思います。

とりあえず使えれば見た目は気にしない!
なんて方には十分オススメ。

ボロボロでも音は抜群なんてこともよくありますよ。

また、自分でカスタムしたい方は、
このようなコンディションは逆に魅力かもしれません。



《今回協力してくれたアイテム》
パールの1990年代前半のカスタムクラシックの14x4インチ
おそらく特注品orスポット生産品結構レアなもの
MADE IN JAPAN の単板シェルで探している方も多いはず!
フープが純正でなく傷んでいたため、
新品のパールスーパーフープ2に交換、
クリスアップ、ヘッド交換を経て店頭に並びます。
シェルの細かい傷はありますが、十分綺麗。
エッジもわずかに消耗していましたが、許容範囲でした。
歪みも感じられず、十分良いシェルの状態です。


このように、
なかなか楽器慣れしてないととっつきにくいかもしれない中古のアイテム。

これは大丈夫かな??なんて迷ってしまうようなことがあれば、
思い切って楽器屋さんに聞いてみましょう。


できれば、実際に商品を確かめるのがベストですが
それが出来ない場合も是非ともご相談下さいね。

【中古ドラムの検索はこちらからどうぞ!】

次回は中古シンバル編をお送りしたいと思います!

それではまた!

■この記事を書いた人

松岡 武 Takeshi Matsuoka

中学生の頃突然ドラムに目覚め、そのままのテンションで音楽の専門学校に入学。卒業後よりお茶の水イシバシに勤務し13年、2016年6月より渋谷WEST勤務。20代のころはジョン・ボーナムにあこがれすぎて24インチのライドをバカバカ打ち鳴らしてました。豊富な現場経験を生かしたその人に合った楽器のチョイス、チューニングやメンテナンスポリシーで、様々なタイプのドラマーをサポート致します!


MATSUOKA