どうも皆様こんにちは!
イシバシ楽器 御茶ノ水本店 PRSフロア担当 フクダです!
今回はPaul Reed Smithが誇る定番モデル「Custom 24」の歴史について深堀りしていこうかと思います!
まず第一回目としてバードインレイをフィーチャー!ぜひ最後までご覧くださいませ!

1985年のメーカー設立から今日に至るまで、PRSを代表する機種である『Custom24』は幾度にも渡る仕様変更を重ね、常にその時代の音楽シーンをリードし続けてきました。
PRSといえば…そう、バードインレイが象徴的なデザインとして広く知られています。この鳥の形をしたインレイが採用された背景には、創業者であるPaul Reed Smith氏の個人的なルーツが大きく関わっています。Paulの母親は野鳥観察者であり、幼少期から母親が兄弟を連れバードウォッチングに行ったようです。
鳥に囲まれた環境で育ったことが、ギターに鳥のデザインを施すきっかけとなりました。彼にとって鳥は単なる装飾ではなく、家族の歴史や自身のアイデンティティと結びついた特別なモチーフだったのです。
また各フレットにモチーフとなった鳥は以下の通りになります。
3フレット:Peregrine falcon(ハヤブサ)
5フレット:Marsh Hawk(ハイイロチュウヒ)
7フレット:Ruby Throated Hummingbird(ノドアカハチドリ)
9フレット:Common Tern(アジサシ)
12フレット:Coopers Hawk(クーパーハイタカ)
15フレット:Kite(タカ)
17フレット:Sparrow Landing(着陸するスズメ)
19フレット:Storm Petrel(ウミツバメ)
21フレット:Hawk Landing(着陸するタカ)
24フレット:Screech Owl On A Branch(枝に止まるアメリカコノハズク)
また、バードインレイは他のブランドとの差別化を図るうえでも重要な役割を果たしました。ギター業界において、象徴的なデザインを持つことはブランドの認知度を高める大きな要因となります。例えば、フェンダーのストラトキャスターのヘッドストックや、ギブソンのレスポールのカーブトップデザインのように、PRSのバードインレイもまたブランドのアイコンとして確立されました。その独創的なデザインは、視覚的な美しさだけでなく、PRSギターを一目で識別できる大きな特徴となり、多くのギタリストにとって憧れの存在となっています。
そんなブランドの象徴となったバードインレイの変遷を、年代に沿ってご紹介していきます!
1985年~1994年:オリジナルソリッド・バードインレイ

バードインレイの素材には、高級なメキシカン・アバロンが採用されていました。この美しい貝素材は、虹色に輝く独特の模様を持ち、ギターに高級感と芸術的な要素を加えています。
この時期のバードインレイは、ソリッドで太めのルックスが特徴的であり、視認性の高さと力強い存在感を備えていました。
1995年~2007年 オリジナルソリッド・バードインレイ

初期に使用されていたアバロンに代わり、ホワイト・マザー・オブ・パールが採用されるようになりました。
この素材は、アバロンの持つ虹色の輝きとは異なり、より落ち着いた上品な光沢を放ち、ギターに洗練された印象を与えます。
光の加減によってキラキラと揺れ動く美しい輝きが特徴であり、PRSのバードインレイに新たな魅力を加えました。
インレイの形状については、初期モデルと同様にソリッドで太めのデザインが継承されており、その存在感と視認性の高さを保ち続けています。
2008年~2011年:アウトラインバードインレイ(J-Bird Inray)

シンプルなシルエットながら輪郭がついた新しいインレイパターンへと変更されました。
このデザインでは、インレイの縁取り部分のみにアバロンを使用することで、洗練された印象を与える仕様へと変化しました。
このスタイルのバードインレイは短期間のみ採用されていたため、生産数が少なく、現在では市場で見かけることが少ない希少な存在となっています。
2011年~2013年:人工素材を用いたバードインレイ(J-Bird Inray with Centers)

2011年頃より世界的に貝類の密猟や密輸が増加し、ワシントン条約(CITES)や各国の漁業規制により、合法的な貝の取引が難しくなったことが原因とされ、
この年代に製造されたモデルには、強化ガラスとアイボロイドをかけ合わせた人口素材のマテリアルとなっております。
一部Private Stockを除く全てのモデルはこのバードインレイが採用されております。
2014年~:現行のバードインレイ(J-Bird Inray with Centers)

この頃より貝類の規制が緩和され、アバロンと外周にアイボロイドを用いたハイブリッドなマテリアルが採用されております。
10数年採用されて続けておりますので、お馴染みのルックスに感じられる方が多いかもしれません。

いかがでしたでしょうか。
年代によって微妙な違いがあるバードインレイ。少しニッチなブログとなってしまいましたが、参考になれば幸いでございます。
これからも不定期更新ではありますが、Custom 24の歴史を深堀りしていく予定でございます。
それではまた次回お会いしましょう!
