モジュレーションディレイ の沼にハマる
いつもイシバシ楽器をご利用頂きましてありがとうございます。
名古屋栄店エフェクター/メタル担当の白井です。
エフェクターは「沼」と申します。
歪み一つとっても大雑把に分けてもオーバードライブ-ディストーション-ファズとあり、それぞれにイメージされるサウンドが星の数ほどあり、さらにその中に各メーカーのアプローチ、年式や個体差まで見ていくとまさに沼。
足を踏み入れると無限に答えの見つからない探求へと進んでしまう底なし沼になっていきます。

今回からご紹介していきますのはそんな「沼の深部」…ではなく「沼の入り口」。
「定番ブランド、みんながよく使ってるやつ」から「ちょっと通」くらいのエフェクター沼の入り口を紹介していきたいと思います。
それゆえに「おいでよ」、入り込んだら「ようこそ」。
エフェクター沼には魑魅魍魎が跋扈して手招きしていますが(失礼)、浸ってしまえばこれほど心地の良い場所もありません。
エフェ沼その 1 Earth Quaker Devices「Disastar Transport OG」
第一回でご紹介したいのは、私も愛してやまない「Earth Quaker Devices」(以下EQD)から「Disastar Transport OG」です。
(ちなみに私が愛用しているのはバージョン違いの『SR』です)

Earth Quaker Devicesとは
(Earth Quaker Devices日本公式サイト)
アースクエイカーデバイセス代表のジェイミースティルマンは自身のバンドでライブ、ツアー等を何年も行っており、元々物をいじるのが好きで所有していたエフェクター、オーバードライブが2004年頃故障してそれを自分で修理したのがきっかけで、エフェクターの製作をはじめました。エフェクターを分解した際に基盤のシンプルさに興味が沸き、筐体の塗装も含め、オハイオ州のアクロンの自宅の地下室で個人で一つ一つ本格的に製作を始めました。そしてThe Black Key’sのギター、Dan Auerbachのペダルボードに彼が製作したHoof(フゥフファズ)が使用されているとインターネット上で話題になり、人気に火が付き始めアースクエイカー デバイセスの誕生に至ります。 ジェイミーの根本に有るパンクなDIY精神で始めたエフェクター製作ですが、今でもその精神を忘れずにパーツの選定を含め、手作業で一つ一つ丁寧にエフェクターを制作しています。扱い易さを前提にしながらも、ビンテージからモダン、使い手の希望の音色や、使い手にインスピレーションを与える様なエフェクターを制作しております。
このメーカーに対する私のイメージは「奇抜。なんか知らない音がする。それでいて王道モノはハイクオリティ」
ちなみに先日名古屋栄店にJaime、Julie夫妻が来店された際に「うちに普通のものって需要ある?(意訳)」的なことを仰っていました。イメージ通り。
脳髄の奥まで気持ちよくなるモジュレーションディレイ
今回のDisastar Transport OGは「デジタルながら非常に暖かいアナログディレイ感、そして脳髄の奥まで気持ちよくなるモジュレーションディレイ」です。
元々このDisaster Transportはメーカー創設初期にわずか100台程度作られたエフェクターの復刻…だったはずが、弄り倒したくてしょうがないジェイミー・スティルマンがアップデートを重ねて限定リリースされたとのこと。
ちなみにこのDisasterファミリー。他にSR、JRがあったのですが単なる機能縮小ではなく全てその機種でしか操作できない要素があったりします。無事沼に沈んだ後は全機種集めることになるかもしれません(笑)
今回のOG特有の機能はモジュレーション機能のバリエーション。ここは初代から復刻の際に機能が拡張されたポイントでもあります。
「ディレイにモジュレーションとはなんぞや?」という疑問が浮かぶかもしれません。
ディレイは御存知の通り、音を反復させるエフェクトなのですが、その反復した音が「ぐにッ」とします。
Gibson Les Paul Studio→Earthquaker Devices Disaster Transport OG→Roland JC-120
「Bend」と「Stretch」スイッチが有り、音の曲げ伸ばしが可能となっています。さらにそのモジュレーション効果の速度を切り替えて複数のサウンドを作ることも出来ます。ディレイなのに。ディレイなのに。
(ちなみにモジュレーションなしで使うととても素直で使いやすく、それでいてハイクオリティなディレイになります。)
曲の入りや静かになって展開を変化させていくポイントで鳴らすことをイメージしてみてください。
一瞬で曲の世界が変わるハイクオリティな沼ディレイ
これはこの機種に限ったことではないのですが、エフェクターにはこの「世界観」を変える効果があるものが幾つもあります。
EQDは「なんか知らない音」をとても簡単に出せる機種が盛りだくさん、かつ使い道に悩まずに使える範囲の音も揃えています。(カオスなものも山ほどあります笑)
既存曲をカバーしている方にももちろんオススメなのですが、このDisaster OGを特におススメしたいのはオリジナル楽曲を作っている方。
フレーズやアレンジで曲の展開を作るのももちろん大事なのですが、エフェクターで展開を変えるのも大いに有効です。
この「エフェクターで曲の世界観を変える」というエフェクターの使い方、EQDヘビーユーザーで私が個人的に敬愛してやまないMUCCのミヤ氏から受けた影響だったりします。
Disaster Transport OGに限らずEQDがエフェクターボードに入ると一気に「通」感が増します。(※個人の感想です)

凄く良質なTS系「Plumes」、田渕ひさ子氏デザインモデルも有るクリーンブースター「Arrows」などオーソドックスなモデルから、音が無限に広がる「Astral Destiny」。
一見普通のスプリングリバーブなのに設定やピッキングニュアンスによって発振までさせられる「Ghost Eho」などの創造力を高めてくれる独創的なモデルまで、多彩なEQDを沼の第一歩としていかがでしょうか?
ちなみに私のエフェクターボードが拡大の一途を辿っているきっかけはEQDだったりします。
…余談ですが、EQDのホームページには「オノマトペダル」という、各機種を「ぴかぴか」や「ぶくぶく」などのオノマトペで表現し、音と映像効果で遊べるページがあります。無限に遊べて危険なので、私は極力開かないようにしています(笑)
エフェクター沼はまだまだ入口序の口。一度触れてしまえば気づけばあなたのそばに、「My ner gear…」が…!