SELMER MARK VI (マーク6)について

NO.2 SELMER MARK VI

SELMER MARK VI

直前のモデルであったSUPER BALANCED ACTION(スーパーバランスアクション)のオクターブメカニズム、テーブルキー等を更に改良、グレードアップしてサウンドもパワフルにしたモデルがマーク6です。

もっと詳しく 「アメリカンセルマー テナーサックス MARK6 1961年製モデルについて

主な特徴

特徴①

直前のモデルであったSUPER BALANCED ACTION(スーパーバランスアクション)のオクターブメカニズム、テーブルキー等を更に改良。

主な特徴②

このモデルから現在のセルマーの特長となっているネックオクターブキーにSのマークが付けられました。

主な特徴③

スーパーバランスアクションではインライン的な配列だった、左手オクターブキーの操作キーをより動きとフィンガリングが良い方式、形状に変更され、テーブルキーにはこの当時、初の連動式を採用し、(今では当たり前ですが、これによってLOW.Bb.B.C#のフィンガリングが非常にスムーズに行えるようになったのです)全体に小振りなキーの形状とスムーズなキーアクション、勿論、素晴らしいサウンドクオリティーはプロマーケットで圧倒的な支持を受け、不動の地位を確立しました。20年近く、このモデルが製造され続けた所以でもあります。

主な特徴④

この長い期間にはいくつかのマイナーチェンジが行われています。初期の50000番台の楽器は、多少スーパーバランスアクションの名残がパーツなどに見受けられ小振りな作りとなっています。
ベルの形状も開き方がゆるやかになっています。一番大きなマイナーチェンジは1965年頃に行われ、ベルとU字管の長さが変わりました。
前期のものは接合リングの模様が縄目模様、後期のものは硬貨の渕に付いているギザギザ模様のようになっているので見分けが付きます。この頃を境にキーパーツは太め、大きめに変更されているのが目に付きます。

ソプラノ主な特徴

主な特徴①

ソプラノサックスは、この年代を境に前期は管体がワンピースで作られていたのに対し、後期はリードパイプが別パーツを取付てあります。
サムフックは前期ソプラノサックスは本体にブラス製のかなり小型のパーツを直付けしてあり、後期のモデルはデタッチャブル式のプラスチック製に変更されています。
アルト、テナー、バリトンのサムフックはどちらもデタッチャブル式ですが、前期モデルはブラス製、後期モデルはプラスチック製に変更されています。

サウンド

サウンドも大まかに分ければ、1965年前が暗い感じ、渋め、丸い、などの言葉で表現すると、1965年以降は、明るめ、パワー憾などの言葉で表現しやすいと思います。シリアル番号で見ると13万番台以前と14万番台以降が分かれ目となっています。

マーク6は製造年によるサウンド傾向の違いもかなり細かくあり、理想のサウンドを求めるプレイヤーが頭を(耳を)悩ませる所でもあり、また楽しみでもあります。

音と言うのは、ひとそれぞれ感じ方が違うのでなかなか上手く説明できないのですが、大体の傾向としては、アルトは5万から6万番台は軽め、甘め、柔らかめ、7万から9万番台は渋め、ややエッジがある、10万から11万番台はバリッとした感じで渋め、12万から13万番台はナチュラル、14万から15万番台は、エッジが際だったサウンドで、デヴィッドサンボーンに代表されるようなサウンドが出る楽器です。
16万台以降は現在のシリーズ2モデルに比べれば、ダークで味のあるサウンドですが、マーク6の中で比較すれば、明るめ、パワー憾のあるサウンドです。

テナーはアルトとほぼ同じような傾向ですが、9万番台には、音の重み、粘り、が多い楽器が見られ、強い人気があります。

アメリカンセルマー テナーサックス MARK6 1961年製モデルについて

サックスの歴史の中で現在も絶大な支持を得ている名器MARK6(マークシックス)の中でも特に評価の高い楽器があり、アルトサックスでは14万番台のモデル(1966年前後)、そしてテナーでは9万番台(1960~61年頃)の楽器がそれにあたります。

全体の画像です。
現在のサックスもほぼこのマーク6をお手本として作られたものが多く均整のとれた美しい形状です。アメセルはhjghF#key無しが多く、この楽器もF#key無しモデルになります。
この楽器の管体重量は3203グラム、ネックは160グラムでシリーズ2モデルが3400グラム前後の楽器が多いので若干軽くなっています。
マーク6のネック形状です。このモデルから現在も引き継がれているオクターブkeyにSのマークが入るようになりました。
ネック正面に三角のプレートが貼ってあり、ひまわりの花の中心の様な図柄のまわりにH.SELMER PARISの刻印が施されています
ネックジョイント部分裏側には楽器本体と同じシリアル番号が刻印されておりマッチングネックと呼ばれています。(シリアルはぼかしてあります。)
横から見たネックのシルエットです。均整のとれた美しい形状でほぼ現在の様々なテナーサックスはこの形をお手本としています。アメセルのコルク巻の長さはフランスセルマーに比べるとかなり長くなっています。
アメリカに買い付けに行っていたときに聞いた話ではkeyのセッティングが低めでベントチューブの穴も音抜けを良くする為に広げてあるのでピッチが低くなるので長く巻いていると聞きましたがジャズのアンブシュアがクラシックに比べるとルーズなので深めにマウスピースをセットする必要もあるので長くなったと思われます。
ネックジョイントのレシーバーは洋白が採用されています。ブラス(真鍮)より強度と硬さがあるので丈夫にするのと音には輪郭が明確になる効果があります。
左手で操作するkey形状です。現在のサックスもほぼこの形状をお手本にしています。
左手薬指で操作する白蝶貝のkeyを支える長い横棒は強度を付ける為、洋白が採用されています。白っぽく見えるのが洋白パーツです。
左手小指で操作するテーブルkeyの形状です。
このマーク6から初めて採用された連動式(シーソー式)でC#-Bbが手を浮かせずに滑らせて操作出来ます。テーブルkeyで出せる低音域は手を滑らせてkeyを押す事が出来るのでフィンガリングが楽でスピードも速く出来るようになりました
下部の画像です。
非常に均整のとれたルックスで殆どのメーカーがこのデザイン、レイアウトを模倣しています。
ベル(1番管)、U字管(2番管)、3番管の接合リングは縄目模様が採用されていています。多くのアメセルは息漏れ防止、強度UPの為にハンダ付された楽器が多くあります。
右手の操作keyのポストの台座は一体座を採用して強度と音にコシを与える役割を担っています。
サムフックはオリジナルのメタルフックが付いています
ベル支柱は2点止めの丸形状が採用されています。ヤマハの楽器もジャズに寄せたサックスのベル支柱は2点止めになっています。多くのメーカーが参考にしているのが分かります。
マーク6から採用されたオクターブkeyシステムです。
直前のモデルだったスーパーバランスアクションはインライン的な形状でサムレストもかなり小さく少し慣れが必要な感じでしたがマーク6からはとても安定した操作感が得られます。
ベル彫刻は代表的なアメリカンセルマーの花が咲いたデザインのものです。この彫刻デザインは1980年のマーク7のアメリカンセルマー終了モデルまで踏襲されました。
U字管の接合リングに手彫りでマーク6(MARKVIが入れてあります。手作り感満載です。
タンポ皿の形状ですが9万番台は角のエッジが他の年代と比較すると立っている印象があります。くっきり見えるのはこの影響と思われます。
keyポストの一体座取付の画像です。
一枚取で作られるベルで繋ぎ目を写したつもりでしたが上手く写っていませんでした。。。。

今回ご紹介した楽器は以前に購入して頂いたオーナー様の楽器を撮影させていただきました。
アメセルテナーサックス9万番台の楽器の音の特長としては吹いてみて音の芯がとてもあり上手く吹けた時はすごく良い音が出てテキトウに吹いたり調子の悪い時に吹いたりすると言う事を聞いてくれない楽器と言う印象です。

元々のポテンシャルが高くて引き出せるきちんとした吹き方が出来ないとちゃんと反応してくれない感じで吹き手の力量を求めてくるような楽器なのですが本人の調子の良い時に吹いた時はこの9万番台の楽器でしか出せない太くナチュラルな何とも言えない良い音を出してくれます。

9万番台の楽器と言う事はソプラノからバリトンまでで1万台でその内のテナーサックスが30%で3000本、アメセルが半分あったとして1500本、60年経過した現在、何本残っているのだろうと考えると大変に貴重な楽器です。(30%とかアメセル半分とかはあくまで空想の世界です。。。)

ちゃんと吹いたらいい音出してあげるよと楽器が言ってくる大変素晴らしいサックスでございました。ちゃんと練習しなければと思わせてくれる楽器でございました。

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