フルートのいろいろな種類

フルートは、その美しい音色と多様な種類で多くの音楽愛好者に愛されています。一見シンプルな形状ながら、造りや素材など、実は様々な種類があります。本記事では、主にフルートの基本的な種類をご紹介いたします。
目次
フルートの種類 その1 フルートの仕様
フルートって金管楽器?木管楽器?
フルートは木管楽器の一種です。フルートは金属でできていることが多いため、金管楽器と間違われることもありますが、唇の振動で音を出す金管楽器とは奏法が異なること、またキィを操作して音程を変えるという特性から木管楽器に分類されます。奏法は、息を吹き込み空気の流れだけで音を発生させます。これはエアリードと呼ばれ、演奏者が口の形や息の流れを操作して空気の振動を引き起こし、管の共鳴によって音が生成されます。
フルートのパーツ
フルートの基本的な構造は主に3つの部分、①頭部管、②胴部管、③足部管から成り立っています(画像参照)。

息を入れるところ ~①頭部管~
頭部管は唄口と呼ばれる穴の空いた盛り上がった部分があり、ここに唇を当てて穴に向かって息を吹き込むことで音が出ます。このとき、唇で穴を塞ぐのではなく、穴の手前に唇を置き下向きに息を吹き入れます。空き瓶で音を出すのと同じ要領です。胴部管と足部管にはキーが配置されており、運指を変えて様々な音程を出します。
カバードキーとリングキー ~②胴部管~
胴部管のキィには、大きく分けてカバードキーとリングキーという2タイプがあります。

カバードキーはキィに穴は空いておらず、リングキーは、ドーナツのように真ん中に穴が開いています。リングキーは、指が穴の位置からずれてしまうとしっかり音を出すことが難しく、指の腹で穴を完全に覆うことが必要です。これにより、初心者の方や指の柔軟性が不足している演奏者にとっては、操作が難しい場合があります。しかし、穴を部分的に覆うことで音の高さを微調整する奏法など、リングキーでのみ可能な奏法があるため、より高度なテクニックを習得したい場合、初心者のうちからリングキーを用い運指を矯正する場合があります。どちらのタイプを使うかは、もしアドバイスを得られる講師の先生などがいましたら相談すると良いでしょう。ただ、リングキーは先述の通りカバードキーに比べ難易度が高く、音が出せるようになるまで時間がかかることがあります。さらに製造過程がカバードキーより複雑になるため、大抵はリングキーの方が高額です。カバードキーはリングキーに比べると安価で音を出すのも容易のため、特に学生の部活等ですと入部後早急な上達が求められたりすることもあり、一般的に初心者にはカバードキーがよく用いられます。
C足(しーそく)とH足(はーそく) ~③足部管~
足部管は最低音域を拡張する役割を果たすことがあります。最低音がC(ド)の音までのC足部管が一般的ですが、最低音がB(シ)までのH足部管もあります。

H足部管は音域が広くなりますが、長くなる分重量が増します。また、小指で操作する箇所が広がるため、手の小さな方などには難易度が高かったりします。ですので、一般的には、カバードキー/C足部管のフルートが入門向けフルートでは標準的な仕様となります。
フルートの種類その2 代表的な種類
フルートには実は多くの種類が存在します。ここでは、代表的なフルートの種類とその特徴についてご紹介します。
コンサートフルート

コンサートフルートは、フルートの中で最もポピュラーかつ人気のあるタイプ、一般的にフルートと言うとこのコンサートフルートを指します。その広い音域と明るく透明な音色で、クラシック音楽からジャズまで、多様な音楽ジャンルで使用され、さまざまな演奏シーンで活躍します。C管です。
オーケストラではしばしばソロパートを任され、その魅力を最大限に発揮します。また、室内楽やソロ演奏でも頻繁に使用され、特に教育用としても初心者から上級者まで広く利用される楽器です。軽量で持ちやすく、初心者からプロまで幅広く愛用されています。
ピッコロ

ピッコロはオーケストラや吹奏楽での最高音域パートを担当し、コンサートフルートの1オクターブ上の音域が出ます。ピッコロの高音が全体の音にアクセントを与え、楽曲に躍動感をもたらします。特に、軍楽隊や行進曲、さらにクラシック音楽でも特色のあるメロディラインを引き立てます。具体的には、ベートーヴェンの「交響曲第9番」や、マーチ「星条旗よ永遠なれ」でピッコロの華麗な高音が重要な役割を果たしています。木製のものと金属製のものがあります。
アルトフルート

アルトフルートは、通常のコンサートフルートよりも大きく管も太く、中低音の音域を特徴としています。G管です。アンサンブルで活躍する場面が多く、また、ソロ演奏においても、コンサートフルートでは出せない豊かな低音と温かみのある音色が魅了します。頭部管がストレートのものと、U字になっているものがあります。
バスフルート

バスフルートはコンサートフルートの1オクターブ下の音域が出ます。主にはフルートアンサンブルで活躍します。音管が長く、頭部管はU字になっております。
コントラバスフルート

バスフルートより更に低い音域のF管。頭部管が数字の4のような特徴的な形をしており、大きなサイズと長い管によって、低い音をしっかりと響かせることができます。通常の横に構えるフルートではなく、縦に置いて演奏します。フルートアンサンブルで活躍しますが、あまり一般的ではありません。
フルートの種類その3 素材による音色の違い
フルートの素材は音色に大きな影響を与えます。その理由は、フルートの材質が音の振動や反響に影響を及ぼすためです。素材によって、音の柔らかさや響き方が変わります。フルートの素材選びによって、演奏する音楽ジャンルやスタイルに適した音色を生み出すことができます。ここでは、素材による音色の違いを見ていきましょう。
洋銀
銅を主としニッケル・亜鉛などを含む合金。洋銀製のフルートは、銀製のフルートよりも低価格でありながら、銀に似た特性を持ち、入門用の楽器の素材としてよく使用されます。その音色は比較的明るく、きれいな音色ではありますが、本物の銀ほど豊かな響きはありません。ただし、洋銀製のフルートは軽量かつ手頃な価格で入手できるため、初心者や予算の制約のある人々にとっては魅力的な選択肢です。
銀
銀製のフルートは一番一般的であり、よく用いられる素材です。フルートらしい明るく豊かな音色が特徴です。柔らかな低音から鋭く響く高音まで、音色を調整する柔軟性があり、演奏者が表情豊かな音楽を演奏する際に、さまざまな表現が可能です。
「頭部管銀製」「管体銀製」「総銀製」
銀製フルートの中でもいくつか種類があり、銀が使用されている割合で区分されております。唇を置くところの周辺の部分だけ銀製の「リッププレート銀製」、頭部管が銀製の「頭部管銀製」、キィ以外の管体が銀製の「管体銀製」、キィまで全て銀製の「総銀製」があり、総銀製以外のフルートは、銀製以外の場所は洋銀が使用されています。
銀が使用されている割合が高いほど、銀製特有の広がりのある響きが強くなります。またお値段も高額になります。銀の割合が低いリップップレートや頭部管銀製は比較的軽量で安価、扱いやすいため初心者に最適です。特に、頭部管銀製は、響きに一番影響のある頭部管が銀製なことにより、洋銀製と比べ遠鳴りします。中学校3年間ブラスバンドで使用したい、のように、価格を抑えつつある程度永くご使用したいという事でしたら頭部管銀製はおすすめです。
総銀製にも種類がある
銀製といっても、フルートは純銀100%でできているわけではありません。純銀はとてもやわらかいため、通常、他の金属を混ぜ合わせて加工されます。そのため、総銀製のフルートでもメーカーやモデルにより銀の含有量の違いがあります。一番一般的な含有率は「925」(銀割合92.5%)のものですが、「958」「970」など、高い含有率の総銀フルートもあり、総銀製のフルートでもそれぞれに響きが変わります。
金
金製のフルートは、音波をよく伝える性質があり、豊かな倍音構造を生み出します。よく遠鳴りすることから、大編成のオーケストラなどでも音が際立ち、プロの演奏家や上級者に好まれます。音色は、潤いのある豊かで滑らかな響きが特徴です。金は非常に耐久性があることから、長期間の使用に耐えることができます。金製のフルートも銀製と同じく、9K、14K、18K、24K製など、金の含有率により響きやお値段が異なります。管体が金製+キィ銀製という組み合わせのモデルもあります。
プラチナ
プラチナは非常に密度が高く、金属の中でも硬度が高い素材です。その素材の特性より、音の立ちあがりが良く、ピアニッシモからフォテッシモまでダイナミックレンジが広く多彩な表現が可能です。金と並び非常に高価な素材であり、そのためプラチナ製のフルートも高価です。(管体プラチナ製でざっくり700万円以上はします…。)その価格の高さから、プラチナ製のフルートは一般的にプロの演奏家やコレクター向けです。
木製
木製フルートは独特の温かみのある音色を持っています。木の素材は金属と異なり、柔らかくて豊かな音を生み出します。そのため、演奏者や聴衆に対して柔らかな印象を与えます。バロック音楽でよく使用される木製フルートは、その温かみのある音色が楽曲の表現力を高めます。金属製フルートよりも操作が難しい場合があります。また、湿度や温度の変化によって音色や調子が影響を受けることがあります。
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