Paul Reed Smith のサウンドへのこだわり

イシバシ楽器 名古屋栄店 湊 です。現在、名古屋栄店には私が選定させていただきました良杢の個体が10本以上ございます。私の杢目に対しての偏愛ぶりは、以前Guitar Quest にて執筆いたしました記事をご覧ください。

Paul Reed Smith という芸術についての一考察｜Guitar Quest！ミュージシャンのための楽器情報 Webマガジン

私自身にとっても、PRSの杢目の美しさは大きな魅力の一つではありますが、PRSのギターの本当の美しさはその『設計』にあります。無駄なく設計されたシェイプと、そこに惜しみなくつぎ込まれた考え抜かれたパーツ選定など、魅力がたくさんあります。

そういった、考え抜かれた機能美というキャンバスの上に輝くからこそ、PRSのフレイムメイプルは美しいのです。




しかしながらPRSは、サウンドの側面から語られる事は少ないのではないでしょうか。今回は、そんなPRSの音響的側面についてご案内いたします。



PRSのギターのブリッジが取り付けられる位置は、ボディが最も厚みがある部分。ここを起点に、だんだんボディが薄くなるように設計されています。

こうする事によって、プレイヤーのアタックで始まった弦振動のエネルギーは、頂点からボディ外縁部へとスムーズに広がるようなり、ボディが余すところなく振動し、木材由来の倍音を生成します。







ギターのパーツの中で、弦にダイレクトに接し、振動を受け止めるブリッジ、ペグポストなど、弦が触れる部分はナット以外全てブラス（真鍮）を使用しています。

Custom 24のトレモロブロックも、もちろんブラス（真鍮）。しかも鋳造ではなく削り出しの物を使用し、スムーズな弦振動の伝達と、クリアな音の立ち上がりを実現しています。メッキされている、トレモロユニットの台座やブリッジサドル部分も、ブラスを採用する徹底ぶりです。

力が大きく加わる箇所、トレモロユニットの支持ネジなどは、ステンレスを採用しており強度を確保しています。



PRSの独特のヘッドシェイプは、ペグポストの配置から逆算して導き出された形状です。ブリッジから、ペグポストまでほぼ直線になるよう配置された弦は、ナットへの摩擦抵抗によるエネルギーのロスが少なく、自然なサスティンが得られます。

ナットへの摩擦抵抗が減る事によってチューニングの安定にも寄与しています。






2020年モデルからは、ニトロセルロースラッカーが採用されたPRS。独特の艶感が深まり好意的に受け入れられました。ニトロセルロースラッカーは非常に木材になじみやすく、塗膜も硬度も硬すぎないため、木材の自然な鳴りが得られます。内部の水分を閉じ込めることなく木部をガードしてくれますので、経年変化による味の出方にも期待が高まります。



いかがでしたでしょうか、PRSのギター設計はこのように極上のサウンドを目指して設計されているからこその美しさなのです。最後に、イシバシ名古屋栄店 のとっておきのPaul Read Smith をご紹介させていただきたいと思います。

この他にも、こだわりの選定品を多く展示しておりますので、是非ご覧ください！

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