今やプロアマ問わず厚い支持を得て普及している、ハイエンドプロセッサー。
その中でも、やはり真っ先に名前が挙がるのが
KEMPER PROFILER
Fractal Audio Systems AXE-FX III
LINE6 HELIX FLOOR
こちらの3機種。
言うなれば現代の3大ギタープロセッサーとでも言うべき人気機種です。
イシバシ池袋店エフェクターフロアでも多数のお問い合わせの声を受け、それに答える形で各エディターとDAW、モニターSPとパワーアンプ+キャビを揃え、録音、ライブ、両方を想定した「ディープに試せる」試奏コーナーをご用意、お蔭様で多くの方にお試し頂き、ご好評を頂いております

ですが、漠然と試しただけでは「どれも素晴らしい」となりがちです。
どれも素晴らしいのは分かるけど、じゃあ具体的にどう違うのか?
具体的にどう違うのか。
誤解や語弊を恐れず!例えをなるべく多く用いて!!
全3回に渡り、他の機種との比較や実例を交えたりしながら解説してみようと思います。
第一回はKEMPER PROFILER!
他とまったく異なるプロファイリングという方式
まず、KEMPER PROFILERは3大プロセッサーの中で他とまったく異なるアプローチを取っています。
HELIX やAXE-FXをはじめ今日のマルチエフェクターの殆どが「モデリング」でアンプやエフェクターの音を精密に再現しているのに対し、KEMPER PROFILER はその名前のとおり「プロファイリング」でギターアンプの音を再現しています。
実際のアンプでプロファイリング用のテストトーンを鳴らし、それをマイクで集音し計測することで、そのアンプの音の特性がKEMPERの中に再現されます。
その音はこれまでのモデリングアンプとは質感が全く異なる、まさに実機のリアリティ。自身のアンプに並々ならない拘りを持っていたギタリスト達を次々ノックアウトしています。
プロファイリングとモデリングの違い
ではこのプロファイルとは何か?モデリングとどう違うのか?
誤解を恐れずたとえ話で言えば!
モデリングは
「仮想空間に3DCGでパーツを並べて仮想のアンプを組み立てている」
プロファイリングは
「3Dスキャナで本物を忠実に取り込み、仮想空間に再現している」
かたや骨や筋肉からモデリングして精密に再現。
かたや3Dスキャナで本物の今の状態をそのまま正確に取り込み。
細かい部分を物凄くこだわってモデリングしたにしても、本物をそのまま取り込んだものの自然さには勝てない。
KEMPERでプロファイリングされたアンプの音の自然さは、プロファイリング方式の大きなアドバンテージです。

※図はあくまでイメージです。事実と異なる場合がございます
プロファイリングの欠点
逆にプロファイリングの欠点は何かと言いますと、パーツから再現されてるモデリングと異なり、プロファイリングした瞬間の挙動しか再現出来ないことです。
KEMPERにもゲインやEQはありますが、これはあくまで実機の挙動を再現したものではなく、一般的なチューブアンプの挙動をもとに再現されたものです。
つまり、モデリングしたアンプは実機同様の構造を持っているためツマミを動かしたときも同様に動作するところ、プロファイリングは内部構造を再現していないので、喩えるならば撮った写真を後から「フォト●ョップ」的に各要素をもとに予測で加工することで音を変えており、多少の調整には便利ですが、ツマミを動かすほど実機の音から離れていくことになります。
そのため、大きくセッティングを変えた音を使いたい場合は、別セッティングを再度プロファイリングする方が実機に近い音が得られ、実際に多くのギタリストは同一アンプの何パターンかのプロファイリングデータを使い分けて運用していることが多いようです。
また、実物がないものはプロファイリングできないため、AXE-FXやHELIXにあるような実機の無いオリジナルアンプもKEMPERには存在しません。プロファイリングが開く無限のサウンドへの扉
では音のバリエーションは他2機種に劣るかと言うと、そうではありません。
それどころか、KEMPERをユーザー登録するとダウンロードできる「RIG
MANAGER」をクラウドに繋ぐことで、世界中のKEMPERユーザーがプロファイリングしたデータ(=リグ)が無償でダウンロードできます。
その数、1月30日時点でなんと約15,000個!
中身を見ていくと、スタジオでお世話になっている定番アンプ、プロが愛用するブティックアンプ、目が飛び出るような高級品、芳醇なサウンドのヴィンテージ、現存数が極めて少ない伝説ののアンプなど…。
もちろん自分が持っているアンプもプロファイリング可能ですし、今後もリグデータは増え続けます。
そこには当然、今はまだない未来の名アンプも…!
KEMPERを手にすることで、一生かけても使い切れないほどのアンプサウンドを手に入れることが出来ることになります。これは、ある程度環境を整えれば個人でもリグを作成可能であるプロファイリングならではの大きなアドバンテージで、一個一個のアンプを構造から再現する為に非常に多くの手間がかかるモデリングには不可能なことです。
中には意外な音も…寝不足不可避なおもしろリグ
世界中でプロファイルされたリグの中には先述のAXE-FXやHELIXの音をプロファイリングしたと思しきもの、ヴィンテージ・エフェクターのリグ、スタジオ用コンプレッサー等アウトボードのリグ、しまいには昔は皆さんもお世話になったであろう入門アンプや入門マルチエフェクターの音まで!
中でも担当が感動したのは
「マー●ャルのプラスチック製卓上アンプ」のらしくもチープな可愛らしい音と、
「ZO●Mマルチ内のアコースティックシミュレーター」のシャリンとした音!
KEMPERは本来、真空管アンプをプロファイルするために設計されていますが、特に卓上用ミニアンプの音は、聴き慣れたプラ筐体のポコポコ感が笑っちゃうくらい見事に再現されておりました。
他にも、アンプと一緒にヴィンテージのラムズヘッドなどアンプと一緒にエフェクターも繋いでプロファイリングした音、エフェクター単体の音、スタジオのコンプレッサーの音をプロファイリングしたものもありました。
さすがに空間系などは無理でしょうが、ある程度アンプ以外も取り込むことが出来るようです。特に「良い音」ばかりが全てではない、様々な質感が欲しい宅録ミュージシャンには研究の余地、大いにアリです。

図:マー●ャルのミニアンプとズ●ムのマルチのアコシミュの音を出す20万の機材
まとめ:たくさんのアンプの音をリアルに手に入れたいならKEMPER
KEMPERにもバーチャル・アナログシンセサイザーの名機Access Virus直系のエフェクターが多数内蔵されていますが、他の2機種のインピーダンスなどに至るまで非常に精密にモデリングされたエフェクターに比べると若干見劣りすることは否めません。
事実、エフェクト部をAXE-FXやHELIX、EVENTIDE等と組み合わせることで補っているプロギタリストも多いです。
しかし、モデリングでは難しいアンプの個体特有の質感、アンプを鳴らしたスタジオの空気感といった部分まで真空パックしたような生々しいギターサウンドが無限に、しかも最高峰のクオリティで手に入るKEMPER PROFILERは、多彩なエフェクターや自由なルーティングよりもギターアンプ直での音のリアリティを最も重視する方におすすめです。
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