果たしてPRSは本当にGibsonとFenderの「中間」「良いとこ取り」なのか?

ギブソン、フェンダーというエレキギターの伝統的な2大巨頭ブランドに対し、会社としては1985年設立と若いブランドながら、今や両巨頭に並び立つ位置へと上り詰め、新たに「3大ブランド」の一角としても数えられる事も多くなったPaul Reed Smith(ポールリードスミス)。

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ラインナップとしても、一生モノと言えるPrivate Stockからお手頃な価格で初心者の方の最初の1本としてもお勧めなSEシリーズまで実に幅広く、
「エレキギターを始めたいけど最初の1本は何を選べばいいんだろう?」
「ちょっと良いエレキに持ち替えたい。どのブランドのどのモデルにしようか?」
「これぞという一生モノ、世界に1本の特別なエレキギターが欲しい!」

いずれの方にも選択肢のうちのひとつとして入ってくるブランドであると言えます。

そんな際によく言われるのが、
「Paul Reed Smith(PRS)はGibsonとFenderの中間で、両方のブランドの良いとこどり」
という謳い文句です。

ギター全体のぱっと見のルックスや、スペックを見ると頷けるフレーズですが、よくよく考えると果たしてそれは本当なのか?
今回は登場から30年以上経過した現在のPRSギターについて、代表モデルであるCustom24を例に取りあげ考察し、改めてそのキャラクターに迫ります。

まずPRSのカスタム24について、よく比較される事の多いGibsonとFenderそれぞれの代表モデル「Les Paul(レスポール)」「Stratocaster(ストラトキャスター)」との相違点を見てみましょう。

*今回GibsonとFenderについては、それぞれ現時点での最新スペックの定番モデルという事で「Les Paul Standard 2018」と「American Professional Stratocaster」を取り上げて比較してあります。価格帯がやや異なり単純比較できない箇所もあるかと思いますが、ご容赦下さい。

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主要なスペックをいくつか表にまとめてみましたが、こうして見るとPRSはどちらかというとストラトキャスターよりはレスポールとの間に共通点が多い事が見て取れます。ボディやネックの木材、ボディとネックの接合方法は共通です。
ポール・リード・スミス氏が最初期(会社設立以前)に手掛けたエレキギターはダブルカッタウェイのGibson Les Paul Juniorに近いボディシェイプのものが知られており、そこから発展する形でサンタナ・シェイプや現在のCustom24/22に繋がっていくのですが、ルーツという点ではどちらかというとギブソン寄りだったのでしょうか?
しかしながら、一般的なギブソン系のギターには無い特徴としてトレモロ・アームを備えていたり、ネック・スケール(弦長)はGibsonとFenderの中間となっており、「ギブソンとフェンダーの中間」と形容される所以となる特徴も持っている事がわかります。
また、レスポールと同様の材を使用しながら、重量は現行のLes Paul Standardがおよそ3kg台後半-4kg台前半なのに対し、Custom24は3kg台前半-中盤程と軽量(一般的なストラトと同程度)になっている点も注目です。


では、PRSのカスタム24は「ギブソンをベースにしながらフェンダーの要素も取り込んだモデル」なのでしょうか?
恐らく特にPRSを所有され実際に弾いているプレイヤーの方からは
「そういう面もあるかもしれないけど・・・ちょっと違うよね」
というご意見が多いのではないかと思われます。

理由は様々あるかとは思いますが、最も重要な点を一言で表現すると「設計思想/哲学の違い」ではないでしょうか?

レスポールともストラトとも異なるカスタム24の特徴としては、「登場した時代」が全く異なる点が表中からも読み取れます。
レスポールやストラトがエレキギター黎明期にあたる1950年代に登場したのに対し、PRSが量産製品として登場したのは既にエレキギターが多岐に渡るジャンルで活躍していた1985年。この「歴史が浅い」という点が、ギブソンやフェンダーと比べた際のPRSの弱みであると同時に、両ブランドにはない強み・キャラクターの基となっています。
PRSは良くも悪くも伝統やヴィンテージ性をギブソンやフェンダー程神聖視/重要視していない節があり、常に「最新のPRSこそが最高の出来である」という哲学で送り出されてきています。

その事が窺える特徴として、PRSはペグやブリッジ等のハードウェア・パーツは、基本的に自社で開発した独自のものを採用しています。そのこだわりはナットやノブ、ピックアップ・エスカッションを固定するビスといった細かいパーツにも及び、しかもこれらのパーツは年を追うごとにアップデートされてきています。オフィシャルにアナウンスされている仕様変更以外にも、我々でも気付いたらいつの間にか予告なく変わってた・・・というような細かい変更も随時あるため、油断できません。

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*現行Custom24にマウントされている85/15ピックアップ。指板のRと同様のカーブが設けられており、表面が湾曲しています。ピッキング時に当たらないようビスがはみ出していない点にも注目。

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*見た目上の美しさと、指がひっかけやすく微妙なコントロールがしやすいという実用性を兼ね揃えたデザインのランプシェードノブ。

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*様々な成分を配合した樹脂製ナット。膨大なサンプルによるサウンドテストを経てこの素材に行きついており、しかも随時アップデートが施されています。

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*ペグは古くからチューニングの安定性に寄与するロックペグに拘り、ウィングロック→Phase II→現行のPhase IIIチューナーへと進化しています。

この辺りは、自身が腕利きの現役プレイヤーでありフットワークの軽すぎるCEOとしても知られるポール・リード・スミス氏本人のこだわりが大いに影響しているポイントでしょう。
「往年の名器の再現」や「伝統を受け継いだ仕様」、「過去のレコードや名演のサウンドの復刻」ではなく、常に「今現在使う楽器として最高のトーンを出すため」が設計の際真っ先に来るポリシーであるという事がPRSの大きな特徴と言え、結果出力されるサウンドが「ギブソンっぽい」「フェンダーっぽい」ものとは異なり、PRSならではのトーンとなるのではないのでしょうか。

また、GibsonやFender同様、PRSにも「S2」や「SE」といったお手頃な価格帯のモデルが揃っています。コストを押さえながらも、ギブソンやフェンダーに対するPRSの立ち位置としては共通した部分がありますので、選んで頂く際に参考になるかと思います。
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*画像は「SE Custom 24 Beveled Maple Top Blue Matteo/Natural Back」。

現在名古屋栄店には最新の現行スペックの他にも、中古のPRSも多数入荷しております。
「最新のPRSが最高の出来」とは言っても、最新スペックはその時々のポール氏の理想とするトーンの好みに左右される面が無きにしもあらずな為(笑)、プレイヤーの方によっては「ピックアップは以前採用されていたHFSや59/09の方が好みだったなぁ」という方、はたまた「PRSの哲学やデザインは好きだけど、レスポールのルックスや伝統の図太いサウンドも好きで迷う・・・」「ストラトのハーフトーンの音も捨てがたい・・・」といった方もいらっしゃるかと思いますので、是非PRSに限らず幅広い選択肢の中から、これだ!と思うものを見つけてみては如何でしょうか?

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