NEW WONDER II
2015-10-14 東海地方の皆様コンニチハ!イシバシ楽器名古屋栄店・管楽器担当のミスミでございます。
現在開催中の、Vintage Saxophone Show Case in NAGOYA オススメの一本をご紹介・第3弾!
CONN Alto Saxophone NEW WONDER II SP #2379**

1930年前後に製造されたオールド・コーン。トランジショナル期直前の個体です。ヴィンテージ市場では6Mほどの価値はないものの、そのレコードから流れてくるようなOLD FASHIONEDなサウンドは他の楽器では決して真似できない個性を持っています。コンテンポラリーではなくスウィング期のビッグバンド・リードアルトのサウンドが近いかもしれません。
本日はこちらのアルトサックスにクローズアップ!!
まずはネック・・・


後年に製造される6Mと同じくマイクロチューニングデバイスが搭載されておりますが、オクターブキィはアンダースラングではなくスタンダードタイプ。ネックジョイントもダブルソケットではありませんね。
続いてはキィ配列・・・


トーンホールをエッジは丸く処理されたカーリングトーンホール。非常に手間のかかる製法ですが、パッドとトーンホールの密閉性を増し、より精度の高い調整を可能としてくれます。
現行サックスは右手キィのトーンホールが構えやすいようにオフセットされておりますが、この時期の楽器(後年のモデルも含む)は左手キィのトーンホールと右手キィのトーンホールが一直線に立ち上げられております。
6Mにも見られたG#トリルキィもこの年代から装備されております。パッと見、同じ機構に思えますが、若干動作が違います。
6Mのトリルキィは押せば単体でG#キィを開くことが出来ますが、このモデルは既にG#レバーを押して、開いている状態のG#キィを閉じるだけしかできません。技術進歩の賜物といえますね。
続いてはベル彫刻・・・



非常に繊細な彫刻で、ほぼシンメトリーな造形ですね。管体全体はサテンシルバープレートですが、彫刻内側は鏡面仕上げにされております。低音キィは両側についた通称「バタフライタイプ」

U字管にはポツポツと歴戦の爪あとが見られます。

オクターブレバーには歪み、両脇のレバーガードとライヤースクリューは欠損しております。85年前に製造されたと考えれば致し方ないでしょう。
コーン初心者がつまづきがちな左手テーブルキィはどうでしょう・・・

やはりオールドスタイル。G#の位置は分かると思いますが、その下は向かって右からLowC#、LowB、LowB♭と並んでおります。これはなかなか慣れないと難しいですね?。しかも現行品は押すと管体外側に倒れますが、このオールドスタイルの楽器は管の内側に向かって倒れますので更に慣れが必要です。
続きましてはコーン特有の、謎のキィ!!

現代サックスでは見ない機構ですね??。通常はオープンキィですが、Eキィ(右手中指)に連動して閉じます。音程の補正や音抜けの改善のために付けられたと言われますが(諸説あります)、大抵の方はコルクを詰めて開かないようにしてしまいます。その方が低音の鳴り・音のつながりが良いと感じる方が多いようです。
比べてみると不思議な機構、不思議な魅力がいっぱいのアルトサックス!
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