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アメリカンセルマー テナーサックス スーパーバランスアクション1952年製モデルについて

04/16 (金)[ SHIBUYA_EAST ]

アメリカンセルマー テナーサックス スーパーバランスアクション1952年製モデルについて

サックスの歴史の中で現代サックスの基礎となったセルマーのバランスアクションに更に改良を加えて現在のサックスが今も採用するkeyの配置やオフセット角度を付けた右手、左手で操作するトーンホールレイアウトなどを初めて採用したモデルが、このスーパーバランスアクションと呼ばれるモデルです。

本家フランスの正式名称はスーパーアクションでしたがアメリカで1945年頃から始められたフランスセルマーのパーツをアメリカに輸入して組み立てを行ったモデルはバランスアクションをさらに改良した素晴らしいモデルだった事もありスーパーバランスアクションとアメリカでは呼ばれています。
バランスアクションが1936年から1948年まで作られたので12年間ほど続いていますが当時の工場規模や世界大戦などの影響で生産本数は1万4000本位です。

スーパーバランスアクションは1948年から1953年のわずか6年弱で生産本数は2万本弱で、その後のマーク6が16万本ほどあるのに比べると本当に少ない本数です。
フランスで組立たモデルとアメリカで組み立てた楽器の本数も資料が無いので不明ですが半々としてもアメリカンセルマーで1万本も無い事になり70年近く経過している現在にどの位実在するのかは分からないとてもレアなサックスになっています。

全体の画像です。
このスーパーバランスアクションの形状は現在のサックスの基礎となっています。
基礎となった部分はベルkeyを右側に配置しテーブルkeyを小指の自然な動きに合う下方向に作動するkeyアクションとした事。
この前のバランスアクションまではトーンホールがインライン(直線上)に空けられていたのが右手で操作するkeyのトーンホールを自然な構えが出来る角度にオフセットにしたことで格段に操作性が上がった事です。

この個体の管体重量は3200グラム(ネック151グラム)で現在のセルマージュビリーシリーズ2やシリーズ3が3450グラム前後位、ヤマハのYTS-62が3400グラム前後と比較するとかなりライトウェイトな楽器になります。
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ベルの刻印です。

上から BRAVETE FRANCE & ETRANGER(フランスおよび海外で特許を取得) HENRI SELMER PARIS SOLE.AGENTS U.S&CAN(アメリカ、カナダ総代理店) SELMER NEWYORK.ELKHART MADE IN FRANCEの刻印が入っています。
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2番管とU字管(1番管)の接合部付け根の刻印です。

生産国フランスと海外でのパテントナンバー、シリアルナンバーが刻印されています。MADE IN FRANCEとあるようにアメリカンセルマーはフランスで作られた楽器を組み立て直したとされています。(部品のまま輸入してアメリカで組立、彫刻入れ、塗装、調整)。尚、今回ご紹介させていただいている楽器は以前、当店でご購入頂いたオーナー様所有のスーパーバランスアクションをお借りして撮影しているのでシリアル番号は画像編集にて一部消してあります。)
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ネック裏側の拡大画像です。

ネックと管体が同じシリアル番号で合すようにネックにもシリアル番号の刻印があります。マッチングネックと呼ばれており次のモデルとなったマーク6の途中まで引き継がれています。(13万番台位まで)
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ネックとネックのオクターブkey形状です。

ネック重量は151グラムあり現在のシリーズ2は155グラム前後と同じくらいの重量を持っていますがジュビリーの前のシリーズ2は160グラムを超えるネックが多いのでやや軽めと言った感じでしょうか。
とてもシンプルな作りでマーク6から付けられたSのマークは無く、ボウガードは太いワイヤーを整形した作りです。
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マーク6にも引き継がれたメタルプレートが付けられています。
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管体上部の形状です。

ネックレシーバーは洋白製が採用されています。
軽量な楽器ですが音ボケしない要素となっていてkeyポストも一体座を採用しているので音のコシもあります。
長い連絡keyには洋白素材を採用してタワミ、曲げの力に対して強度を持たせています。パームkey、フロントFの形状は現在のサックスのお手本となっていますが現在のサックスに比べるとパーツが小振りです。またアメリカンセルマーのネックコルクの長さはフランス製に比べるとかなり長く巻かれています。

これはオクターブkeyのベントチューブの穴をアメセルは音抜けを良くする為に広げた代わりに音程が低くなるので長く巻いてあると言う説がありますがYouTubeで本田雅人さんがクラシックとジャズ系のアンブシュアの違いを説明していてマウスピースを同じ位置でコルクに挿した時はクラシックはかなりタイトリップ(唇を締める)吹き方なのでピッチは高くなり、ジャズ系の吹き方はルーズリップ(唇を緩める)吹き方なのでかなりピッチが下がるので深く挿さないと正しいピッチにならないと言っていたのでアメセルはジャズマーケット用に調整された楽器なので長めのコルクが必要となっているようです。
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テーブルkeyの形状です。

左手小指の自然な動きで作動するこの方式は現在のモデルでも採用されています。
この方式をさらに発展させて連動式(C#、B)(C#、Bb)も開発装備された楽器もありますが慣れてしまえばこれでも十分です。
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下部の形状です。

現在のサックスがお手本とした見慣れた形状になっていますが全体にパーツは小振りになっています。
High F# key無しのモデルです。
アメリカンセルマーはHigh F#無しを好んだようでF#key付きの比率は非常に低くなっています。
アメリカではジャズマーケット向けと言う事もあり音抜け、フラジオの当り、抜け等で無しが好まれたようです。

この時期のLOWkeyガードは後に出るマーク6と同じ一体型となっていますが初期のスーパーバランスアクションはセパレートで半円形状のkeyガードが2つ並ぶものになっていました。コルトレーンのアルバムジャケットなどで見ることが出来ます。
ベル彫刻も初期の渦を巻くようなデザインとマーク6で採用した彫刻の両方を入れたものになっています。
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下部のサムフック、彫刻模様の形状です。

彫刻はとても凝っていて繊細なタッチで芸術的です。
サムフックは管体に直付けされた小振りなメタルフック(真鍮製)になっています。U字管の接合リングは縄目模様でマーク6のシリアル番号で13万番台まで踏襲されています。
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ベルの支柱、ストラップフック用リングとサムレストの形状です。

ベル支柱は2点止めでリング形状です。サムレストは現在のサックスに比べるとかなり小振りで白蝶貝が埋め込まれています。
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オクターブkeyシステム、パームkeyの形状です。

芯金1本でまとめたシンプルなオクターブkeyシステムでパーツ点数が少ないので軽量化につながっています。
パームkeyは現在もこの形状が主流となっています。ネックコルクが長いのがお解かり頂けたでしょうか?
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ベルの彫刻形状です。

見事なアメリカンセルマーで施された彫刻です。ベル下部は従来の彫刻でベル上部がマーク6で採用した彫刻です。彫刻も前期と後期では異なりこの楽器はマーク6に移行する前の時期と言う事もあって彫刻もトランジットな趣を持っています。
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中央部分の形状です。黒く見える針バネは硬質ニードルスプリングが使われています。

このスーパーバランスアクションから採用したオフセットトーンホールで右手の構えが自然で楽になり格段に操作性が良くなりました。
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右手親指を掛けるサムフックの形状です。

現在のサックスに比べるとかなり小振りで直付されています。
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ベルの朝顔形状です。

現在のセルマーモデルと比べるとゆるやかに開いていく形状です。
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今回ご紹介した楽器は以前、当店でご購入頂きましたオーナー様の楽器をお借りして撮影いたしました。
この年はアメリカでの販売促進活動を新たに展開した年と同じ時期の楽器です。
世界大戦も終わりセルマーも生産本数が回復して需要も増え研究開発も盛んに行えるようになった時期と言えます。
この2年後にマーク6が発売されています。
アメリカンセルマーのスーパーバランスアクションを愛用したプレイヤーはアルトではポール・デスモンド、テナーではジョン・コルトレーンがあまりにも有名ですが両名とも個性的すぎて普通の人が吹いたらアルト、テナーともあのような音はなかなか出ません。。。。。

但し普通の人が普通に吹いてもいい音だなーと言う音が出ます。現在のサックスには出ない枯れた感じでナチュラルで耳に痛くない心地良い音が出ます。
音程や音量や強弱の幅などや現在のサックスの方が研究が進み工作精度も上がったので向上していますが音色とか音色変化の様な観点で比べると古き良き時代の楽器の良さが際立ってきます。

この時期の楽器を使用している名プレイヤーの曲が好きで耳が肥えてしまった方々には垂涎の楽器となってしまうのは致し方ない事と思います。。。とアルトのスーパーバランスの時と同じ事を書いてしまいました。。。

このテナースーパーバランスアクションは吹く人が上手に聞こえる音を出してくれるので吹いている本人も上手くなった気にさせてくれて、いつまでも吹いていたいとハッピーな気持ちにさせてくれる至福の楽器でございました。

サックスは調整がとても大切な楽器です。
サックスの音程を変える仕組みは沢山の穴を楽器に空けて閉じたり開いたりして音程を変えているので閉じた時に少しでも隙間が開いてしまうと音が出しにくくなったり、本来の音色が出なかったりしてしまいます。
SHIBUYA_EAST店は専属のリペアマンが常駐していますのできっちり調整、点検したサックスをお届け、お渡ししております。ご購入後の調整も保証期間中は無料で行なっておりますので是非お買い求めはSHIBUYA_EAST店をお選びください。スタッフ一同お待ち申し上げます。


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