珠玉の一選を独断でご案内

Gibson J-45 1952年製
もはや多くを語るまでもなくGibsonアコースティックの代表格。
一般的なスペック説明は他に任せ、今回はこの個体のみにまつわるストーリでご案内します。
こちらは元々は当店アコースティックギター担当者が去る2015年6月にUSA NYにて現地買付けしたギターです。
当時の詳細レポートはこちら!
5ページにわたり読み応えあります!
当時50年代のJ-45としては国内初で100万円オーバーの驚愕プライスでの販売だったと記憶しております。
程なく価値観を共有いただける方にお買い上げいただきました。
それから3年、私自身、販売店舗から心斎橋店へ異動しておりましたが、まさかこの店舗で再開するとは夢にも思っておりませんでした。
ご依頼いただきケースを開けた瞬間、何も疑いもなく“あの”ギターだと一瞬で分かりました。
出会い、別れ、そして再開、、、ヴィンテージギターにはそんな夢の続きのような出来事が時に訪れます。
こちらはとにかくコンディションが素晴らしく、アメリカでもかなり技術が優れている店内工房を併設した楽器店に展示されていました。
全ての楽器が整然と展示されており、掘り出しを探すようなイメージとは違う洗練されたフロア内での選定だったことを覚えております。
店舗の説明ではワンオーナーで長らくそのご家族の方が所有なさっていたようです。
ペグ交換、リフレットはされていますが、他はオールオリジナルコンディション、クラックも皆無で消耗品以外のダメージ、修理箇所がないギターでした。

非常にクリーンなのですが、たしかにローフレット指板にはしっかり使われた証があります。

1952年といえばGisbon社の製造工程でヘッドテーパーがほぼなくなってくる頃です。

1951年製までは明らかなテーパーが見てとれます。
ブリッジプレートは当たりがあるもののオリジナルの小型のメイプル材。

膠の液だれも当時のまま。

緩やかにスキャロップされたブレーシング。

Topのドーミングも絶妙。

バックブレースには薄っすらとJ-45のスタンプが残っています。

ネックブロックには、この年から採用された頭文字にアルファベットを施したシリアルナンバー。
Zから始まりこの後遡って、53年製はY、54年製はX、となります。

ボディ底面も非常にクリーン。
当時のままです。
さて、ここからはこの個体特有の内容についてご案内します。

まずはギターの顔とも言えるヘッド。
なのですが、、、
ロゴデカールが右のほうに少しスライドして貼り付けられていますね。
スクリプトロゴから変わって十分時間が経っていますし、そもそも貼り方に大きな手法の変更はないはずですので、ここは巷でいう“Gibsonらしさ”としてとらえてくださいませ。

アメリカ買付け当時はナット、サドルもオリジナルでした。
が、、、
なんとビックリ!共に木材でかさ上げしているんです。
ナットサイドにオリジナルの塗装がのっていましたので間違いありません。
寸法が合わない場合に再形成しないんですね、、、
これも“らしさ”でしょうか。

オリジナルナットは3弦溝際が欠けていながらもオリジナル度を優先していたのですが、ご要望で交換後お買い上げいただきました。
ちなみにリペアマンの厚意で接着はせずオリジナルへ戻せるようにしてあります。

そしてこの個体最大のクエスチョン、
ショートサドル。

年代的にはミスマッチなのですが、複数のリペアマンに見てもらってもブリッジを張り替えた形跡はないとの一致見解でした。

吸い付くようにフィットしている様はオリジナルです。
こういうイレギュラースペックもGisbonの醍醐味として汲み取っていただけましたら幸いです。
サウンドホールリングにも手のぬくもりが感じられます。

通称“ワンリング”。
Gibsonはこのリングの巻きつけに際して、近年まで1弦側ピックガードの際90°にて継いでいますが、この個体は少しショルダー側へ寄っており、かつ尺が足りなかったのか、1mmほど継ぎ足しているのが分かります。
巻き直せばよいものをそのまま使い切るなんて、当時の上司がよっぽど管理にうるさかったのか、そういうものなのか、色々想いを馳せるには十分なエピソードを含蓄しています。
この個体ならではのストーリー、イレギュラースペックを見て参りました。
とにかくコンディションが極上でサウンドも秀逸。
本当のヴィンテージを知るにはもってこいのJ-45です。
次がサードオーナーです。

Gibson J-45 1952年製
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