【レジェンダリーな俺たち Vol.12】

時代を彩り、当店も彩ってくれた様々なギターを紹介するコーナー

【レジェンダリーな俺たち】

12回目は
YAMAKI、、、ではなく
Marchis by YAMAKI M100

ハカランダSidei&BackのStyle-41タイプの上位モデル、何らかの理由でYAMAKIブランドで出す事を断念したモデルにこのMarchisというブランド名がつけられます。
どこかに傷があったのか?何かYAMAKIの合格基準から外れたのか?今となっては不明ですがYAMAKI 1100とほぼほぼ同じです。
と言いますか完全一致です、、、
ネックヒールキャップのデザインやバックの木象嵌、ネックブロック部の梁の入れ方、どこをとっても1100です。
同じような2ndブランドはCat’s EyesでもSNAPPYというものがありますね。

さて、こちら、一旦はYAMAKIとして仕上がっていたものですのでそれを隠す涙ぐましい作業が後から施されています。

このようにヘッドは黒く塗りつぶされパーフリングをアバロンで飾りロゴはシルクスクリーンの簡易なものなのですが、センターに薄っすらと「YAMAKI」の文字が!浮かび上がってきています。
おそらく仕上げ当初は塗り潰しで完全に隠れていたものが経年により塗装がひいてきてこのように浮かび上がってきたのでしょう。
剥がす根性はありませんが、この下にはおそらく綺麗にアバロンインレイで縦ロゴが入ったままになっている筈です、突板もハカランダの良杢だと予想されます。
うーん、もったいないような、レアでほくそ笑みたいような、、、

中ラベルも通常のYAMAKIはセンターブレースにスタンプだけなのに対してわざわざ別ラベルを作成し貼っています。
かつて剥がれかけている個体に遭遇した事があり、勇気を出して剥がしたところ下からYAMAKIとモデル数字が出てきて「やっぱり!」と感動したのを思い出しました。
これまた同じ事がCat’s Eyesでも当てはまり、ラベルを剥がすと出てくるんですよ、元のモデル名とブランド名が。
Gibsonのようにヘッド裏に「2」と刻印して終わらせないのがいかにも日本気質ですね。

続いては皆さん大好き(?)単板か合板か、議論です。
このモデルは十中八九単板だったのですが「絶対の絶対?証明して!」って言われると困ってしまうのです、、、

カタログに明確に〇〇単板と書いてくれているメーカーはよいのですが、当時は現在ほどうるさくなかったので全く表記が無いメーカーも普通にあり通説を元に一本一本判断していく事になります。
昭和HEADWAYなんかもこの手ですよね、Topは明らかに単板でもそれすら明記されていない。
それでもHEADWAYなどは情報量が多いので大抵の機種は見当を付けられるのですが、YAMAKIを筆頭とする一部のメーカーは、同モデル同年代でもメーカー自体が明確に管理せず、良くも悪くも「いいギターであればいいっしょ!」っていう時代だったものだから難儀します。
それでも作りが粗い?分かり易いギターなら判別が付きやすいのですが、YAMAKIなんかは合板でも1枚板を一度スライスして間に違う板を挟んだ後に木目が狂わない位置で元通りのように戻して3プライにするものなので、見た目だけで全く判別できない物も多々あります。
また「サイド割れ止めがあれば単板」という事でもなく、割れ止めがあっても木目が表裏不一致や、その逆、割れ止めがなくても単板で板割れクラックを起こすものも存在するから厄介です。

余談ですが、先日「割れ止め」という概念をあらためる出来事がありました。
この割れ止め、プレス加工で曲げが強く割れ易いサイド材を「割れ難くする為に貼られている」のではなく「割れた場合に広域に広がらないように割れ止めと割れ止めの間で食い止めるもの」という考えです。
なるほど、だからヴィンテージマーチンなどでは布テープでよい訳です。
「アレで割れないようにホントに出来てるの?」という疑問がスッキリ晴れた瞬間でした。

ギターは壊れるもの、不具合が出るものです、メンテフリーではありません、全て保証が効く訳でもありません
本当に自分の愛機であるなら、壊れたら、不具合が出たら、お金をかけてしっかり修理して、何代も何代も引き継げる楽器として使いましょう。

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イシバシ楽器心斎橋店

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