*管楽器コラム第19回目* 冬真っ盛り!乾燥と寒さは楽器の大敵。
2016-03-03
まず乾燥と聞いて一番に思い出すのが木製管楽器のトラブルではないでしょうか、ご存知の方も多いと思いますがクラリネットやオーボエなどは最も乾燥に注意しなければなりません。
一番多いのが管体の萎縮や歪みによって起こるクラリネットのリングのゆるみや脱落、そして管体の割れです(画像はその極端な例ですが)。
その他にもジョイントが緩くなったり、逆にきつくなったりまた、奥までしっかりジョイントできなくなったりすることがあります。
金属でできているサックス、フルートなども安心はできません、タンポ(パッド)や各所に使われているコルク、フェルトなどは乾燥の影響を受けます。乾燥によりタンポが縮むと息漏れが起こりますし、キィコルク/フェルトが縮むとキィバランスがくずれ、これまた音に影響が出ます。キィノイズも起こります。
これに対して金管楽器は乾燥にはある程度強いのですが、かといって乾燥した場所に長期間放置すれば、ウォーターキィコルクやピストンフェルトなどは縮んでしまいます。
ギターなどでも一般的に湿度40%あたりが危険ラインと言われていますので、気にかけておいてください。
次に寒さに付いてです、タンポは主にラックと呼ばれる熱で溶ける接着剤で固定されていますが(フルートはネジ止め)、これが結構寒さに弱かったりするのです。ラックには松ヤニ等を使った茶褐色の樹脂系の物と、グルースティックのようなビニール系の物が多く使われています。サックスに多く使われる前者は低温になると接着力が下がるため、気温の低い場所では注意が必要です。
以前、お客様が公園でサックスを練習していたら、「突然タンポがバラバラ取れてきた」と修理に持ち込まれたことがありました。
また寒さは金管楽器のオイル類を固くしてしまうので、ピストンやロータリー、各種スライド部の動作が悪くなる事があります。各部の固着によるトラブルが増えるのもこの時期です、とにかく楽器にとってはケースの中が一番安全な場所なので、湿度/温度管理をバッチリして保管しましょう。
また最近では断熱素材を使ったケースカバーや、楽器用湿度調整剤なんてのも出ていますので、チェックしてみては、、
最近の寒さでひざが痛いおじいちゃんリペアマンKでした。
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