Ishibashi Mail Magazine

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第9回(2008年5月22日発行)

「ギターを歌わせる」

僕は長年ライブ活動をしていてファンの方に言われて嬉しい事のひとつに「いい音ですね」という言葉があります。プロですから上手に演奏できるのは当たり前の事で必須条件です。

歌手に例えるなら、歌が上手いですね・・・というより「いい声だあ」といったところでしょうか。このほうが表現として多いように思えます。ジャズの世界にいるとどうしてもテクニカルな部分、またはどれだけ最先端のフレーズを弾くとか、最近では変拍子他、複雑な方向にいきがちです。

もちろんこれらは音楽そのものの学術的な発展に欠かせないものなのでしょうけど、音色も含めて音楽そのものがリスナーに心地よく聴こえなければ、それは音楽のビジネス云々以前にマスターベーションになってしまう可能性を持ち合わせています。

僕ももちろんアドリブ・・・即興演奏の追求は大好きですが、昔から一番大切にしているのが決まったメロディーにしてもアドリブにしてもギターが「歌っている」事。ギターがメインの音楽をやっているわけだから、それが歌として伝わらなければいけないと思っています。

ギターを歌わせる・・・とても難しい事です。単純なフレーズであれ、難しいリフであれ、ギターが歌のように聴こえる。ゴールの見えない耐久マラソンのような道です。

先日、ツアーで新潟に行った時、熱心なファンの方がとても興味深い事を話されてました。

「Best」は存在しない、「Good」

「Better than Before」

「Best」は存在しない。

そうでなければ、演奏する意味も生きている意味も無くなってしまいますよね!素晴らしい考え方だと思いました。

杉本篤彦