ヤマハのプロフェッショナル・スタンダードモデルとして長年支持されているテナーサックス YTS-62。
高い完成度と人気を誇るこのモデルは、仕上げ(フィニッシュ)の違いによってサウンドの印象が変わることでも知られています。
今回は以下の3モデルの外観の違い、サウンドキャラクター、そしてどのようなプレイヤーに向いているかを比較していきます。
これら3つのモデルを、プロ・サックス奏者の Ayumu Kawano さんに演奏していただきました。3タイプの楽曲でそれぞれ3モデルを切り替えながら聴けるように動画を作成いたしました。
これから解説する各モデルのキャラクターも参考にしながら、仕上げの違いによるニュアンスの違いを聴いてみてください。
サックス演奏:Ayumu Kawano
フリーのサックスプレイヤーとして在学中からプロ活動を開始。ジャズやヒップホップを中心に関西圏でセッションやレコーディングに参加。京都大作戦やSummer Sonicなどの大型フェスに出演。年間200本ペースでライブ活動を行う。個人のプロジェクトとしてLoFiやアンビエントなどを中心とした「Cyber LoFi」を主催し、最新アルバムはカセットテープでリリースするなど、活動とジャンルの幅を広げている。

YAMAHA YTS-62

YAMAHA YTS-62A

YAMAHA YTS-62UL
YTS-62(ゴールドラッカー仕上げ)

仕上げの特徴
- 明るく均一なゴールドラッカー
- ヤマハらしい精緻で上品な外観
- 最も流通量が多く、試奏機会も豊富
サウンドキャラクター
ゴールドラッカー仕上げの YTS-62 は、シリーズの基準となるサウンドと言える存在です。言わずとしれた定番モデル。吹奏楽やレスナー楽器としても人気があり、実力も申し分なし!ジャンル問わずヤマハらしい音色で楽しめます。
- 適度な抵抗感があり、息がまとまりやすい
- 音の立ち上がりが明確で、芯がはっきりしている
- 明るさと太さのバランスが良く、音程感も安定
クラシックでは音色のコントロールがしやすく、ジャズやポップスでも過不足のない鳴りを提供してくれます。
「まず良い音が出る」「迷ったらこれ」という安心感が最大の魅力です。
向いているプレイヤー
- 初めてのプロフェッショナルモデルを探している人
- ジャンルを問わず幅広く演奏したい人
- 安定性・扱いやすさを重視する学生、セミプロ、社会人プレイヤー
YTS-62A(アンバーラッカー仕上げ)

仕上げの特徴
- 赤みがかったアンバー(琥珀色)ラッカー
- やや落ち着いた、クラシカルな外観
- ゴールドラッカーよりも塗膜が薄い傾向
サウンドキャラクター
アンバーラッカー仕上げの YTS-62A は、ゴールドラッカーと比べるとややダークで落ち着いた音色を持つ傾向があります。
- 高音域がきつくなりにくい
- 中低音に厚みと粘りが出やすい
- 音のエッジが丸く、歌うようなフレージングがしやすい
アンバーラッカーって見た目だけでしょ?実はこれが驚くほど違うんです!音の立ち上がり方、息の入れ方による反応や変化、膜の取れたような開放感。守備範囲は広く、吹奏楽やポップスなどでも実力を発揮します!全体的に音が前に出ながらも、柔らかさと深みを感じさせるサウンドで、特にジャズ、バラード系の表現と相性が良い印象です。
向いているプレイヤー
- サックスの伝統的な響きを求める方、ニュアンスをしっかり表現したい方
- 明るすぎない、落ち着いた音色を求める人
- ゴールドラッカーでは少し硬いと感じる人
YTS-62UL(アンラッカー仕上げ)

仕上げの特徴
- ラッカー塗装を施さない真鍮無垢(アンラッカー)
- 時間とともに酸化皮膜が発生し、色味が変化する
- 個体差・経年変化が楽しめる
サウンドキャラクター
アンラッカー仕上げの YTS-62UL は、ラッカーによる振動の制限が少ないため、非常にダイレクトで反応の速いサウンドが特徴です。
- 息を入れた分だけ素直に音になる
- 音の立ち上がりが鋭く、レスポンスが良い
- 倍音が豊かで、生々しい質感
ラッカーが施されていない為、変色します。でもこれが唯一無二でカッコイイんです!音色の成長も早く、反応も抜群!華やかな音色でカラフルな響き!雰囲気が音になるような感覚です。ジャズ、ポップス系向きで成長の初速が早いです!
向いているプレイヤー
- 華やかでダイレクトなサウンドを求める方
- ヴィンテージサックスのようなニュアンス、反応が好きなプレイヤー
- 楽器と対話する感覚で演奏を楽しみたい方
まとめ:仕上げの違いは「個性の違い」
YTS-62シリーズは、設計や基本構造が共通でありながら、仕上げの違いによって明確なキャラクターの差が感じられます。
| モデル | サウンド傾向 | こんな人におすすめ |
| YTS-62 | バランス重視・万能 | 幅広く演奏したい |
| YTS-62A | ダーク&ウォーム | 伝統的な音色が欲しい |
| YTS-62UL | ダイレクト&生々しい | 鳴り・表現を重視 |
最終的には「どれが優れているか」ではなく、
自分がどんな音を出したいか、どんなスタイルで吹きたいかによって最適な一本は変わります。
音は好みですので自分で聞いて「かっこいい」や心に響く仕上げを選ぶのが良いと思います。素敵だと思える音色で存分にサックスを楽しんでください!