サックス、フルート、クラリネット(木管楽器編)
2015-04-09 みなさん楽器のコンデションはいかがですか、お手入れちゃんとやっていますか?さて、今回は「楽器のクセ」についてお話しましょう。
まずはサックス、フルート、クラリネットなどの木管楽器編です。
昔からよく耳にする事柄に「中古楽器はクセが付いているので初心者はやめたほうがいいよ」と言うのがありますが、では、その「クセ」とは具体的にどんなことを言うのでしょうか。
例えばサックスを例にとって説明すると、新品の楽器よりも何年か使い込んだ(吹き込んだ)楽器のほうが、吹いたときにすんなり鳴ることがあります。
これはネック、ボディなどの金属や塗装面が振動、磨耗によって変化する事や、タンポなどのパーツ類がなじむ、または劣化する、いわゆる経年変化が起こる事が原因の一つにあると言われています。

特にサックスやクラリネットで出すことが難しいといわれる「フラジオ音域」「アルティッシモ音域」は、その音域をよく使った個体のほうが、使っていない個体より明らかに出しやすくなっています。このことは「音抜け」とも関係することで、一概にどちらが良いとは言えませんが、楽器を選ぶ時の一つのポイントになると思います。
それともう一つ「音抜け」とは逆の現象で「抵抗感」というものがあります、要するに「鳴りにくい状態」です。これも様々な要因があげられますが、タンポとトーンホールの微妙なズレ(隙間)やキィ連動などのキィバランスの狂いによって起こる場合や管内の汚れによるもの、ジョイント部の不具合などによる場合もあります、これも一つの「クセ」とも言えるでしょう。
あと、ビンテージサックスマニアの方がよく言う「音の枯れ」もその「クセ」の一種ではあると思いますが、これは「音抜け」がさらに進行した状態で、まさに「クセ」の最たるところだと思いますが、これに付いては話が長くなりそうなので、又の機会にお話したいと思います。
また、フルートなどの管体が細い楽器は、へこみがあると音程や音色に悪影響を及ぼしたり、演奏に支障をきたす場合があります。

その他に、キィの磨耗によるガタツキや共振や共鳴、オイル切れによるノイズなども「クセ」とも言えなくはないと思います。


私たちの居るリペアセンターでは、こういった「クセ」を持った中古楽器が全店から集まってくるわけですが、悪い「クセ」は修理・調整でかなり改善できることも多いので、クリーニングやタンポ交換などを行い、中古楽器をなるべくニュートラルな状態まで持っていけるように、日々作業に勤しんでおります。
今回は、おじいちゃんリペアマンのKでした。
※イメージ画像が女性のイラストですが男性です。お詫び申し上げます。