【中古】K.Yairi / YW600 1978年製【S/N:17967】※ネック保証対象外
こちらの個体はトラスロッドが締める方向に限界で、ネックはやや腰折れ気味です。
現時点ではハイポジションで弦高が高めになるものの、ねじれや波うちは見られず、演奏に影響は無い状況です。
トップのスプルース（当時のカタログでは「高級スプルス単板」）は、いい感じに色焼けしていて、擦りキズの多さがその戦歴を物語っているようです。
手工芸で入れられたというパールバインダーも見事。
ちなみに、ボディエンドのストラップピンは欠品しております。なので穴があいたままです。
ペグは元々付いていたものが3弦ペグボタンの欠品があったため、GROVER製に交換されております。
なお取り外したオリジナルペグは付属いたします。
そして何よりも気になるのがこの、サイド＆バック。
木目が何とも派手で印象的です。
当時のカタログには「コーラルローズ」との記載がございます。
しかしこの記載は時期によって異なっており、同じYW600でも「高級ローズウッド」もしくは「ハカランダ」と記載されている場合もあり、また1980年代には「パリサンダー」という記載も見られました。
今回の個体は1978年製と思われることと、当時のカタログにあったオーダーメイドの木材見本の画像と比較し、おそらくコーラルローズであろうと推測致しました。
このコーラルローズは、同時期の別メーカーでは「ニューハカランダ」と呼ばれていたようです。
現在では「ニューハカランダ」と言うとホンジュラスローズウッドの事を指すと思われますが、当時の資料でコーラルローズが東南アジアの材だという記載があり、中米のホンジュラスが産地のホンジュラスローズウッドとはその特徴が一致しないのです。
パーフェローという説も考えられますが、ボリビアン・ローズウッドという別名からわかるようにボリビアを中心とする中南米が産地とのことなので、これも特徴が一致しません。
あくまで推測になってしまいますが、ローズウッド＝インディアンローズウッド、ハカランダ＝ブラジリアンローズウッドと仮定すると、コーラルローズはソノケリンもしくはイーストインディアンローズウッドだったのではないでしょうか？
ローズウッド関連で東南アジアが産地のものはこのあたりになってしまうので、もし間違っていたらすみません。
ローズウッドは通称や別名も含めると本当に種類が多く、中々把握しきれないのが現状ではないでしょうか。そしてワシントン条約にも関わるので、その判別は本当に大変です。
ある日空港の手荷物検査場で活躍する犬たちを見て、臭いを嗅いでハカランダを見つけられる「ハカランダ犬」がいたらいいのに・・・と勝手に妄想が膨らんでしまいました。
ローズウッドに限らず良質な木材の確保に関しては当時から大変だったようです。
K.Yairiの当時のカタログの仕様表などを見るとその苦労が伺えます。
同じモデルでも時期によって材が異なっていたり、また指板やブリッジの素材に関しては「ハカランダもしくはエボニー」と記載された場合が良く見られました。
この個体も、カタログ上は指板＆ブリッジはエボニーのはずなのですが。
この指板、どう見てもローズウッドにしか見えないのです。
しかし、このブリッジはエボニーに見えるような。
過渡期のため指板とブリッジの素材が異なる、なんてことはあるのでしょうか。わかりません。
でもこの指板もブリッジも、目が詰まっていて良い材を使っているな、というのは感じます。
良質な木材の確保に関する様々な問題は現在進行形で続いており、例えばCole Clarkのようにこれまでにないような木材を採用するメーカーも増えてきていると思います。
だからこそ、こういう古い個体も大事にしたいものです。
ボディだけでなくネックの裏にもキズが多く、全体的に使用感が強いですが、響きは心地よく、まだまだ弾き続けてほしい個体です。
【中古】K.Yairi / YW600 1978年製【S/N:17967】※ネック保証対象外
付属のハードケースはかなりダメージが目立ちますので予めご了承下さいませ。
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