Vintage Sax / マーク6について

こちらの記事は以前あったヴィンテージサックス特集ページの再掲載です

2014-12-09


直前のモデルであったSUPER BALANCED ACTION(スーパーバランスアクション)のオクターブメカニズム、テーブルキー等を更に改良、グレードアップしてサウンドもパワフルにしたモデルがマーク6です。

このモデルから現在のセルマーの特長となっているネックオクターブキーにSのマークが付けられました。
スーパーバランスアクションではインライン的な配列だった、左手オクターブキーの操作キーをより動きとフィンガリングが良い方式、形状に変更され、テーブルキーにはこの当時、初の連動式を採用し、(今では当たり前ですが、これによってLOW.Bb.B.C#のフィンガリングが非常にスムーズに行えるようになったのです)全体に小振りなキーの形状とスムーズなキーアクション、勿論、素晴らしいサウンドクオリティーはプロマーケットで圧倒的な支持を受け、不動の地位を確立しました。20年近く、このモデルが製造され続けた所以でもあります。

この長い期間にはいくつかのマイナーチェンジが行われています。初期の50000番台の楽器は、多少スーパーバランスアクションの名残がパーツなどに見受けられ小振りな作りとなっています。
ベルの形状も開き方がゆるやかになっています。一番大きなマイナーチェンジは1965年頃に行われ、ベルとU字管の長さが変わりました。
前期のものは接合リングの模様が縄目模様、後期のものは硬貨の渕に付いているギザギザ模様のようになっているので見分けが付きます。この頃を境にキーパーツは太め、大きめに変更されているのが目に付きます。

サウンドも大まかに分ければ、1965年前が暗い感じ、渋め、丸い、などの言葉で表現すると、1965年以降は、明るめ、パワー憾などの言葉で表現しやすいと思います。シリアル番号で見ると13万番台以前と14万番台以降が分かれ目となっています。

ソプラノサックスは、この年代を境に前期は管体がワンピースで作られていたのに対し、後期はリードパイプが別パーツを取付てあります。
サムフックは前期ソプラノサックスは本体にブラス製のかなり小型のパーツを直付けしてあり、後期のモデルはデタッチャブル式のプラスチック製に変更されています。
アルト、テナー、バリトンのサムフックはどちらもデタッチャブル式ですが、前期モデルはブラス製、後期モデルはプラスチック製に変更されています。

マーク6は製造年によるサウンド傾向の違いもかなり細かくあり、理想のサウンドを求めるプレイヤーが頭を(耳を)悩ませる所でもあり、また楽しみでもあります。

音と言うのは、ひとそれぞれ感じ方が違うのでなかなか上手く説明できないのですが、大体の傾向としては、アルトは5万から6万番台は軽め、甘め、柔らかめ、7万から9万番台は渋め、ややエッジがある、10万から11万番台はバリッとした感じで渋め、12万から13万番台はナチュラル、14万から15万番台は、エッジが際だったサウンドで、デヴィッドサンボーンに代表されるようなサウンドが出る楽器です。
16万台以降は現在のシリーズ2モデルに比べれば、ダークで味のあるサウンドですが、マーク6の中で比較すれば、明るめ、パワー憾のあるサウンドです。

テナーはアルトとほぼ同じような傾向ですが、9万番台には、音の重み、粘り、が多い楽器が見られ、強い人気があります。


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