

Harvest Guitarsの白井です。今回はジャパン・ヴィンテージのアコースティック・ギターをご紹介いたしましょう。ヤマハN1000です。
ヤマハN1000と言えば、中島みゆきの使用で知られたモデルです。ヤマハのポピュラー・ミュージック・コンテスト(ポプコン)の入賞者、入賞曲を紹介するニッポン放送のラジオ番組コッキー・ポップを欠かさず聴いていた私は、中島みゆきが登場した時の衝撃を今も良く覚えています。情景が浮かぶ世界観と堂々とした歌いっぷりに魅せられました。そんな彼女の「時代」のシングル盤のジャケット写真に写っていたのがこのN1000でした。
Nシリーズはそれまで見慣れたヤマハのアコースティック・ギターと違う「顔」をしていたのが印象的でした。ちなみに私がギターを始めたばかりの1973年にはまだLシリーズは発売されておらず、ヤマハのフォーク・ギターと言えば基本FGシリーズ一択の時代でした。70年代後半に登場したNシリーズには実際に触る機会がありませんでしたが、フォーク雑誌で硬質な音色を持つという紹介がなされていたのを記憶しています。
今回ご紹介するN1000はサイド&バックにハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)合板が採用された所謂「初期型」と呼ばれる物です。
まず手にしてみると、ズッシリと重たいことがわかります。弾いてみると、ゴリンゴリンとした野太いサウンドが飛び出します。重量、サウンドともにウェスタリー工場時代のギルドのドレッドノートに近い印象があります。ハカランダらしいパリっとした抜けの良さはさほど感じさせませんが、馬力のある鳴りっぷりはいかにもマイクで集音していた時代のアコースティック・ギターの設計です。大変頼もしく感じます。また手に取るとしっかりとした作りがわかります。ヤマハらしいクラフツマンシップを感じさせてくれます。



いかがでしょうか。外観、サウンドともに個性的です。フォーク、ニュー・ミュージック世代には懐かしく、若い世代には新鮮に映るかもしれません。ジャパン・ヴィンテージ・ファンはもちろん、人と違ったギターをお探しの方にお勧めの一本です。
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白井英一郎:
1960年生まれ。吉田拓郎を聴いてギターを始め、間もなくイーグルスなどのアメリカンロックに傾倒。アコースティック&エレキ・ギターのほかルーツ系の楽器をも弾くマルチプレイヤー。現役の演奏家であり、音楽&楽器専門誌のライターの肩書きも持つ。1970年代の音楽とファッションをこよなく愛し、音楽のあるスローライフを実践するロハスピープル。入門者からベテランの方まで、お客様のライフスタイルに合った商品を提案する楽器のコンシェルジュ。2020年11月に定年を迎え、現在は嘱託社員として勤務。