【御茶ノ水本店】フェンダー・カスタムショップ 1954年ストラトキャスターの魅力とは!【Fender Custom Shopブログ#8】

皆様、ギターライフ楽しんでいますでしょうか。イシバシ楽器御茶ノ水本店 店長の居波でございます。

今回もフェンダー・カスタムショップ製品についての記事を書いていこうと思います。

さて昨年2024年はストラトキャスター生誕70周年の年ということでフェンダーカスタムショップからも多くの記念モデルが発売しました。
当店での多くの1954モデルを扱っておりますので、今更ですが、「1954年ストラトキャスターの魅力とは!」をテーマにご紹介したいと思います!

目次

誕生の背景

1954年、フェンダー社はギターの歴史を塗り替える革新的なモデル「ストラトキャスター」を発表、それまでのテレキャスターのシンプルなデザインとは異なり、より演奏性を高めた新しいエレキギターとして開発されたのです。
テレキャスターの後継機開発は1951年ごろから着手されており、テレキャスター(当時のエスクワイヤー、ブロードキャスター)の発売から間もない時期にすでに新しいギターの構想が練られていました。さすがは天才、レオ・フェンダーといったところですね。
開発において特に重要だったのが、当時のフェンダー工場に頻繁に訪れていたミュージシャンたちの存在です。レオ・フェンダーは彼らからテレキャスターの欠点や改善策をヒアリングし、それを後継機に反映しようとしました。その改善案の中には、体にフィットするように施されたコンター加工や、イントネーション向上のための独立したサドルの搭載といった画期的なアイデアがあり、採用されることになりました。
また、1952年半ばにはギブソン社がレスポールモデルを発表し、フェンダーでは次世代機の開発がますます急務となりました。レスポールモデルに対抗するべく、当時のフェンダー・セールス社長であるドン・ランドールの提案で、ヴィブラートユニットの搭載と3ピックアップによるサウンドバリエーションの増加が検討されました。
レオ・フェンダーをはじめとする優秀なチームは、それらのさまざまな意見を取り入れながら、より快適なボディ形状と多彩なトーンを実現するための設計を進め、ついにストラトキャスターは完成したのです。
ちなみに「ストラトキャスター」の語源ですが、従来機のテレキャスターという名称と成層圏(stratosphere)を組み合わせて出来たものだと言われております。ガガーリンが人類初の有人宇宙飛行を成功させたのは61年の事、それよりも前に成層圏を遥か超えるようなとんでもない発明をしたわけなんですね~!

発売当時の広告


特徴

1954年製のストラトキャスターは、後のモデルと比べても独特な仕様を持ちます。

ボディ: アッシュ材を使用した2ピースまたは3ピース構造で、ボディバックのコンター加工(体にフィットする形状)を初めて採用。
1弦側ボディジョイント部のネックヒール側面がテレキャスター同様に直角になっている。


ボディ材は基本アッシュ材ですが、一部ササフラス材やアメリカン・バスウッド材が使われていた個体も存在します。
エリック・ジョンソン所有のバージニア・ストラトキャスターはササフラス材が使われていることで有名ですよね。
また初期の個体では濃い目のサンバーストカラーが採用されており54年終盤には黄色みがかった2カラーサンバーストに変化していきます。

ヘッド:ストラトキャスターから新デザインのヘッドを採用。

いわゆるスモールヘッドと呼ばれるヘッドデザインは現在もフェンダーブランドの象徴ですよね。ストリングガイドには丸いディスクタイプが採用されています。

ネック: 1ピースのメイプルネックで、太めのU~V字シェイプが特徴的。

当時は殆どを手作業で製作していたため、太めのUシェイプからVシェイプなど時期によってシェイプが異なっていました。
ネックからヘッド部にかけても全体的にエッジが面取りされており、手作業らしい温かい手触りが味わえるのも54年頃の特徴です。

ピックアップ: 3基のシングルコイルピックアップを搭載、5ポジションではなく3ポジションのスイッチが標準装備。

ピックアップには各弦でポールピースの高さの異なる「スタガード・ポールピース」が採用されており、4弦のポールピースが1番高いことから「トールD」と呼ばれています。コントロールは今では5ポジションが当たり前ですが、当時は3ポジションのスイッチが標準搭載されていました。しかしミュージシャン達は発売からすぐにハーフトーンの存在に気づき、スイッチを半止めすることでハーフトーンのサウンドを出していたようです。技術屋であるレオ・フェンダーとミュージシャン達との相乗効果がストラトキャスターの潜在的な魅力を引き出していったのですね。※現行のリイシューモデルは5ポジションを標準搭載。

ブリッジ: シンクロナイズド・トレモロ(いわゆるストラトのトレモロユニット)が導入され、これがストラトキャスターの象徴的なサウンドと演奏スタイルを生み出した。

それまでのビブラート・ユニット(例えばビグスビー)は、チューニングの安定性に問題があったり、操作感が重かったりしたようです。そこで、ストラトのトレモロ・ユニットは、スプリングを使って安定したチューニングを維持し、スムーズなアーミングが可能で、ギターの一体型システムとして組み込むという点を重視して開発されました。

パーツ:最初期のモデルには丸みを帯びたラウンド・ピックアップパーツやショート・スカート・ノブ、フットボール・ノブが採用されている。バックパネルには弦穴が空いているが楕円ではなく丸形なのが54年製の特徴。

最初期のピックアップカバーやノブ類は耐久性の低いスチロール素材で作られています。54年の後半にはベークライト(ハードプラスチック)に切り替わりますが、同じく耐久性は低く、ヴィンテージ個体でも割れていることが多々あります。特にノブは真っ二つに割れやすくオリジナルの54年オーナーは外して保管している方もいるくらいです。
ちなみにリイシューモデルでもここをしっかりと再現しているため耐久度は低い・・・です。


サウンドの特徴、魅力

現在では聞き馴染みのあるストラトサウンドですが、発売当時はサウンドも画期的でした。
3つのピックアップを搭載したことにより、リアピックアップではアタッキーなリードプレイサウンドを、フロントピックアップでは温かいトーンでジャズやブルーズにも柔軟な対応が可能となりました。またフロントとミドルのピックアップには独立したトーンが採用され手元での細かい調整も可能となったのです。

加えてシンクロナイズド・トレモロはそれまでのハワイアン・スチールギターのような流れるようなビブラート・サウンドを、通常のエレキギターでも簡単に出せるようにしました。後にジミ・ヘンドリックスやジェフ・ベックといったロックミュージシャン達によってさらなる革新的なアーミングプレイが生まれることにもなりました。

テレキャスターと比べるとアッシュボディ、メイプルネックという組み合わせによる硬質でクリアなサウンド傾向は同じですが、ストラトキャスターはキャビティやトレモロユニット部など、ボディに空洞が多い構造となっています。そこにトレモロユニットのバネの振動が加わることで、独特の甘さとエアー間を生んでいるのです。
上記でも記述の通り、レオ・フェンダーの意図しないところでハーフ・トーンがミュージシャンの間で好まれ、今ではストラトを代表するサウンドになっています。
フェンダーが正式に5ポジションのパーツを搭載するのは70年代後半のモデルからで、当時は半止めでの使用か、サードパーティの5ポジションパーツに交換するミュージシャンもいたようです。

当時の54年モデルのサウンドはPee Wee CraytonのThe Telephone Is Ringing (1956)の中でも聴くことが出来ますので気になる方は調べてみてください!

Pee Wee Crayton


ヴィンテージの価値



イシバシ楽器御茶ノ水本店ではヴィンテージスペックモデルからカラーカスタムモデルまで数多くを展示しております!!
その中よりおすすめの個体をいくつかご紹介いたしましょう!

Fender Custom Shop / LTD 70th Anniversary 1954 Stratocaster Time Capsule ”7.25”Maple Neck Wide Fade 2TSB【S/N XN5250】
販売価格 ¥ 737,000 (税込)

ストラトキャスター発売から70周年を記念して限定発売されたモデルをベースに当店がヴィンテージスペックにてカスタマイズオーダーを行った一本です!
ベースモデルでは「9.5 Radius」の「Narrow Tall(6105)フレット」といったモダンアップデートがされた仕様ですが、本個体は「7.25 Radius」の「Vintage Upgrade(45085)フレット」のヴィンテージスペックに寄せた仕様になっております。ヴィンテージ個体に強い憧れが・・・という方にはこちらをおすすめします!

Fender Custom Shop / LTD 70th Anniversary 1954 Roasted Stratocaster Journyman Relic Cimarron Red【S/N LXX0481】【御茶ノ水本店】
販売価格  ¥ 768,000(税込)

こちらは70th Anniversary 1954モデルをベースにローステッドメイプル、アノダイズド・ゴールドピックガードを採用したモデルです。
ローステッド加工されたネックにより明瞭でクリアな音色とサスティンが向上されています。またカラーのシマロン・レッド自体はヴィンテージ個体にはありませんが54年ストラト誕生に大きく関係したミュージシャン達に別注で手渡した54年モデルの中にはアノダイズド・ゴールドピックガードの個体も存在したようですので本個体のような見た目のモデルあったかもしれません。少し暗めの赤が引き締まった印象を与えるおすすめの一本です!

Fender Custom Shop Ltd 70th Anniversary 1954 Roasted Stratocaster Journeyman Relic 55 Desert Tan【御茶ノ水本店】
販売価格  ¥ 748,000(税込)

こちらも同じくローステッドメイプルネックを採用したモデルです。カラーには杢目の透けていないデザート・タンフィニッシュが採用されており、さながらデヴィッド・ギルモアの54年モデルを彷彿とさせる見た目となっております。はやりローステッド加工がされているモデルにつきネック振動も素晴らしくよく鳴る個体に仕上がっております!

Fender Custom Shop / Ltd 70th Anniversary 1954 Roasted Stratocaster DLX Closet Classic with Gold Hardware HLE Gold【S/N LXX0739】【御茶ノ水本店】
販売価格 ¥ 911,900(税込)

アノダイズド・ゴールドピックガードとHLEゴールドフィニッシュ、ゴールドパーツの組み合わせが神々し一本!ネックには贅沢にローステッド加工された3Aグレードのバースアイメイプルを採用しサウンドも見た目も極上の一本に仕上がっております!こういった少し派手なモデルの54年モデルもいいですよね~!

Fender Custom Shop / Ltd 70th Anniversary 1954 Roasted Stratocaster Journeyman Relic Copper Penny【御茶ノ水本店】
販売価格 ¥698,000(税込)

最後はこちら!!こちらはローステッドネックモデルをベースにカラーカスタムオーダーを行ったモデルです!
濃いめのローストネックにアノダイズド・ゴールドピックガード、そして極めつけはCopper Pennyという激渋カラーのチョイスでしょう!!
ブリキ感と言いますか、スチームパンク感と言いますか・・・なにか心を揺さぶられるデザインになっている・・・と思いませんか?

全体的にアノダイズド・ゴールドピックガードのモデルばかりおすすめしてしまい、私の個人的な好みが反映されてしまいましたね!
これ以外にも多くのモデルを販売中ですので54年モデルをお探しの方は是非、イシバシ楽器御茶ノ水本店在庫を確認くださいませ!

イシバシ楽器御茶ノ水本店、1954年モデルの在庫はコチラ!!


まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は1954年ストラトキャスターについての記事を書かせていただきました!少しでも興味を持ってくれれば幸いでございます!

1954年の登場から約70年。
天才レオ・フェンダーが生み出したストラトキャスターは、その革新的なデザインをほとんど変えることなく、今なお多くのプレイヤーに愛され続けています。
現在でも多くのバリエーションモデルが登場していますが、そんなエレキギターの象徴とも言えるストラトの原点が、この54年モデルです!
ぜひ、この貴重な機会にご検討くださいませ!

なにせ、次の周年記念は9年後の2034年ですから!

それでは次回の記事でお会いしましょう。
これであなたもフェンダリアン!!

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