馬力を感じさせるウエスタリー工場製のギルド!

Harvest Guitarsの白井です。和製フォーク・ブーム世代には懐かしいギルドのアコースティック・ギターが入荷いたしました。早速ご紹介いたしましょう。こちら1978
年製のF-50です。

17インチ幅のジャンボ・ボディを持つ堂々たる風格のF-50

現在、アコースティック・ギターの三大ブランドと言えば「マーティン、ギブソン、テイラー」ですが、1970年代のフォーク・ブームの頃は「マーティン、ギブソン、ギルド」でした。当時ギルドはポール・サイモン、リッチー・ヘヴンス、ジョン・デンヴァー、井上陽水、南こうせつ、山崎ハコらが使用。マーティンやギブソンの製品同様、日本製のコピー・モデルが作られるほどの人気ブランドでした。

ヘッドストックのGシールド・インレイ、指板のVブロック・インレイは高級機の証

F-50はヘッドストックのGシールド・インレイ、指板のVブロック・インレイがフィーチャーされた当時のFシリーズの最上位機種。サイド&バック、ネックはメイプルで虎杢がでており、ジャンボ・サイズのボディが相まった堂々たる風格のモデルです。そして、この時代のギルド製品の幾つかのモデルに見られたアーチバック構造がこのF-50にも採用されています。ボディの容積を増やし、より大きく共鳴させる狙いがあったのでしょう。なお、ギルドはアーチバックのモデルのサイド&バックにはラミネイト材を使用していました。

虎杢が出たバック
ネックにも虎杢
アーチを描いたバックが独特

さて、現在はカリフォルニア州オックスナードの工場で製造されるギルドですが、このF-50はロードアイランド州ウェスタリー工場製。ウェスタリー工場製のギルドはずっしり重たい設計が特徴。このモデルは上述の通りサイド&バック、ネックがメイプル、しかもジャンボ・ボディということで、アコースティック・ギターとしてはかなりの重量級アイテム。なんとその重量2.984kg!
この時代のギルドは、やわな弾き方では鳴ってくれません。しかし、ガツンを弾けばズドンと豪快に音が出てくれます。ピックアップが普及する前は、馬力があり、しっかりと音が出ることが重要だったのです。このF-50もその典型です。ヴィンージらしく音が育てられていることもあって、ラウドに鳴ってくれます。

ブリッジ、サドルを削って演奏性確保

ちなみに、この当時のギルドはネックとボディがしっかりと接合されている傾向にあります。言い換えればネックのアングル調整が容易ではない個体が多く、ネックが起きてしまった場合、指板やブリッジを削ってプレイアビリティを確保することは珍しくありません。残念ながらこの個体もその例に漏れず、ブリッジは木部、サドルともに薄く加工されています。しかしながら、そんな見た目とは裏腹に、十分なテンションを感じさせてくれます。上述の通り、頼もしく鳴ってくれるのです。

現行品のギルドは、レン・ファーガソンが設計を見直し、重量3割減という軽量化がなされ、現代のニーズに応えるより洗練されたギターに生まれ変わっています。往年のギルドは色々な意味で個性が強く、別物と言えます。現在進行系の音楽を演奏するのであれば、現行品がマッチすることは言うまでもありませんが、古い設計のギターにしか出せないサウンドもあります。ウェスタリー工場製のギルドは、まさに往年のフォーク・サウンド。郷愁を誘います。弾き手を選ぶギターですが、人と違ったアコースティック・ギターをお探しの方に是非トライしていただきたい一本です。

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