★★★掟破りのストラトキャスター・魅惑のジミヘンモデルを語る(第二回)★★★

2回目です。「右利きのギターをひっくり返して左利きとして弾く」とどうなるか。ジミヘンモデルを参考に、3つのポイントをおさえて解説してまいりますどーも俺です。

1.ペグからナット、特に低音弦・高音弦の距離について
リバースヘッドにすることでまず第一に低音弦、ナットから5弦・6弦のペグまでの弦の張る距離が特に長く変わります。写真をご覧くださいませ、左「Jimi Hendrix Voodoo Child Signature」右「通常の1968 Stratocaster」でございます。
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ジミヘンモデルは5弦・6弦のストリングスガイドで弦をおさえこんでいると言えど、通常の弦の張り方と違い、低音弦のペグまでの距離がものすごく長くなっていることがおわかりかと存じます。弦の長さが増すことにより、ヘッドトップまでかかる5弦・6弦の張力、緩やかに掛かるナットからペグの角度による5弦・6弦の張り(テンション)の緩和、ナットからペグまでの弦の微妙な揺れ(スプリングリバーヴ的作用)、が違うことで、通常の5弦・6弦低音サウンドよりもややルーズな響きが生まれます。
それはたとえて言うならジャズマスターのブリッジからテイルピースの距離によって生まれる独特なあの響き「ジョーーーン」としたニュアンスに似ております。

逆に1弦・2弦、高音弦は通常と逆にペグからナットまでの距離が短くなり、上記とはまた逆の力作用、テンション、の違いが生まれます。高音弦には通常以上の弦の張りの強さ、テンションが生まれ、「チューーーーン」ではなく「チーーーーン」とした響きが生まれ、高音により緊張感が増すのであります。
…右を左にしてしまうと狂ってしまう事はこれだけではありません、2.に続きます。


2.ピックアップのポールピースの高さ
通常のフェンダー スタガードピックアップのポールピースの高さには、各弦のもつパワー、弦のゆれ幅、から音のバランスを調整するためにポールピースの高さがあらかじめ設定されております。理由は、弦の太さ(巻き弦は芯線の太さ)による磁力の強弱を弦との距離で調整しているものでございまして、これを右左逆にしてしまう事で、せっかくFENDER社が設定した6弦間の出力バランスを崩してしまうことになります。
どのように崩れるか、簡潔・単純に申し上げますと
「高音弦(1・2弦)の出力が上がり、低音側(特に5弦)が弱まる」傾向となります。そして
「各弦ごとにファクトリー設定されていた全体の出力バランスが狂う」のは言うまでもありません。
写真をご覧いただければお分かり頂けることと存じます。左「Jimi Hendrix Voodoo Child Signature」右「通常の1968 Stratocaster」でございます。
フロントピックアップ、リアピックアップのポールピースの高さがサカサマになることで、弦との距離が変わり、低音側は音量が下がり、高音側の音量が上がることがお分かり頂けることと存じます。

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これにより弦をまたぐフレーズに独特なうねり、グルーブが生まれるのかもしれませんし生まれてないのかもしれないのですが、確実に通常とは違う、既存のバランスのあっていない音の流れが生まれるのであります。ピッキングで感情表現を生み出す強弱のテクニックとは違い、すでにこのサカサマ作用で狂った出力差により、おのずと通常とは違う音量差が生まれ、それが前述した強弱の、ダイナミクスの感情表現のようなニュアンスになっている(のかもしれません)のであります。
いずれのジミヘンモデルにも左利き用のピックアップをわざわざ右利き用に載せていまして、上記のような効果を右利きのまま得られるのであります。
…右を左にしてしまうと狂ってしまう事はさらにさらに、これだけではありません、3.に続きます。


3.リアピックアップの角度
ピックアップの音を拾う位置がネック側に寄れば寄るほど、音は甘くなり、ブリッジに近くなるほど音は固くなります。ギターリストとはそのフロント・センター・リアの音色の違いにより、感情表現にあった位置にマイクを変えるのでございます。
そして、右を左に変えることでこの位置も通常のストラトキャスターにおいて、逆の構造を生むポジションがございます。
そう、ストラトキャスターのリアピックアップの角度でございます。

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ジミヘンモデルではそんなリアPUの角度の違いまで右利き用のギターに搭載しており、そのためのボディピックアップキャビティと、ピックガードまでブランド
自らが作ってしまっている拘りようなのであります。
つまりフェンダーが伝統としている、ピックアップ搭載位置を自ら変えてしまっているという掟破りな機種であり、ここにブランドがどれほどジミ・ヘンドリックスを尊重しているのかわかって感動し、涙をながし、そして嬉しくて笑ってしまうのであります。

これをするとどうなるかと言いますと…
リアピックアップの「6弦側が通常に比べ音が固くなる」位置に下がる
リアピックアップの「1弦側が通常に比べ音が甘くなる」位置に上がる

という現象を生むのであります。

…と、以上、「右利きのギターをひっくり返して左利きとして使う」と…
1…テンション差による響きの違いが生じる
2…6弦すべての音量バランスの狂いが生じる
3…リアPUの高音・低音の硬軟バランス狂いが生じる


というかなり複雑な「狂い」が入り乱れるわけであります。

これらの狂いが入り乱れ、どうなるかというと、結論として…奇跡的にとても気持ちいいサウンド!!!になるのであります。
そして更に!ジミヘンは通常の弦の太さとは違い「ヘヴィー・ハイ & ライト・ロー」(高音が太く、低音が細い)という独特な弦を好んだと言われております。これにより上記1.によって通常より緩くなった低音側テンションはさらにゆるくなり、独特な「エッジ」に拍車をかけるのであります。
長文失礼いたしました。
次回に続きます!!!


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