この一枚を聞け! [GREG LAKE / GREG LAKE]
GREG LAKE / GREG LAKE
今年3月にEMERSON, LAKE & PALMERのキーボーディスト、キース・エマーソンが他界し、EL&Pのアルバムを紹介したばかりなのに、12月にグレッグ・レイクの訃報が急に舞い込んで来ました。キースに続き、自分のフェイバリット・ミュージシャンでもあったのでとてもショックです。そんなことで今回紹介するアルバムは1981年に、グレッグが発売したソロアルバム「GREG LAKE(邦題:グレッグ・レイク&ゲイリー・ムーア)」です。
グレッグ・レイクはKING CRIMSONのオリジナルメンバーであり、EMERSON, LAKE & PALMERのベース、ヴォーカリストでした。また60年代では珍しく初見でベースを弾けてしまうロックアーティストという事でKING CRIMSONへの加入を決定付けたとも言われていました。伝説のバンド、KING CRIMSONで2枚のアルバムに参加後、1970年にEMERSON,LAKE&PALMERを結成。1970年代後半までプログレッシブロックを牽引していくバンドとなりました。しかし、バンドは1980年に解散となります。
解散間際にソロワークも並行して行っていた他のメンバーと違い、グレッグはほぼ2年余り表立った活動を行っていませんでした。そこでシーンに再びグレッグを呼び戻す策としてこのアルバムが企画されたとも言われています。そしてこのアルバムももう一人の立役者はゲイリー・ムーア! 非常に豪華な布陣で制作されたアルバムは日本でも大変話題となりました。ただ、この時点ではゲイリー・ムーアの人気は日本で爆発する前の話です。
1曲目からゲイリーのギターは炸裂します(笑)。“Nuclear Attack”で幕開けですが、この曲は後にゲイリー自身もライブで演奏するようになる名曲です。しかし、ただのハードロックで終わらないのでグレッグの歌声です。何とも言えないソフトで、グッとくる低音! その声がゲイリーのギターと非常にマッチしているのです。
当然ですがグレッグの十八番ともいえるソフトなバラード、“It Hurts”や“Let Me Love You Once Before You Go”も収録されているからたまりません。これにもしっかりとゲイリーのギターが絡んでいるのが実に渋い! さらにこのアルバムには多くの有名アーティストが参加しています。TOTOからスティーヴ・ルカサー、ジェフ・ポーカロ、デビッド・ハンゲイト。KING CRIMSONからはドラマーのマイケル・ジャイルズ。そしてBruce Springsteen E Street Bandからはサックスのクラレンス・クレモンズまでが参加しています。さすがグレッグのソロアルバムと言う感じですね!
また、このアルバムをレコーディングしたほぼ同じメンバーで、81年にイギリスで行われたレディング・フェスティバルにグレッグ・レイクはヘッドライナーとして参加しています。当日の演奏曲はこのアルバムの曲に加え、KING CRIMSONやEL&Pの曲も演奏されており、当然ながら伝説のライブとなりました。
しかし、残念ながら前記のアーティストの内、何人が他界しているでしょう?! 辛い現実は受け止めなければなりませんね。これからレジェンダリーなアーティストがどんどん居なくなる事でしょう。しかし、彼らの音楽はずっと心に残りづづける! それだけで素晴らしいではないですか!!
グレッグが他界したことでEL&Pとしてのライブを観ることは完全になくなりましたが、それでも数多くの映像や音源が残されています。今はひとつひとつそれらをジックリ聞き返す事に集中しています。残されたカール・パーマーが自身のHPでコメント出しました。その最後の文面が実に悲しくさせます。
「グレッグが“Pictures At An Exhibition”の最後で歌ったように、“死は人生です”。彼の音楽は今、彼を愛したすべての人の心に永遠に生きることができます。 〜カール・パーマー〜」
とにかくこの1枚を聞け! そしてまた来年もヨロシク!
【グレッグ・レイク関連の過去掲載された記事です】
・IN CONCERT / GREG LAKE (2006年12月掲載)
・EMERSON, LAKE & POWELL / EMERSON,LAKE & POWELL (2007年4月掲載)
・IN THE WAKE OF POSEIDON / KING CRIMSON (2008年4月掲載)
・TRILOGY / EMERSON,LAKE&PALMER (2008年5月掲載)
・BRAIN SALAD SURGERY / EMERSON,LAKE&PALMER (2016年3月掲載)
・ASIA IN ASIA / ASIA (2007年3月掲載)
・WORKS ORCHESTRAL TOUR / EMERSON,LAKE AND PALMER (2007年9月掲載)