Ishibashi Mail Magazine Vol.19

Chapter:13 ASIA IN ASIA / ASIA


83年の12月に武道館で行われたこのライブ。当初、オリジナルメンバーのジョン・ウェットン先生
で来日するはずであったが、この時代に良くある間際になっての交代劇。そして、代役となって来日
したのはプログレ界でも指折りのベーシスト、グレッグ・レイクであった。グレッグは70年代初頭に
ELPで来日して以来で、ウェットンの不参加は残念であったが、得した気分になったファンは少なく
はなかったと思う気がする。

 この映像でも映っているが謎の外人がいきなりド頭で挨拶をしてくる。このライブはMTVを通じて
全世界に生放送されるという新しい企画で、そのアナウンスがいきなり出てきたのである。しかも
いかにも外人が喋る日本語で「ロックの用意はいいですか?」と言ってきたのにはかなり大笑い!
たぶん”Are You Ready To Rock?"といいたかったのであろうが・・・直訳しすぎです。
 しかもこの後「ロックしよか!」とも言っているのである。こんな、笑えるオープニングから
いきなりカッコイイ演奏が始まる。MTVらしく日本のイメージを出したかったのか、ステージの両脇
にはカタカナで「エイジア・ライブ」、「イン・エイジア」という白い垂れ幕が・・・開口した。

 しかも、初めて見るグレッグ・レイクはかなり太っており、スティーブ・ハウは反対にかなり
痩せていたのが印象的。そのグレッグは加入して間もない為、足元に映るTVモニターをカンペ代わり
にして歌っていた。使用楽器はスタインバーガーのXL-2で、予備でいつものアレンビックが横に置いて
あった。スティーブ・ハウは80年製のES-ARTISTがメイン。イエス時代はES-175Dがメインであったが
AISAに加入してからはこのギターがメインになったようである。カール・パーマーに関してはこの時代
プレミアーのドラムセットを愛用しており、キーボードのジェフ・タウンズに関してはステージの
後方に横1列に機材を並べていた。内容はこの時代では定番のYAMAHA CP-70やソリーナ、ミニムーグ等
お決まりのプログレ・キーボードが勢ぞろいであった。しかもMTV収録とあってグランドピアノまでが
ステージにセッティングされていた。

 さすがにセットリストはエイジアの曲のみ。しかし武道館に来ていたファンは皆、イエスの曲や
ELPの曲を期待していたのに違いないし、カール・パーマーとグレッグ・レイクがいるんだからELPは
間違いないだろうと私も思っていた。しかし、そこは割り切ってオリジナル曲のみで勝負してるのだから
この時代のASIAの人気はとてつもない物であった証明とも言えよう。

 そしてこのバンドもメンバー交代の物凄いバンドのひとつ。アルバムを6枚くらい出したときには
オリジナルメンバーが殆どいない状況にもなったし、90年初頭に来日した際は再びウェットン先生が
復活しており、ギターはヒューズ・スロールのパット・スロールが加入していた。このときも見に行ったが
ウェットン先生の機材があまりにも情けなく、ファンとして悲しかったのを覚えている。

 そして今年3月、完全オリジナルメンバーで再来日してくれた。スティーブ・ハウは強烈に老けてしたし
ウェットン先生に関しては強烈に太っていた。しかしあの声も健在、あのギターは恐ろしく健在、カール
パーマーはTシャツこそ脱がなかったが、かなりのマッチョであった。機材も個人的には古い機材で演奏
して欲しかったが、そこはハイテクにやはり頼っており、スティーヴ・ハウなどはVARIAXを使用していた。
 しかも今回はイエス,ELPの曲に加えクリムゾンの曲まで演奏するというサービスぶり。久しぶりに
楽しめるライブだったと思います。思い出しながらまたこの映像をみるとします。


[ASIA IN ASIA / ASIA]

1.The Heat Goes On
2.Here Comes The Feeling
3.Eye To Eye
4.Steve Howe Solo
5.Only Time Well Tell
6.Open Your Eyes
7.Geoffrey Downes Solo
8.The Smile Has Left Your Eyes
9.Wildest Dreams
10.Carl Palmer Solo
11.Heat Of The Moment
12.Sole Surviver

Steve Howe (Gt)
Greg Lake (Ba,Vo)
Geoffrey Downes (Key)
Carl Pealmer (Dr)




LDジャケット

裏ジャケ。貴重なショットです!

スティーブハウ・コレクションに記載してあるES

豪華な作りの本です。

このLD収録時のチケット。安い入場料が当時を語る!


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