PRSといえばCustom 24やMcCarty、Silver Skyなどが代表的なモデルとして知られていますが、この度PRSから新たなカテゴリーとなる「Tekton」が発表されました。
これまでのPRSとは一味違うコンセプトで開発されたモダンスペック志向のシリーズということで、発表直後から大きな注目を集めています。
今回はTektonシリーズがどのようなコンセプトで誕生したのか、そして何が従来のPRSと異なるのかを詳しくご紹介いたします。
1985年のCustom 24誕生以来、常にプレイヤーの声を取り入れながら進化を続けてきたPRS。そのPRSが現代のテクニカルプレイヤーやデジタル環境を活用するミュージシャンに向けて送り出す全く新しいシリーズが「Tekton(テクトン)」です。
Tektonは単なる新製品ではなく、「PRSにとって新たな製品カテゴリーの幕開け」と位置付けられています。
今回はPRSの新シリーズ「Tekton」がどのようなコンセプトで開発されたのか、その魅力を詳しくご紹介します。
目次
- なぜ今、Tektonが誕生したのか?
- TektonはPRSの「新カテゴリー」
- モダンプレイヤーを支えるボディ&ネック設計
- 初採用となるステンレスフレット
- 新開発「PRS Stylus Pickup」とは?
- モデル名に込められた意味
- Tektonシリーズ ラインナップ比較
- まとめ
なぜ今、Tektonが誕生したのか?
近年のギタリストからは、
- より薄いネック
- 長いスケール
- フラットな指板ラディアス
- ステンレスフレット
- デジタルアンプやモデラーとの相性
といった、よりモダンな仕様を求める声が増えていました。PRSはこうしたフィードバックを受け、従来のPRSらしさを残しながらも、新しい世代のプレイヤーに向けたモデルの開発をスタート。そこで誕生したのがTektonシリーズです。
プレイヤーの声とともに生まれたTekton
ギター・プレイヤーと同じように、PRSのスタッフも日々たくさんのギターを間近で目にしています。そんなギター製作の現場でも、ひときわ目を引く個体や新しいモデルが登場すれば、自然と多くのスタッフの注目を集めます。
独特な杢目を持つMangoトップ、新しいカラー・バリエーション、そしてこれまでのPRSとは一線を画すボディ・シェイプをまとったTektonは、PRSファクトリー内でも大きな話題となりました。
エンジニアリング・チームや製品開発チームのもとには、Tektonを初めて目にした従業員からさまざまな感想や質問が寄せられたといいます。
PRSで働く従業員の多くは、自身もギター・プレイヤーです。ギターを製作する側であると同時に、実際に楽器を手に取り、音楽を楽しむユーザーと同じ視点も持っています。だからこそ、Tektonの開発ではファクトリーで働くスタッフの意見にも耳を傾け、デザインや仕様の改良が重ねられました。
PRSが大切にしてきたのは、プレイヤーから寄せられるフィードバックやリクエストを製品づくりへ反映することです。
その姿勢は、1985年に発表されたCustom 24の誕生につながり、その後のMcCarty、DGT、Silver Sky、Fiore、Chleoといったモデルのデザインへ受け継がれてきました。そして、その延長線上に誕生した新たなシリーズがTektonです。
Tektonは、何かまったく新しい仕組みを発明することを目的としたモデルではありません。むしろPRSにとっては、単に新製品を追加するというよりも、新たな製品カテゴリーを切り開いたS2シリーズの誕生に近いプロジェクトだったといいます。
モデルの完成までには、デザイン段階から多くのスタッフが関わり、試行錯誤と改良が繰り返されました。そうしたさまざまな意見を取り入れながら、開発チームが納得できる製品へ仕上げられたのが、今回のTektonシリーズです。
担当者注目ポイント:
Tektonは、スペックだけを追求して生まれたギターではありません。PRSで働くギター・プレイヤーを含め、多くの意見を取り入れながら完成したという開発背景にも、このシリーズの魅力が表れています。
PRSは、Tektonシリーズが作曲、レコーディング、ライブといったさまざまな演奏環境で、現代のミュージシャンの音楽表現を支える存在になることを願っています。
モダンなスペックを取り入れながら、単なる流行で終わらせず、実際に演奏するプレイヤーの声を大切にすること。Tektonは、PRSが創業以来続けてきたギターづくりの姿勢を、現代的な形で表現したシリーズとも言えるでしょう。
TektonはPRSの「新カテゴリー」
開発チームがまず掲げた目標は、
「細部までこだわるテクニカルなプレイヤーが本気で満足できるギターを作ること」
でした。
そのため、
- 25.5インチスケール(6弦)
- 26.5インチスケール(7弦)
- 16インチ指板ラディアス
- ステンレスフレット
- ボルトオン構造
など、従来のCoreシリーズとは異なる設計を積極的に採用。単なる派生モデルではなく、PRSがこれまで培ってきたノウハウを現代的なプレイヤビリティへ落とし込んだ新たな挑戦と言えるでしょう。
モダンプレイヤーを支えるボディ&ネック設計
TektonのボディデザインはPRS Velaをベースにしながら、Customシリーズの要素を融合。軽量化されたボディに加え、
- 身体にフィットするベリーカーブ
- ハイポジションへのアクセスを容易にするスクープジョイント
- 長時間の演奏でも快適なコンター加工
を採用しています。
またネックには新設計の「Modern D」シェイプを採用。
ただ薄いだけではなく、しっかりとした握り心地を残しながら高速プレイにも対応する絶妙な設計となっています。さらにホルミゴ材による補強ロッドを内蔵することで、高い剛性と豊かな鳴りを実現しています。
初採用となるステンレスフレット
Tektonシリーズで大きな話題となっているのが「ステンレスフレット」の標準採用です。
PRSはレギュラーモデルで採用するために専用設備まで導入。耐久性の向上だけでなく、滑らかな演奏感や安定したフィーリングを実現しています。
これまでのPRSファンはもちろん、ハイエンドモダンギターを好むプレイヤーにも注目されそうな仕様です。
新開発「STYLUSピックアップ」とは?
ボディやネックの基本設計が固まった後、Tektonシリーズのために新たなピックアップの開発がスタートしました。
開発にあたって目指したのは、アグレッシブでありながら、ハムバッカー・サウンドとコイルタップ時のシングルコイル・サウンド、そのどちらでも芯のある明瞭なサウンドを生み出せるピックアップです。
さらに、従来の真空管アンプだけでなく、現在多くのプレイヤーが使用しているモデラーやオーディオ・インターフェイスといったデジタル機材との相性も考慮して設計されています。
STYLUSピックアップの主な特徴
- アグレッシブでありながら、芯のある明瞭なサウンド
- ハムバッカーとコイルタップ時の両方で優れたサウンドを実現
- 従来のPRSハムバッカーと比べて、よりフラットな出力特性
- 真空管アンプだけでなく、デジタル機材との相性も考慮
- 比較的出力を抑えることで、クリアなサウンドと高い分離感を追求
こうして完成したのが、Tektonシリーズに搭載される新開発の「STYLUSピックアップ」です。
ピックアップとしての個性をしっかりと持ちながら、従来のPRSハムバッカー・ピックアップと比較して、よりフラットな出力特性を備えているのが特徴です。
アルニコ5マグネットを採用
マグネットにはアルニコ5を採用。DC抵抗値は、トレブル・ピックアップが約13kΩ、ベース・ピックアップが約11kΩとなっています。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| マグネット | アルニコ5 |
| トレブル・ピックアップ | 約13kΩ |
| ベース・ピックアップ | 約11kΩ |
このジャンルのピックアップとしては比較的出力を抑えた設計ですが、単純に出力の高さを追求していない点がSTYLUSピックアップの重要なポイントです。
絶妙なチューニング・バランスによってクリアで輪郭のはっきりとしたサウンドを実現し、複雑なコードワークやテクニカルなフレーズでも、それぞれの音を明瞭に表現しやすくなっています。
また、高出力ピックアップと比較して入力レベルをコントロールしやすいため、モデラーやプラグインをはじめとするデジタル機材との相性にも優れています。
担当者注目ポイント:
単にパワフルなだけではなく、音の輪郭や分離感、デジタル機材での扱いやすさまで考えて設計されているところが、STYLUSピックアップの大きな魅力です。ハムバッカーとコイルタップを使い分けながら、幅広いサウンドメイクを楽しみたい方にも注目していただきたい仕様です。
モデル名に込められた意味
「Tekton(テクトン)」という名前は古代ギリシャ語に由来し、
「職人」「作り手」
を意味する言葉です。
PRSはこの名前に、
熟練のクラフトマンシップとモダンなプレイスタイルの融合
というコンセプトを込めています。
伝統的なギター製作の技術を大切にしながらも、新しい音楽表現に挑戦するプレイヤーを支える存在として開発されたシリーズと言えるでしょう。
Tektonシリーズ ラインナップ比較
| モデル | ブリッジ | 弦数 | スケール | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Tekton | String Through Hardtail | 6弦 | 25.5″ | ダイレクトなレスポンスと高いチューニング安定性 |
| Tekton T | PRS Patented Tremolo | 6弦 | 25.5″ | PRSトレモロを搭載 |
| Tekton “Floyd” | Floyd Rose Original | 6弦 | 25.5″ | 激しいアーミングプレイにも対応 |
| Tekton SVN | String Through Hardtail | 7弦 | 26.5″ | ロングスケール採用の7弦モデル |
個性豊かなカラーバリエーション
Tektonシリーズは、モダンなボディ・デザインをさらに印象づける、個性豊かなカラーバリエーションも大きな魅力です。
Figured Mangoトップを採用したTekton、Tekton T、Tekton SVNには、木材の独特な杢目を引き立てる6色をラインナップ。見る角度や光の当たり方によって表情が変化し、モダンなデザインの中にもPRSらしい華やかさを感じさせます。
Tekton/Tekton T/Tekton SVN
- Slate Blue(スレート・ブルー)
- Imperial Topaz(インペリアル・トパーズ)
- Black Tourmaline(ブラック・トルマリン)
- Violet Tourmaline(ヴァイオレット・トルマリン)
- Bloodstone Red(ブラッドストーン・レッド)
- Fuchsia Aura(フクシア・オーラ)
天然木であるFigured Mangoをトップ材に使用しているため、同じカラーでも杢目や色の見え方には個体差があります。自分だけの表情を持った1本を選べることも、Mangoトップ仕様ならではの楽しみと言えるでしょう。
Tekton “Floyd”
アルダーボディを採用したTekton “Floyd”には、ほかの3モデルとは異なる専用のカラーバリエーションが用意されています。
- Pearl Black(パール・ブラック)
- Purple Royale(パープル・ロイヤル)
- Multi-Metal Flake(マルチメタル・フレーク)
- White Holoflake(ホワイト・ホロフレーク)
- Hot Pink(ホット・ピンク)
- Neon Green(ネオン・グリーン)
落ち着いたPearl Blackから、ステージ上でも強い存在感を放つWhite Holoflake、Hot Pink、Neon Greenまで、Tekton “Floyd”らしいアグレッシブなカラーが揃っています。
担当者注目ポイント:
Figured Mangoの杢目を活かした奥行きのあるカラーから、Floydモデルならではの鮮やかなソリッド&フレーク系カラーまで、モデルのキャラクターに合わせてカラー展開が分けられています。サウンドやブリッジの違いだけでなく、ルックスからお気に入りの1本を選ぶ楽しさもTektonシリーズの魅力です。
※掲載画像と実際の商品では、閲覧環境や天然木の個体差などにより、色合いや杢目の見え方が異なる場合がございます。
販売価格・商品ページはこちら
各モデルの商品ページはこちらからご覧いただけます。
まとめ
Tektonシリーズは単なる新製品ではなく、PRSがこれからの時代に向けて提案する新たなカテゴリーと言えるでしょう。
ステンレスフレットや16インチラディアス、Modern Dネック、そして新開発のStylusピックアップなど、現代のプレイヤーが求める要素を積極的に取り入れながらも、PRSらしい完成度の高さはしっかりと継承されています。
特に近年はモデラーやプラグイン環境を中心に音作りを行うプレイヤーも増えており、そうした現代の音楽シーンを見据えて開発された点もTektonシリーズの大きな魅力です。
個人的には、「PRSが本気でモダンギターを作ったらこうなるのか」と感じさせる非常に興味深いシリーズだと思います。
ぜひ実際に手に取ってその完成度を体感していただきたいモデルです。
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