Gibson Humbuckerって何が違うの?(PU沼)

ギター好きの皆さん、Finest Guitarsスタッフのモーリーです!
「Gibsonのピックアップっていろいろあるけど、音や仕様の違いって何?」と思っている方もいらっしゃるのではないかと思い、今回Gibson Custom Shopで使用してきたハムバッカーピックアップに限定してブログを書かせていただきます!
理想のサウンドに近いピックアップ探しのお手伝いができることを願っております!

Gibson Pickups ”Original Collection”と”Modern Collection”と”Historic Collection”

Original Collection

「ギブソン・ピックアップ・ショップ・オリジナル・コレクション」は、象徴的な歴史に敬意を表するコレクションであり、あらゆる世代や音楽ジャンルにわたってサウンドを形作ってきた、人気を博す「’57 Classics」、「P-90」、「Burstbuckers」などがラインナップされています。

Original Collection ’57 Classic Pickup Nickel

1993年から2002年頃までGibson Custom Shop Historic Collectionのほぼすべてのレス・ポール・モデルに搭載されていた「’57Classic」
それまでは高出力ピックアップを主に使用していましたが、1993年にギブソンの黄金期に製作されたヴィンテージギターの「サウンド」「ルックス」「プレイアビリティ(演奏性)」を現代に完全再現することを目的とした「Gibson Custom Shop」が立ち上げられ、1950年代のPatent Applied For(PAF)Pickupのレプリカとして開発された最初のピックアップ。

1957年のPAF誕生時のサウンドを意識しつつ、「セス・ラバーが設計図上で理想とした、左右が均等に巻かれた仕様(マッチド・コイル)」の設計となっており、レンジが広く自然なコンプレッション感や滑らかでクリーンなトーンが特徴。
抵抗値は凡そ8KΩ、ヴィンテージスタイルの2芯編組配線を採用。ポッティング(ロウ付け)がされておりノイズやハウリングの耐性があり、現代のハイゲインサウンドでも使いやすいように設計されています。

  • Magnet: Alnico 2
  • Wiring: 2-Conductor
  • Double Black Bobbins/Double White Bobbins/Zebra Bobbins
  • Wax Potted
  • Average DC Resistance: 8K

現在ではOriginal Collectionとしてラインナップされておりボビンカラーが数種類展開。
1950年代当時の意図せず多くコイルが巻かれてしまったやや出力の強いPAFを再現した、抵抗値凡そ9KΩの「’57 Classic Plus Pickup」やコイルの巻数をあえて少なくすることで低域成分を抑え、よりスッキリとしたトーンが特徴で抵抗値凡そ7.2KΩの「’57 Classic Underwound Pickup」など派生ピックアップも展開されております。

Original Collection Burstbucker Type 1 Pickup

1996年に当時の日本の輸入代理店規格としてリリースされその後グローバル展開された、第二世代PAFレプリカピックアップの「Burstbucker」
Gibson Custom Shopでは2002年頃から2012年頃まで搭載されていたこのピックアップは、1956年に設計され1957年より実際に搭載されたPatent Applied For(PAF)ピックアップの実際の仕様である、2つのコイルのターン数が異なるアンマッチ構造やマグネットサイズを再考し、「出力が低くクリーンなType1」「中程度の出力でややウォームなType2」「オーバーワウンド仕様で出力が高いType3」の3つのバリエーションを展開。

サウンドの傾向は「’57 Classic Pickup」に近く、ワイドレンジを持つピックアップですが「オリジナルPAFの持つ不完全さ」を再現しており、丸みのある高音域や太く粘りのある中音域による艷やかなサウンドが特徴。
抵抗値はそれぞれType1=7.8K、Type2=8.4K、Type3=8.7Kとなっており、ヴィンテージスタイルの2芯編組配線を採用。ポッティングはされておらず、よりオープンな明るいサウンドに設計されております。出力の低いものをフロントに、強いものをリアに搭載することが標準となっておりますが、お好みの組み合わせでOKです!

  • Magnet: Alnico 2
  • Wiring: 2-Conductor
  • Cover: Nickel
  • Double Black Bobbins
  • Unpotted
  • Average DC Resistance: 7.8K/8.4K/8.7K

現在では「’57 Classic」と同様にOriginal Collectionにライナップされており、より磁力の強いアルニコ5マグネットやポッティング処理を施したハイゲイン向きの「Burstbucker Pro Pickup」の派生ピックアップも展開されております。

Modern Collection

ギブソン・ピックアップ・ショップの「モダン・コレクション」は、伝統的なギブソンサウンドを基盤としつつ革新とサウンドの進化を現代的なコンポーネントと高出力を融合させたもので、490R、498T、500Tなどのピックアップをラインナップしています。

Modern Collection 490R “Modern Classic” Pickup

ロックミュージックの発展に伴い、大音量化やハイゲイン化していった結果、ピックアップにもより高出力コイルスプリット機能、より強いノイズ耐性が求められ開発された90「490R」及び「490T」(R=Rythme/T=Treble)。
Patent Applied For(PAF)ピックアップの伝統的なサウンドを継承しつつ、プッシュ/プルノブに接続可能となりプレイヤーはコイルをスプリットして汎用性を高めることができるようになった4芯配線方式やワックスポッティングを導入し内部の空隙を排除することで、マイクロフォニックフィードバックを最小限に抑える改良が施されました。

アルニコ2マグネットを使用した抵抗値凡そ8KΩの「490R」、8.2KΩの「490T」は中高音域のレスポンスが若干向上しており、「’57 Classic」と比較すると明瞭で低音域のスッキリとしたクセのないサウンドは、どのギターに載せてもアンプ側で狙い通りのサウンドメイクができる優秀な名機として人気のあるピックアップでございます。

  • Magnet: Alnico 2
  • Wiring: 4-Conductor
  • Double Black Bobbins
  • Wax Potted
  • Average DC Resistance: 8K

Modern Collection 498T “Hot Alnico” Pickup

ハードロックやメタル向けとして490”Modern Classic”を、より磁力が強くタイトな低音と鋭いアタックを生み出すアルニコ5マグネットを使用しコイルの巻数が均等なバランス構造、約2倍の密度で巻かれたコイルなどの改良が施され開発された「498T」及び「498R」。

アルニコ5マグネットによるタイトでパンチのある低音域はダウンチューニングや深い歪でもぼやけること無く、中高音域の押し出しが強く切れのあるサウンドが特徴。
歪ませるほど本領を発揮する、ハードロック/メタル専用ピックアップと言っても過言ではない仕様となっております。

498T”Hot Alnico”はリアポジションに搭載されることを前提としており、ネック側の弦間隔とは異なるブリッジ側の弦間隔に対応するため、互いに少し離して配置されており、単音の明瞭さを損なうことなく、パワフルなリードや厚みのあるリズムサウンドを生み出すポイントの一つとなっております。

  • Position: Bridge
  • Magnet: Alnico 5
  • Wiring: 4-Conductor
  • Double Black Bobbins
  • Wax Potted
  • Average DC Resistance: 14.2K

Historic Collection

「ギブソン・ピックアップ・ショップ・ヒストリック・コレクション」は、ギブソンの「ゴールデン・エラ」からインスピレーションを得たヴィンテージ・トーンを実現しています。このコレクションには、ギブソンのピックアップの中でも最も高く評価され、熱望されているモデルの一つである「カスタムバッカー」が誕生しました。

Historic Collection Custombucker Pickup

「’57 Classic」や「Burstbucker」の開発により培ったノウハウを最大限に活かし、2010年に「Gibson Custom Shop Inspired by Series Eric Clapton 1960 Les Paul “Beano”」に搭載され登場した「Custombucker」。Gibson Custom Shop Historic Collectionのモデルには2012年後期頃から搭載されるようになり、当初はポッティング処理がされておりましたが、2019年の60th Anniversary 1959Les Paul Standardのリリースからポッティングのされていない「Unpotted仕様」へと変更されます。

1957年に初登場したPAFピックアップの現在の姿である枯れたトーンを再現したこのピックアップは、抵抗値はおよそ8KΩで、マグネットには磁力の弱いアルニコ3マグネットを使用し、ヴィンテージスタイルの2芯編組配線42 AWGのエナメルワイヤーアンバランス構造コイル、ポッティング処理を行わないことで、ビンテージPAFの温かみのある甘美なトーンや中高音域のハリのあるサウンドを生み出します。

  • Position: Any
  • Magnet: Alnico 3
  • Wiring: 2-Conductor
  • Double Black Bobbins/Double Classic White Bobbins/Zebra Bobbins
  • Unpotted
  • Average DC Resistance: 8K

2012年に「Collector’s Choice #6(9 1918)」に搭載された「Custombucker-S」、2013年にはUSディーラー向けリミテッド・ランに採用されたCstombuckerのコイルターン数を10%落とした「E-Bucker」等が過去に登場しました。

現在では、稀に存在したやや多めにコイルが巻かれやや高出力なヴィンテージPAFを再現した抵抗値およそ8.6KΩの「Custombucker Plus Pickup」やボビンの巻数を減らすことによる鮮明に際立つ倍音とハーモニクスを実現し、より明るいトーンが得ることができる抵抗値およそ7.2KΩの「Custombucker Underwound Pickup」など派生ピックアップが展開されています。

Historic Collection 1968 T-Top Reissue Pickup

2018年の50th Anniversary 1968 Les Paul Customに搭載され登場した「68 Custom Humbucker」は以降Historic Collection 1968 Les Paul Custom Reissueに標準搭載となりました。2026年にリリースされた「Mick Ronson 1968 Les Paul Custom Collector’s Edition」にはリファインされた「1968 T-Top Reissue Pickup」が搭載され、現在ではHistoric Collection 1968 Les Paul Custom Reissueにも搭載されております。(以前の68Custom Humbuckerも混在しております。)

1966年から1979年頃までのギブソンピックアップの特徴であるボビンの「T」マークを忠実に再現したこのピックアップは抵抗値はおよそ7.5KΩアルニコ5マグネット2芯編組配線、当時のステッカーである特許番号のは入った”Numbered Sticker”までも再現されております。

低めの抵抗値やアルニコ5マグネットから生み出されるサウンドは50年代PAFリイシューよりタイトで明瞭で中音域のバイト感は歪ませるとさらに現れ、1960年代後期頃のピッキングに追従したドライブサウンドをリアルに再現しております。

  • Position: Any
  • Magnets: Alnico 5
  • Wiring: 2-Conductor
  • Unpotted
  • Double Black T-Top Bobbins
  • Average DC Resistance: 7.5k

近年では「1959 Humbucker Collector’s Edition Series」として「これまでで最も歴史的に正確なPAFの完全復刻」を掲げ、各シリーズ世界1,000セット限定で発表した、ピックアップ界の究極のコレクターズアイテムをリリースしました。
Series1では抵抗値8.6k (Treble), 7.7k (Rhythm)、アルニコ4マグネットやダブルクラシックホワイトボビンを採用し、Series2では抵抗値8.7k (Treble), 7.8k (Rhythm)アルニコ2マグネットやゼブラボビン、マーフィーラボによるエイジングが施され、Series3では抵抗値8.2k (Treble), 7.6k (Rhythm)、アルニコ3マグネットやダブルクラシックホワイトボビン、マーフィーラボによるエイジングを採用しており、「それぞれ目指すトーンが異なるものの、一段上のレスポンスやリアリティを生み出す」と評価の高いピックアップも開発・リリースされました。


さて、ここまで書いたのですが情報が多すぎてますます混乱してきました…。
大まかな情報を見やすく表にまとめてみました!

モデルコレクションマグネットDC抵抗値サウンド特徴
’57 ClassicOriginal CollectionAlnico II8.0KΩバランスドコイル。温かくクリーミーで王道PAF。滑らかなミッドと豊かな倍音。
’57 Classic PlusOriginal CollectionAlnico II9KΩ’57 Classicのオーバーワウンド版。出力増加。中域が太くリード向き。
’57 Classic UnderwoundOriginal CollectionAlnico II7.2KΩ巻数減少。高域が開放的でレンジが広い。クリーン向き。
Burstbucker Type 1Original CollectionAlnico II7.8KΩ低出力PAF。エア感、透明感、ネック向き。アンバランスコイル。
Burstbucker Type 2Original CollectionAlnico II8.4KΩ標準PAF出力。万能型。豊かな倍音とヴィンテージ感。
Burstbucker Type 3Original CollectionAlnico II8.7KΩ最もホットなBurstbucker。ブリッジ向け。太いミッドと強いプッシュ感。
490RModern CollectionAlnico II8.0KΩPAFベース。ややミッド強調。ワックスポット。現代的ヴィンテージ。
498TModern CollectionAlnico V14.2KΩ高出力。強烈なハイミッド。HR/HM向き。長いサスティン。
CustombuckerHistoric CollectionAlnico III8.0KΩGibson Custom Shop標準。最も忠実な初期PAF再現。甘くウッディ。アンバランスコイル。
Custombucker PlusHistoric CollectionAlnico III8.5KΩ前後Custombuckerの高出力版。PAF感を維持しつつ押し出しを強化。
Custombucker UnderwoundHistoric CollectionAlnico III7.2KΩ巻数を減らし倍音とハーモニクスを強調。よりブライト。
1968 T-Top ReissueHistoric CollectionAlnico V7.5KΩ明るくタイト。PAFよりアグレッシブ。70年代ロックサウンド。
モデルコレクションマグネットボビンカバー特徴
1959 Humbucker Collector’s Edition Series 1Historic CollectionRough Cast Alnico IVDouble Vintage WhiteTrue Historic Nickel最も立体的でウッディ。AL4らしいバランス。
1959 Humbucker Collector’s Edition Series 2Historic CollectionRough Cast Alnico IIZebraMurphy Lab Aged Nickelより甘く柔らかいヴィンテージトーン。
1959 Humbucker Collector’s Edition Series 3Historic CollectionRough Cast Alnico IIIDouble Vintage WhiteMurphy Lab Aged Nickel最も繊細でエア感が強く、初期PAF的な反応。

マグネットも表に起こしてみました!

磁石磁力の強さ出力感サウンド傾向
Alnico II★★★☆☆甘い、高域が柔らかい、コンプレッション感あり
Alnico III★☆☆☆☆最も磁力が弱い。木質感、倍音、空気感が豊富。ピッキングニュアンス重視
Alnico IV★★★★☆中〜高A2とA5の中間。低域と高域のバランスに優れる
Alnico V★★★★★アタックが速い。低域タイト、高域明瞭、出力高め

様々あるGibson Humbucker。掘れば掘るほど深みにハマる奥深い世界。。。
それぞれ目指すトーンの方向性が異なるので、たくさんありますが意外と理想のサウンドに近しいものを探しやすいのではないでしょうか。

長いブログを読んで頂きありがとうございました!
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