スピッチーノシンバルを巡る

シンバルの中でも貴重なスピッチーノ。担当曽我による動画を紹介。

2018-09-26 SHIBUYA WEST曽我でございます。
ドラム専門店SHIBUYA WESTと言えば多くの中古在庫量で人気ですが
その中古商品の中から、いわゆる我々がビンテージ と呼ぶものの魅力を紹介してみたいと思います。
◆ビンテージという定義は?
言葉の定義としては、『完成度が高い古くて価値がある年代物のアイテム。』
実際、我々も定義的には難しい部分ですが、新品では入手不可能な価値のある商品をそう呼んでいます。
年代などの定義は難しい所ですが、1970年代が一つの目安となっております。


◆ビンテージシンバルの魅力は?
当社 松岡が過去にブログを書いております(こちら)
音楽シーンを見ると、ここ数年で流行っているフレーズの傾向や、サウンドの傾向の中にビンテージシンバルのサウンドがあるように思えます。
いわゆる90年代は ピーキーなサウンドがもてはやされていて、現在またそれが一回りし、歌に合う纏わりつくサウンドや いわゆる香ばしいサウンドがする気がします。こればかりは個人的な主観で申し訳ないのですが、ラウドなロックサウンドでは無く、歌ものやPOPSの後ろで鳴るサウンドの中に 静かにサウンドが響いるイメージです。実際は、DTM技術の進歩で いわゆるビンテージ系のサウンドが流行りがあるのかもわかりません。ドラマーでは無いクリエイターが 耳で判断したときに『欲しい』シンバルの音や歌に合うシンバルの音が そういった少しくすんだような、でも上品なサウンドなのでしょうか。


◆今回はスピッチーノ!

稀少なシンバル スピッチーノですが、作成者の名前でございます。
ロベルト・スピッチーノ。
イタリアのトップ・プレイヤーでもあったスピッチーノ氏。トルコのKジルに魅入られた1人で トルコのファクトリーに通いつめていたと言われる彼は、1977年にジルジャン・トルコ工場が閉鎖されると、なんと自らその手でシンバルを制作し始めるのです。相当な研究に研究を重ねたようで、完全な独学で10年以上の歳月を要したようですが、彼の制作したシンバルのクオリティの高さは徐々に世界中に広まり、2011年に他界した後、更にその価値を認められた印象です。イタリアンシンバルではありますがトルコ魂の詰まった、まさしく「オールドKのクローン」のような彼のシンバル。ハンマリングからレイジングに至るまで、かなり忠実に再現されているのがわかります。
様々な不遇な部分もありながらも、シンバル作りにこだわり続け2011年11月に亡くなるまで 数多くの作品を作り上げました。
自身もトップアーチストでありながら、シンバル作りに関しても独学でこだわり続け燦然と今も輝くサウンドを作り上げたわけです。


◆サウンドの印象
動画に合わせていくつかご紹介しますが 全体の印象としては
『ブライト』な感覚を受けます。普通のシンバルでは減衰してしまう明るい高音部分がシンバル自身の揺れにより時間をまたぐ印象。すべからく 良いシンバルは余韻のコントロールをドラマーに挑戦してきます。
それがドラマーの喜びであり 醍醐味である気がします。
パッと鳴るサウンドから ジーンと響くサスティン。言葉では やはり中々言えませんがこの二つの相互作用のバランスが 高次元で行われている スピッチーノのシンバル。
シズルのある一枚は、本当に余韻が長く それは薄く延ばされたシンバルが 空間で震えて発音を繰り返すその贅沢な時間を感じずにはいられません。
オールドK と呼ばれる彼の目指したシンバルがあるとすれば、実は通過点にあるのが、今現在の彼の作品なのかもしれません。いわゆる 煌めきがあるのです。時間の経過とともに失われていく少しとがった部分を感じずにはいられないのですが、逆に それは今しか聞けないサウンドのようにも思えてしまい、非常に貴重なサウンドなのかもしれません。

SPIZZICHINO / 22RIDE 2559g 動画付商品ページはこちら
SPIZZICHINO / 20インチ RIDE 1920g  動画付商品ページはこちら
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◆現在の音楽中でのビンテージシンバル
ビンテージと聞くとJAZZドラマーを思いつくのは仕方がないのですが、実際はPOPSで使っても この香ばしい、そして煌びやかなサウンドは 楽曲に膨らみと彩りを添えるのでしょう。特にバックビートの中でも楽曲をランクアップさせることは間違いありません。
怖がらずに 是非この唯一無二のサウンドを試していただければと思います。


SHIBUYA WESTでは、ショーケース内にビンテージシンバルを保管しておりますが、試奏をご希望の方はお近くのスタッフにお声かけくださいませ。