ヴィンテージ市場のなかでは決して高価なギターではありませんが…
2016-04-04 ピントが変なとこに飛んでしまって、すみません。この配線、とあるエレキギターの写真なのですが何のモデルか分かりますでしょうか。

かつてフェンダー社の副社長を務めたフォレスト・ホワイトや、(もともとアンプ開発に携わっており)フェンダーセールス部門の重役を経験したトム・ウォーカーらが中心となって1971年に立ち上げたTri-Sonix社が前身となる、「あの有名メーカー」の隠れた名器といえばお分かりの方もいらっしゃるかもしれません。
…彼らは、Fender社退職後のレオ・フェンダーを自分たちの会社に招き入れ、1974年から正式に「ミュージックマン」の歴史が始まります。
もともと、Sixty-Fiveシリーズなどを中心としたアンプの製造に重点を置いていたミュージックマンが最初に手がけたギター/ベースがスティングレイで、1976年に発売。その後、1978年に発売されたのが、最初の画像でご覧いただいたセイバーです。

Music Man 1978年製 Vintage Sabre II Natural
ベースのほうが有名でしょうか。製作期間が短いこともあり、意外とクローズアップされることが少ないギターですので、この機会に簡単にご紹介しておきましょう。
Sabreはカタカナを振ると「セイバー」と言った感じですが、いわゆるサーベル(オランダ語)と同義。ご存知の通り、ヨーロッパの片刃刀です。

25 1/2ロングスケールのメイプルワンピースネックは、マイクロティルト機構つきの3点止めジョイント。ボディサイズはストラトキャスターと大差ないのですが、まるでムスタングとハイブリッドしたようなデザインで、ピックガード形状からの錯覚か、やや小ぶりに見えます。

発売前年にレオ・フェンダーが長年のパートナーであるジョージ・フーラトンにプロトタイプを献上していたといわれているセイバーですが、ジョージ・フーラトン・プロトタイプ・ストラトキャスターを彷彿させるようなクロームメッキのコントロールプレート。

ピックアップは裏から見るとシングルコイル・ピックアップを二列に並べたようなデザインになっており、ボディに埋め込まれたアンカーにダイレクトマウントされています。

ブリッジはムスタング風のサドルが台座にはめ込まれており、ボディに掘られたくぼみに噛んで両端2本のネジのみで固定されています。初期テレキャスターのように、シリアルナンバーはブリッジに刻印されていますね。


そして、特徴的なのは冒頭の画像でご覧いただいた9ボルト電池駆動のアクティブサーキット。
1970年代前半からは様々なメーカーがアクティブ機構のモデルを発売しております。B.C.リッチのシーガルやイーグルといったギター/ベースは有名ですし、ギブソンのレスポールでもプロフェッショナル、レコーディング、トライアンフのようなモデルが発売されています。
こちらのセイバーはマスターボリューム、トレブルとベースの2バンドEQの他、ブライトスイッチ(トレブルブースト的な効き方)とフェイズアウトスイッチが採用されております。

各箇所に新しい要素を意欲的に盛り込んでいるギターなのですが、イロモノではなく、抱えたときの印象は伝統的な70sフェンダーに触れているときのそれに近く、細部からレオ・フェンダーの息遣いが聞こえてくるようなロマンを感じます。
ヴィンテージ市場のなかで、決して高価なギターではありませんが、変わり行く時代のなかでも、決して色褪せない骨太な魅力、鋭い切れ味がヒシヒシと伝わってくる一本です。
スターキー星
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