YUHKIの東方鍵盤録 第65回「「あーだこーだのコーダ!」(CODA)
チー「何だ何だ~新しいおウチか?いいなーいいなー!ボクも入りたい!」
チー「入ってみたっていいじゃないかよー! フーが見てないスキに入ってやるー。それにしてもフーがデカく見える。」
フー「ダメ~!これフーちゃんの!チーは入っちゃダメだからねー!」
フー「ちょっとー、ダメだって言ったじゃん(怒)」
チー「...シュン。やたらフーがデカく見える?…」
チーフー「毎月わたしたちの日常を皆さんに見ていただき、ありがとうございました!またどっかでとーちゃんがわたしたちを披露してくれるまで、忘れないでねー!」
チー「最後にボクのアー写を載せますねー!」
フー「最後にフーちゃんの小さい頃の写真みてねー!」
もう今年も残すところあとひと月。
寒くなって参りましたが、皆さまは、お風邪などひくこともなく、お元気にお過ごしなられてるに決まってます(^^)
今月でこのコラムも最終回!
終わりを迎えることは、大変寂しいですが、5年以上に亘りこの「東方鍵盤録」をご愛顧下さり、本当に感謝しております!
毎月「〆切は今週木曜日です。」というリマインダーを担当の清水さんから送っていただくのですが、「これを送るのも最後ですね~」と書かれてあったのを見て、かなり寂しく感じた今日この頃です。
そんなわけで、今月も“拡大スペシャル最終号”ですよ!
先月わたくしのファーストキーボードとの出会いを駆け足で書きましたが、それから現在に至るまでを、掻い摘んで参りたいと思います。
2000年代初頭、GALNERYUSやALHAMBRAやARK STORMの活動で、レコーディングやライブに不可欠なモノは、自分のトレードマークになるような、ずっと使っていけるリードサウンドが出せるシンセでした。
何しろメタルの爆音アンサンブルの中でギターなどに負けない音を、キーボードで出すなんて至難の業ですから、「デジタルシンセに可能なのか?」という疑問をずっと持ってました。
それまでもオーバードライブを繋いだり試行錯誤しながら、自分だけの音を模索していましたが、どうもしっくりくるモノがありません。
当時はシンセ音源にシーケンサーを搭載した、「これ一台で作曲や打ち込み、サンプリングもOK!音色いっぱい入ってます!勿論ライブでの演奏もでバッチリよ!」
そんなワークステーション型のキーボードが全盛期でしたので、今更シンセエンジンに力を入れてます、みたいなモノはあまりありませんでした。
当時はサンプリングが普及し、クオリティの高い生音をサンプリングした音こそいっぱい入ってましたが、音色変化をさせた、攻撃的な音を作れるシンセを期待することはできなかったのです。
どのメーカーも、音色の素となるサンプルや付加価値で、その個体を売り出していた時代とも言えますね。
今から15年以上も前のある日、Rolandさんの新製品発表会にご招待いただき、V-Synthという謎のシンセに出会いました。
そうそう何とその場所には、ASIAやYES のキーボーディストであるジェフ・ダウンズさんがいらっしゃり、その時に初めてお会いしました!
写真はその時のものではありませんが、来日の度に会いに行ってます(^^)
どうかお元気で長生きして欲しいです。
話は逸れましたが、それまでわたくしが使ってるRolandのシンセといえば、作曲やライブで活躍しているJV-1000というワークステーションキーボードでした。
かなり使い倒して、今はもう手元にはありませんが、カタログがあったので載せておきますね。
ちなみにJVシリーズは、今のFANTOM系のような位置付けでした。
担当の方といろいろお話しして、それからV-Synthを試しに送っていただき、いろいろいじってみると今までにない中々面白いシンセだとわかりました。
とにかくわたくし的には、鍵盤を弾いた時の音のレスポンスが良いのと、音のアタック感が鋭いのが非常に気に入り、今のわたくしのリードサウンドの原型ともなる音が誕生したのです!
そしてその後大幅に機能も音もブラッシュアップされたV-Synth GTが発売されました!
実は開発中にプロトタイプをテストをさせていただいたり、こんなのがあればいいなぁ、なんてリクエストをさせていただいたり、思い出深い今でも最も親しみがあるシンセです。
ドイツのミュージックメッセという日本でいう楽器フェアで、このシンセのデモンストレーションをさせていただいたのも懐かしい思い出です!
今でもやっぱりコイツは凄いと改めて思い、「GTというよりGT-Rじゃ!」と最近Rエンブレムを付けた程です(笑)
そんなわけでそれ以降、Rolandさんとは仲良くさせていただき、わたくしのシステムは、今や殆どRolandのシンセでいっぱいになっております!
リード系は、V-Synth GTやアナログエンジンをも搭載したJD-XA!
最近ではFANTOMのピアノやアンサンブル系の音が秀逸で多用してます。
V-Synth 以外は現行販売してますので、是非イシバシ楽器店頭でお確かめくださいね!
その昔ライブハウスへ出向き、爆音の演奏中に、火災か何かの警報音が鳴り響きました。
わたくしその時に思ったのが、「何てヌケの良い音なんだ!!」(笑)
雑踏の中でサイレンなどの音が聞こえるのも、機械音にしろ電子音にしろ、アラート音などはヌケの良い帯域の周波数で鳴ってるから騒音の中でも聞こえる訳です。
昭和のお家の玄関のブザーとか、アタック音もヌケも素晴らしかったですよね!?(笑)
つまりわたくしのリードサウンドの音作りの基本にあるのは、警報音みたいな音…ということなんでしょうか!?
当然そんな音で演奏して、聴いてる人を不快にさせてはいけません。音の無駄な部分を削ぎ落として、気持ち良く演奏、お聴きかせできるようにエディット(調整)していきます。
要はどんな状況でどんな風に鳴ってて欲しいのか?
そのためシンセには、様々な音を調整するエフェクトやパラメータがあります。 他の楽器ならエフェクターやEQなどを、音を調整または変化させる手段として使います。 複数の音が交わる中で、出したい音やフレーズが「どのように聴こえて欲しいのか」をイメージすることで、「どのように音作りをしていけば良いのか」その方向性が見えてくるはずです。
もっと硬い音なのか、ソフトな音なのか。
もっと高音域が強調されたキラキラした音なのか、中音域を出したふくよかなサウンドにしたいのか。
バッキングにしろリードにしろ、自分のフレーズを「どのように聴かせたいか」をイメージしてみてくださいね。
これは全ての楽器にも言えることですし、レコーディングした音のミックスにも言えることです。
単体で聴いて良い音が、他のモノと混じってそのままの音で聴こえることはまずないので、ある程度自分の音作りをしたら、リハーサルスタジオなどで、皆と合わせた音がどのように聴こえるか確かめましょう。
独りよがりで自分の音だけ聴こえれば良いわけじゃないので、皆と合わせた音がどう聴こえているのか、全体の音の中でのバランス感覚を身につけましょう。
そうです、音楽とは闘いと調和によって成り立っているのです!
わたくし自身、そのことがわかってから、音作りがかなり楽しくなりました。
意外とわかってそうでわかってないことなんですが、自分だけの音を追求するあまり、視野が狭くなってくると、大事なことを忘れてしまうことがよくあります。
自分の音を愛することは大事ですが、一緒に音を出す仲間の音も愛してあげましょう!
この5年間の中で一番良いことを書いたような気がしますが(笑)
皆さんのアンサンブルの中でのヒントになればと思い、また楽器屋さんのコラムに相応しい内容を最後に書かせていただきました。(笑)
何事も続けることは大変なことです。
40余年イシバシ楽器に勤めて、数々の功績を築いた、担当の清水さんがこの度、定年となり退社なされるそうで、非常に寂しいです!
わたくしだけでなく、数々のバンドやミュージシャンがどれほどお世話になったかわかりません!
主催のイベントやバンドの宣伝、わたくしごときにコラムを任せてくれたり、自分のキャリアにもご協力いただき、本当に感謝しかございません!
何よりこのコラム「東方鍵盤録」の名付け親ですから!
このネーミングセンスからして、清水さんはタダものではないことがお解り頂けたかと思います!
どうか良き第二の人生を送られることを願ってます(^^)
そしてまた必ずお世話になるばすです(笑)
そして数々のイベントを開催していただき、各店舗の皆さんには大変感謝しております!
写真は一部ですが、その時の思い出と共に載せておきますね!
●2017年6月 YUHKI 's INST NIGHT with SYU
●2011年2月 Syu Super Guitar Seminor TOUR 2011(GUEST:YUHKI)
●2015年11月 Syu Special Guitar Clinic with:Yuhki(動画あり)
●2019年7月 SYU & YUHKI ULTIMATE SEMINAR TOUR 2019 なにわ編
●2019年7月 SYU & YUHKI ULTIMATE SEMINAR TOUR 2019 at 御茶ノ水
わたくし来年は、GALNERYUSのレコーディングやツアーもきっとあるでしょうし、他にもいろいろ制作ものをやりたいです。
実は、自分の今までの人生や音楽・バンドなど、その活動の中で培ってきたもの全てを盛り込み、新しいチャレンジを試みて、アルバムを作ろうと思い立ってから早三年が経ちましたが、それが今現実になろうとしてます。
勿論そんな簡単なことではありませんでしたが、いろんな方にご協力いただき、只今完成を目指してます。
例えこれが遺作になっても後悔のないように、妥協なしで制作に取り組んでます! それがやっと形が見えて来たような気がしますが、〆切ギリギリまで詰めに詰めたいと思ってます。
作曲はもちろん、作詞やレコーディング、ミキシング、マスタリングに至るまで、これからやるべきこともまだ計り知れませんが、とても幸せに感じてることも事実です!
そして素晴らしい演奏陣と、初めて外国のボーカリストに協力をお願いしました! 全てが自分の予想を超えたモノに化けつつあります。
予定通り来春にリリースし、皆さんに聴いていただけたら嬉しいです!
今後も全ての活動において、自分を信じて続けて参ります!
一緒に協力してくれる人たちなくしては、自分一人では何もできません。
これからも仲間を大切にし!
ご協力いただく方に感謝を忘れず!
応援してくれる皆様を愛して!
わたくしの残りの人生を全うしたいと思っております!
こんなわたくしに発信する場を与えてくれた清水さんはじめスタッフの皆様! 本当にありがとうございました!
このコラムのお陰で、少しはまともな文章が書けるようになりました。(笑)
ウチの子たちも少しは有名になれました。(笑)
そして今までこのコラムを読んでいただいた皆さんに、また会える日が来ることを願い、これからも活動して参りたいと思います!
皆さんお元気で!
またいつか(^^)
YUHKI
YUHKI OFFICIAL CHANNEL YouTubeチャンネル

YUHKI (キーボーディスト/コンポーザー)
3月17日 神奈川県出身 O型
趣味は猫とモーター・スポーツと温泉
幼少よりクラシック始め様々な音楽に親しみ、少年時代に主にハードロック・プログレッシブロックに影響を受け、キーボード・作曲を始め、激しいオルガンサウンド・攻撃的なシンセリードとシンフォニックなアレンジを武器に数々のバンドに参加。
現在はGALNERYUSを中心に活動中。
2001年「ARK STORM」でキングレコードよりデビュー。以降3枚のアルバムに参加。
2002年より「GALNERYUS」に参加。10枚のフルアルバム、4枚のLIVEDVD等多数をVAPよりリリース。
アニメ「HUNTER×HUNTER」「RAINBOW-二舎六房の七人」「Mnemosyne-ムネモシュネの娘たち」のエンディング・テーマを担当。
2013年より本格的にアジア・ヨーロッパ等海外にも進出し好評を得る。
並行して2003年から自ら率いる女性ボーカルをフィーチャーしたプログレッシブ・ロックバンド「ALHAMBRA」で4枚のアルバムとライブDVDを発売。
2011年 自身初となるソロプロジェクト「YUHKINEN」の1stアルバム「Far Beyond The Seven Seas」発表。
バンド活動の他、人気格闘ゲーム「GUILTY GEAR」「BLAZEBLUE」等のゲームミュージックのライブとレコーディング、その他多数の作品・ライブに参加。