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1975年、SYSTEM700と同時期に発売されたシステム型シンセがSYSTEM-100でした。
SYSTEM-100は101と呼ばれた基本ユ
ニットを中心に構成されるシステム型のシンセサイザーでした。SYSTEM700に
憧れながらも、その価格に指をくわえるしかなかったシンセ小僧達が、実質的に
購入できたのがこの機種でした。それでもフルセットで\383,000と言う価格は
当時としては安いものではなく、まずは基本ユニットを購入し、次にEXPANDER
ユニットを買って...と、徐々にシステムが出来上がっていくのを楽しんで
いたものです。基本ユニットの101(\120,000)自体は1VCO、1VCF、1VCAと
いう極めてスタンダードな構成でしたが、そのパネル面に装備されたCVやら
GATEやら、その他のインプット・アウトプット用のミニプラグ端子が、機能の
拡張を可能とする点が特徴で、それらの機能を使って一体どんな事が出来るの
だろうと、当時のシンセ小僧達をワクワクさせたものでした。現実としては、
それらの端子に接続できる外部機器が豊富に出ていたわけではなく、また当時
はメーカーによってCVやGATEの規格が異なっていたと言う事情もあり、実際
の使用に当たってはローランドの他のシステムを利用するか、余程電気に詳し
い方であれば、某かの機器を作って接続していた状況でした。
SYSTEM-100を構成する他のモジュールを紹介しましょう。101の全面に設置
される様デザインされたEXPANDER 102(\105,000)は、101と差ほど変わ
らない価格となっていますが、それもそのはず、鍵盤が無い以外は、101と
殆ど変わりは無い(一部違う)のです。102を装備することに拠り、全ての
機能を二つ持ったシンセが出来上がる事となります。残念ながら101のキー
アサイナーが単音にしか対応していないので、二つの鍵盤を同時に押して
高音部低音部2音同時に音を出すと言う様な事は出来ませんでした。他のモ
ジュールではミキサー部のMIXER 103(\65,000)、
最高24ステップのSEQUENCER 104(\75,000)、
専用スピーカーとして開発されたMONITOR SPEAKER 109(1台\9,000)があり、モニター・スピーカーを
左右二つ揃えるとフルセットとなりました。MIXER103は4チャンネル入力の
ステレオアウト仕様で、当時、シンセと共に流行になりつつあったマルチ
トラック・レコーディングに対応できるものでした。各チャンネルには音を
左右に振ることが出来るパンポットが装備され、シンセには必要不可欠なエ
フェクタであったエコー・チェンバー(当時はそう呼んでいた)に接続可能
でした。SEQUENCERの104は12ステップの構造を2列持ち、12ステップ×2の
パラレルアウトか、24ステップ×1のシリーズアウトかを設定可能でした。
SEQUENCER104を導入する位になると、EXPANDER102が生きて来るというか、
必要不可欠なものとなり、基本ユニット101とEXPANDER102をSEQUENCER104
で見事にコントロールする方もいらっしゃいました。モニターの109はフル
レンジの16cmスピーカーが一個入っただけのもので、現在のパソコン用の
スピーカーに比べるとはるかに高く、音質も充分とは言えませんでしたが、
キーボード専用の小さなスピーカーなどと言うものが殆ど無い時代でした
から、109は結構重宝したものです。何より他のモジュールとデザインが
統一されていましたから、フルで揃った時の格好良さは格別でした。
余談ですが、シンセ黎明期はオシレータに使われるトランジスタが熱に対
して非常に不安定で、内部が温まるまで音程が定まらないものや、逆に温
まると不安定になるものなど様々でした。SYSTEM-100もご多分に漏れずそ
の問題を抱えておりまして、夏場になると、音程が狂ってしまうという修
理が多発し、夏の暑い中を101を抱えて、大汗でご来店頂いた方々がいらっ
しゃったを良く覚えております。今となっては笑い話ですが、その節は
本当にご苦労様でした。(つづく)
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