この一枚を聞け![MADE IN EUROPE / DEEP PURPLE]



 今年は筆者であります私JSが、1970年代に衝撃と影響を受けたライブアルバムを紹介していきます。

 第9回は遂に登場大御所ハードロック・バンド、 DEEP PURPLEが1976年にリリースした「 MADE IN EUROPE( 邦題:メイド・イン・ヨーロッパ)」です。そしてこのコーナーも遂に後3回となります(悲)
 バンドの説明はもういらないであろう大御所バンドDEEP PURPLE。そのPURPLEには最も有名なライブアルバム「MADE IN JAPAN(邦題:ライブ・イン・ジャパン)」がありますが、あえて何故こちらの「MADE IN EUROPE」を選んだかというと理由はひとつ、ベーシストのグレン・ヒューズが居たからであります!

 確かに「ライブ・イン・ジャパン」は完成された演奏で、イアン・ギランのヴォーカルもノリに乗っていた時の歌声であり。リッチーのギターサウンドはその後、歴史に残る位の名演だったことは間違いないのだと思います。しかし、それを上回るインパクトがこのグレン・ヒューズにあったと言っても過言ではありません。

 バンドは1973年に黄金期である第2期に終止符を打ちます。ヴォーカルとベーシストが抜けた後、オーデションにて新人、デイヴィッド・カヴァデールとトラピーズでベース、ヴォーカルをしていたグレン・ヒューズを加入させます。ブルージーに唄うカヴァデールとファンキーに歌いこなすヒューズのヴォーカルは、これまでバンドに無かったヴォーカルのハモリやユニゾン等が生まれ、新しいサウンドに生まれ変わりました。そして作られたアルバムが名盤「BURN(邦題:紫の炎)」です。

 順風満帆にいっていると思っていたバンドですが、1年少々した1975年初頭には分解をはじめ、75年4月のパリ公演を最後にギターのリッチー・ブラックモアは脱退します。実は今回紹介する「 MADE IN EUROPE」はリッチーの最終公演であるパリ公演の数日間あったうちのいずれかを収録したライブアルバムなのです!最後とは思えないそのグルーブ感は圧巻です。特にヒューズの弾くベースフレーズは完璧の一言で、音色やブレイクでの残音、全てにおいて当時高校生だった私はノックアウトでした(古い表現でスミマセン)

 出囃子で弾くリッチーのアドリブから1曲目の“Burn”に突入!2曲目“Mistreated”では粘っこい歌声でカヴァデールの本領を発揮。3曲目“Lady Double Dealer ”が始まる前の“レディダブディーラー ギラマーウェイ〜」というヒューズのMCに酔いしれ、B面1曲目(CDでは4曲目)はジョンロードのキーボードソロ始まり“You Fool No One”に突入。イアン・ぺイスが暴れまくります。最後は“Stormbringer ”で締めくくる。正に捨て曲が1曲もありません(笑)

 しかしこのアルバム、後でわかった事ですがオーバーダブがかなりされているそうで、歓声はもちろん、リッチーのギターはかなり差し替えられています。後に完全版として発売される「MkIII: The Final Concerts(邦題:紫の昇華〜ザ・ファイナル・コンサート〜)」では、その違いが良くわかります。しかし、私にとってはこの「 MADE IN EUROPE」が全てなのであります。このアルバムを聴き、当時ベーシストであった私はベースの練習に励んだわけであります。どのようにしたらあの様なベースサウンドを出し、ギターの様に弾くべースフレーズに辿り着けるのか...。思い返せば懐かしさ満載のアルバムでもあるのです!

 バンドのテンションがダダ下がりであるのにも関わらず、これだけの演奏で人を酔わせる魅力があるって凄くないですか?! この時代はこんなバンドがうじゃうじゃ居たんですよね〜。最近、欧米のヒットチャートを見てもバンドが居ないのが実に寂しく感じます。今一度、バンドというものを見返す時ではないでしょうかネー。とにかくこの1枚を聞け!!


【こちらももう一度聞け!!】
[COME TASTE THE BAND / DEEP PURPLE]