この一枚を聞け![STAGE / DAVID BOWIE]



 今年は筆者であります私JSが、1970年代に衝撃と影響を受けたライブアルバムを紹介していきます。第3回に紹介するアルバムはDAVID BOWIEが1978年にリリースした「STAGE(邦題:ステージ)です。

 このアルバムは1978年に行われたツアー、“Isolar II Tour”の春に行われた公演を収録したライブアルバムですが、発売はナントその年の秋にリリースされています。正にツアー終盤の盛りあがった時期に発売するBOWIEの行動はぶっ飛んでいたに違いありません!

 BOWIEは1976年、名盤「STATION TO STATION」をリリースし終えると活動する拠点をベルリンへと移ることになります。自身の音楽環境と薬物依存を再生させるためにと言われています。そのベルリンでの音楽制作の中に生まれたアルバムこそが、ロック界に新たな歴史を残すこととなるアルバム「LOW」と「HEROES」であります。それまでのBOWIEはロックンロールが基本で、相棒であるミック・ロンソンとのサウンド作りが中心でありました。その音楽性を180度変換させた人物こそが元ロキシー・ミュージックのメンバーでもあった、ブライアン・イーノでした!

 イーノと作り出す作品はダークではありますがメロディアスで、どこかプログレッシブでもありました。その証に「HEROES」ではキング・クリムゾンのロバート・フィリップがギターで参加しています。話は長くなりましたがこの2枚のアルバムのツアーと言っても良いのが、「STAGE」に収録された“Isolar II Tour”なのです。

 このツアーには70年代中盤からBOWIEの相棒となったギタリスト、カルロス・アルマーが参加しています。そして更に特筆すべきメンバーがギタリスト、エイドリアン・ブリューの参加です。当時、エイドリアンの出すサウンドはかなりブッ飛んでおり、新しくなったBOWIEのサウンドには無くてはならない存在でありました。他にもキーボードにトッド・ラングレンズ・ユートピアのロジャー・パウエルが参加しているのです

 最初私がアナログ盤で入手した頃は、1曲目は“Hang On to Yourself”でしたが、現在発売されているCDは実際のライブと同じ曲順で、「LOW」に収録されていた"Warszawa" で始まります。その重厚でダークなサウンドはプログレ好きの私にはたまらない始まり方でした。余談ですが後に私が作ったバンドもこの曲と同じにバンド名にしました(苦笑)そして2曲目はあの名曲“HEROES”なのです(泣)!

実際にこのツアーの最終公演地であった日本での武道館公演(1978年12月11日)に行きました。この時、初めて私はBOWIEを拝み、"Warszawa" 演奏時にはBOWIEはヘンテコなキーボードらしきモノを弾いておりました。そしてあのヘンテコリンなギターである、エイドリアン・ブリューのサウンドも体感します。また、“HEROES”イントロ部でエイドリアンが手にしていた奇妙なアイテムを目撃します。そのアイテムこそが後にE-BOWとわかったのは、数年経ってからでした(笑)当時、高校生だった私にとってはあまりに衝撃的なライブであった事は間違いありません!

この翌日の、“Isolar II Tour”最終公演である12日のNHKホール公演はテレビ撮影され、後にNHK「ヤング・ミュージック・ショー」でTV放映されることになります。当然、この時代に家庭用ビデオなど無いのですから、この映像を再度しっかり見たのは、90年代に入ってからの気がします。今はYoutubeで何でも見れる時代ですから、こんな不便さは解らないでしょうね〜(苦笑)もちろんこの「ヤング・ミュージック・ショー」の映像もYoutubeに投稿されていますので、是非検索してみてくださいね。

今年でBOWIEが亡くなって早5年。親日家でも知られるBOWIEの痕跡は日本中、いろいろな所にあります。そして音楽はもちろん永遠に残り続け、何年経ってもBOWIEの楽曲は新鮮さを失わないと思っております。そんなこと思いつつ、今一度このアルバム堪能します。とにかくこの1枚を聞け!!

【こちらももう一度聞け!!】
["HEROES" / DAVID BOWIE]